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#27

『ごめんなさいっ……』

部室のドアの前で、
ねむは三回、深呼吸した。

手の中には、
薄茶色のペンライト。 

らてちゃんの色。

「…だいじょうぶ、語るだけ、押しつけない……」

自分に言い聞かせて、
ドアを開けた。

はるか「こんにちは」

部長の中野はるかが、
やさしく顔を上げた。

はるか「新入部員さん?」

ねむは、こくりと頷く。

「……星宮、ねむです、推しは……みるくらて、です……」

その瞬間、
空気が、ほんの少しだけ止まった。

はるか「みるくらて?」

はるかは驚いたけど、
すぐに微笑んだ。

はるか「そっか。甘糖胡桃ちゃんだよね
 最年少で、犬好きで……」

ねむの胸が、きゅっと鳴った。

知ってる……

ちゃんと、知ってる……

部活が始まって、
それぞれが推し語りを始める。

はるかはルミアの話。

由里は苺花。

みつきはゆき。

ねむは、
ずっと黙っていた。

はるか「ねむちゃんは?」

その一言で、
心臓が跳ねた。

ねむ「……え…?」

「らてちゃんの話、聞きたいな」
はるかの声は、
本当に穏やかだった。

ねむは、
俯いたまま、ぽつりと言った。

ねむ「……らてちゃんは……優しくて……
 ファンのこと、全部覚えようとしてて……」

そこから、
止まらなかった。

ねむ「配信の言葉、全部メモしてて、スケジュールも、犬の話をした日は、声が少し高くて……」
ねむ「コメント欄を読む時、左から順番に視線が動くんです」
ねむ「……らてちゃんが笑うと……あたし……生きててよかったって……」

気づいた時には、
部室は、静まり返っていた。

由里が、
小さく息を吸う。

由里「すぅっ……」

みつきは、
視線を逸らしていた。

みつき「…………」

はるかだけが、
言葉を探している顔をしていた。

はるか「……ねむちゃん」

はるかが、
慎重に口を開く。

はるか「……すごく、大切にしてるんだね
 でも……ちょっと……」

__________“重い”

その言葉を、
言われる前に、
ねむは全部理解してしまった。

ねむ「……ごめんなさい」

声が、震えた。

ねむ「……やっぱり、ここ、来ちゃだめでしたよね……」

薄茶色のペンライトを、
ぎゅっと握る。

ねむ「……らてちゃん、重いの、嫌いだから……」

立ち上がろうとして、
足が、動かなかった。

胸が、
苦しくて。

語っちゃいけなかった
好きすぎるのは、悪いことだった
その時。

はるか「待って」

はるかが、
静かに言った。

はるか「怖かったのは、正直、少しだけ…」

ねむの心が、
完全に折れかける。

でも。

はるか「でもね」

はるかは、
まっすぐにねむを見た。

はるか「その重さ、“推しを本気で大切にしてる証拠”だよ」

はるか「らてちゃんを傷つけないように距離を考えてるところも……」

はるか「それ、ちゃんと“ファン”だと思う」

『ポトっ…』

ねむの目から、
涙が落ちた。  

ねむ「でも、気持ち、抑えないと…
壊れちゃうから……」

はるか「壊れそうな時は」

はるかが、
静かに笑った。

はるか「ここで、少しだけ吐き出していい」
はるか「独りで抱えるには、重すぎるから」

ねむは、
声を殺して泣いた。

薄茶色のペンライトを、
胸に押し当てながら。

「らてちゃん……あたし……
 好きで……ごめんなさい……」

その日、
オタク語り部は、 

**“一番重い愛が、静かに受け止められた日”**になった。

2026/01/22 19:05

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