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[漢字]星野 菜乃花[/漢字][ふりがな]ほしの なのか[/ふりがな]は、今日も完璧な執事だった。
黒い燕尾服、短く整えた髪、低めに作った声。
誰がどう見ても「有能な若執事」______それが、柄乃家での彼女の立ち位置。
?「菜乃花、紅茶がぬるい。やり直し」
ソファにふんぞり返って命令するのは、この家のおぼっちゃま、[漢字]柄乃 軟[/漢字][ふりがな]からの なん[/ふりがな]。
顔はいい、金もある、でも超がつくほど自己中心的。
菜乃花「申し訳ありません、軟様」
そう頭を下げながら、菜乃花は心の中でため息をついた。
ほんっと、自分のことしか考えてないんだから……
それでも彼女がここにいる理由は一つ。
女だとバレずに、執事として働くこと。
______だった、はずなのに。
_________________________________
その日は、最悪の形でやってきた。
庭の掃除中、脚立から足を滑らせた菜乃花を、軟がとっさに抱きとめた。
衝撃と同時に、胸元のボタンが外れる。
軟「……は?」
軟の手が、確かに“そこ”に触れていた。
沈黙。
鳥の声だけがやけに響く。
軟「お前……え、女?」
菜乃花「………………」
否定する間もなく、顔が熱くなる。
終わった、と菜乃花は思った。
軟「ふーん」
意外にも、軟はすぐに手を離し、ニヤリと笑った。
軟「つまり? 俺の執事は女の子で、俺を騙してたってこと?」
菜乃花「……解雇、ですよね」
覚悟を決めて言うと、軟は顎に手を当てて考え込む。
______________________
軟「やだ」
菜乃花「……はい?」
軟「だってさ、女の子が俺のそばにいられるって、めちゃくちゃ都合よくない?」
最低だ、この人。
そう思ったのに______。
軟「安心しろよ。秘密は守ってやる。その代わり」
軟は立ち上がり、菜乃花の顎を指で持ち上げた。
軟「俺の“[太字]専属[/太字]”な。今まで以上に」
心臓が、うるさいくらいに跳ねる。
菜乃花「……自己中すぎます」
軟「今さら?」
そう言って笑う彼を見て、菜乃花は気づいてしまった。
この人は最悪で、面倒で、でも______目が離せない。
男装系女子と自己中な王子様。
秘密を共有した主従関係は、
今日から少しだけ、危険な色を帯び始めた。
___________the story start end
[漢字]星野 菜乃花[/漢字][ふりがな]ほしの なのか[/ふりがな]は、今日も完璧な執事だった。
黒い燕尾服、短く整えた髪、低めに作った声。
誰がどう見ても「有能な若執事」______それが、柄乃家での彼女の立ち位置。
?「菜乃花、紅茶がぬるい。やり直し」
ソファにふんぞり返って命令するのは、この家のおぼっちゃま、[漢字]柄乃 軟[/漢字][ふりがな]からの なん[/ふりがな]。
顔はいい、金もある、でも超がつくほど自己中心的。
菜乃花「申し訳ありません、軟様」
そう頭を下げながら、菜乃花は心の中でため息をついた。
ほんっと、自分のことしか考えてないんだから……
それでも彼女がここにいる理由は一つ。
女だとバレずに、執事として働くこと。
______だった、はずなのに。
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その日は、最悪の形でやってきた。
庭の掃除中、脚立から足を滑らせた菜乃花を、軟がとっさに抱きとめた。
衝撃と同時に、胸元のボタンが外れる。
軟「……は?」
軟の手が、確かに“そこ”に触れていた。
沈黙。
鳥の声だけがやけに響く。
軟「お前……え、女?」
菜乃花「………………」
否定する間もなく、顔が熱くなる。
終わった、と菜乃花は思った。
軟「ふーん」
意外にも、軟はすぐに手を離し、ニヤリと笑った。
軟「つまり? 俺の執事は女の子で、俺を騙してたってこと?」
菜乃花「……解雇、ですよね」
覚悟を決めて言うと、軟は顎に手を当てて考え込む。
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軟「やだ」
菜乃花「……はい?」
軟「だってさ、女の子が俺のそばにいられるって、めちゃくちゃ都合よくない?」
最低だ、この人。
そう思ったのに______。
軟「安心しろよ。秘密は守ってやる。その代わり」
軟は立ち上がり、菜乃花の顎を指で持ち上げた。
軟「俺の“[太字]専属[/太字]”な。今まで以上に」
心臓が、うるさいくらいに跳ねる。
菜乃花「……自己中すぎます」
軟「今さら?」
そう言って笑う彼を見て、菜乃花は気づいてしまった。
この人は最悪で、面倒で、でも______目が離せない。
男装系女子と自己中な王子様。
秘密を共有した主従関係は、
今日から少しだけ、危険な色を帯び始めた。
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