______________________
朝のホームルーム。
先生「今日は日直、星乃と橋なー」
その瞬間、
灯の心臓が、ドクッと鳴った。
……え……?
ゆっくり、隣を見る。
蒼は一瞬だけこちらを見て、
蒼「……あ、そうなんや」
それだけ。
特別な反応は、何もない。
なのに。
灯「……っ……」
胸の奥が、ざわっと波打つ。
……一緒……?
……日直……?
……蒼と……?
______________________
放課後。
黒板の前。
灯はチョークを握ったまま、固まっていた。
先生「じゃ、日直よろしくー」
先生が教室を出ていく。
静かになる教室。
蒼は後ろで、日誌を開いている。
蒼「……じゃ、黒板消しとく?」
灯「……あ……は、はい……」
声が、震える。
黒板の前に立つ。
今日の連絡事項。
書くだけ。
分かってるのに——
手が、止まる。
……あれ……次……何書くんだっけ……
頭が、真っ白。
チョークを持つ指が、小さく震える。
……やだ……
……また……迷惑かける……
背後から、椅子が引かれる音。
蒼が、近づいてくる気配。
近い。
……やばい……
蒼「……次、提出物やん」
小さな声。
灯の真横。
驚いて、息が止まる。
灯「……え……」
蒼は、黒板を見たまま。
灯の方を見ない。
蒼「英語のワーク。ここ」
そう言って、
チョークを持っていない方の手で、
そっと黒板の端を指す。
____________
距離は、肩が触れそうなほど近いのに。
声は、低くて、落ち着いている。
灯「……あ……」
言われた通り、書く。
カツ、カツ、とチョークの音。
蒼はそれを確認してから、一歩だけ下がる。
蒼「……合っとる」
それだけ。
褒めるでもない。
急かすでもない。
でも。
灯の心臓が、遅れて爆発した。
……助けて……くれた……
……さりげなく……
……みんなに……見えないように……
灯「……あ、ありがとう……ございます……」
小さく、下を向いて言う。
蒼は一瞬、間を置いてから、
蒼「……いいよ」
短く返す。
でも。
その声は、いつもより少しだけ、柔らかかった。
______________________
胸が、きゅっと締まる。
灯「……ずるい……」
小さく、呟く。
心臓は、まだうるさい。
星乃灯は今日、
「クズで、無自覚で、ちっちゃい男」に、
また一歩、近づいてしまった。
——気づかないまま、戻れないところまで。
朝のホームルーム。
先生「今日は日直、星乃と橋なー」
その瞬間、
灯の心臓が、ドクッと鳴った。
……え……?
ゆっくり、隣を見る。
蒼は一瞬だけこちらを見て、
蒼「……あ、そうなんや」
それだけ。
特別な反応は、何もない。
なのに。
灯「……っ……」
胸の奥が、ざわっと波打つ。
……一緒……?
……日直……?
……蒼と……?
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放課後。
黒板の前。
灯はチョークを握ったまま、固まっていた。
先生「じゃ、日直よろしくー」
先生が教室を出ていく。
静かになる教室。
蒼は後ろで、日誌を開いている。
蒼「……じゃ、黒板消しとく?」
灯「……あ……は、はい……」
声が、震える。
黒板の前に立つ。
今日の連絡事項。
書くだけ。
分かってるのに——
手が、止まる。
……あれ……次……何書くんだっけ……
頭が、真っ白。
チョークを持つ指が、小さく震える。
……やだ……
……また……迷惑かける……
背後から、椅子が引かれる音。
蒼が、近づいてくる気配。
近い。
……やばい……
蒼「……次、提出物やん」
小さな声。
灯の真横。
驚いて、息が止まる。
灯「……え……」
蒼は、黒板を見たまま。
灯の方を見ない。
蒼「英語のワーク。ここ」
そう言って、
チョークを持っていない方の手で、
そっと黒板の端を指す。
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距離は、肩が触れそうなほど近いのに。
声は、低くて、落ち着いている。
灯「……あ……」
言われた通り、書く。
カツ、カツ、とチョークの音。
蒼はそれを確認してから、一歩だけ下がる。
蒼「……合っとる」
それだけ。
褒めるでもない。
急かすでもない。
でも。
灯の心臓が、遅れて爆発した。
……助けて……くれた……
……さりげなく……
……みんなに……見えないように……
灯「……あ、ありがとう……ございます……」
小さく、下を向いて言う。
蒼は一瞬、間を置いてから、
蒼「……いいよ」
短く返す。
でも。
その声は、いつもより少しだけ、柔らかかった。
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胸が、きゅっと締まる。
灯「……ずるい……」
小さく、呟く。
心臓は、まだうるさい。
星乃灯は今日、
「クズで、無自覚で、ちっちゃい男」に、
また一歩、近づいてしまった。
——気づかないまま、戻れないところまで。