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黒猫とピンクのバラを、君に。

#10

黒猫とピンクのバラを、君に。

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静まり返った店内に、救急車のサイレンが遠くから近づいてくる。


結衣の腕の中で、斗真の瞳はゆっくりと閉じられようとしていた。


結衣「……待って、斗真。行かないで……!」


結衣が叫び、彼の胸に手を当てた瞬間、彼女の体がまばゆい金色の光に包まれた。


その光は、店内に散らばっていた「枯れたバラの花びら」
を巻き上げ、渦を巻いて斗真の傷口へと吸い込まれていく。


結衣「……私の、全部をあげる」


結衣の姿が次第に透き通っていく。


彼女は人間ではなく、斗真の孤独が極限に達した時に、
家族の願いが形を成した「[太字][斜体][明朝体]守護霊[/明朝体][/斜体][/太字]」のような存在だったのだ。


__________________________

数ヶ月後。


退院した斗真は、あの日以来、姿を消した結衣と黒猫を探して、思い出の店を訪れた。


腹部の傷跡は残ったが、不思議なことに、顔に無数にあった
「殴られ屋」時代の古い傷は、あの日を境にすべて消え去っていた。


店主「……よお、斗真。体はもういいのか?」
斗真「ああ。……結局、あの子は見つからなかったよ」


カウンターに座ると、そこには一通の古い手紙と、
一輪の——今までで一番淡く、美しいピンクのバラが置かれていた。


手紙は、かつて父と母が遺したものだった。


店主がずっと預かっていたのだという。


そこには、ピンクのバラの花言葉と共に、こう記されていた。





[斜体][明朝体][中央寄せ]『ピンクのバラの意味はね、「[太字]しあわせ[/太字]」と「[太字]感謝[/太字]」。
斗真、あなたが誰かのために傷つくたびに、私たちは猫に託してバラを届けたわ。
けれど、一番忘れないで。
あなたが誰かを救う時、あなた自身もまた、誰かに愛されているということを』[/中央寄せ][/明朝体][/斜体]





斗真はバラを手に取り、その香りを深く吸い込んだ。


黒猫が毎日バラを届けていたのは、斗真が「自分を削る」のを止めるためではなく、
「お前は愛されるべき存在だ」と伝え続けるためだったのだ。


ふと窓の外を見ると、生垣の上に一匹の黒猫が座っていた。


猫は一度だけ、誇らしげに喉を鳴らすと、
今度は消えることなく、暖かな陽だまりの中であくびをした。


斗真「……そうか。俺は、もう一人じゃないんだな」


斗真の頬を、一筋の温かい涙が伝う。


それは悲しみの涙ではなく、ようやく自分を許すことができた、再生の証だった。


傷跡のない顔で笑う斗真の胸元には、あの日結衣から受け取った
「ピンクのバラ」のバッジが、春の光を反射してキラリと輝いていた。
_________________________________🌃完

作者メッセージ

完結ですっ!ピンクのバラの意味、わかっていただけましたか?
黒猫とピンクのバラを、君に。を愛読していた皆様、ありがとうございました!
いつか、貴方の元にも、運命が訪れる時が来ます。
その時は、黒猫とピンクのバラを、君に。

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この小説につけられたタグ

暴力表現ファンタジー黒猫花言葉バラ

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