文字サイズ変更

黒猫とピンクのバラを、君に。

#8

金色の瞳の、転校生。

______________________
翌朝、学校は妙な騒がしさに包まれていた。


生徒「聞いたか? 今日、転校生が来るらしいぞ」「こんな時期にか?」


斗真は騒ぎを余所に、ポケットの中にある写真の感触を確かめていた。


昨夜見た少女の後ろ姿。


なぜか、他人とは思えない懐かしさが胸を締め付ける。


ホームルームが始まり、担任がドアを開けた。


先生「紹介する。今日からこのクラスの一員になる、[漢字]黒江 結衣[/漢字][ふりがな]くろえ ゆい[/ふりがな]だ」


一瞬で、教室が静まり返った。


入ってきたのは、夜の闇をそのまま髪にしたような黒髪の少女。


そして、何よりも目を引くのは、吸い込まれるほど透き通った金色の瞳だった。


彼女は教室をぐるりと見渡すと、真っ直ぐに一番後ろの席——斗真の隣へと歩み寄った。


クラスメイトたちが息を呑む中、彼女は斗真の顔にある傷をじっと見つめ、ふわりと微笑んだ。


結衣「やっと、会えたね。バラの香りの人」


その声を聞いた瞬間、斗真の脳裏に、店で黒猫が鳴いた声が重なった。


斗真「お前……まさか……」
結衣「放課後、いつもの場所で待ってるよ」


それだけ言うと、彼女は席に着いた。


その日から、斗真の周りの景色は一変した。

今までモノクロだった世界に、彼女の歩く場所から順番に鮮やかな色がついていくような感覚。


放課後、斗真が駆け足で店に向かうと、
扉の前にはバラを持たず、ただ立っている彼女の姿があった。


足元には、あの黒猫がいない。


代わりに、彼女の影が猫の形をして揺れている。


結衣「斗真。あなたはもう、十分すぎるくらい痛みを引き受けてきた」


彼女は一歩近づき、斗真の頬に手を添えた。


結衣「これからは、その優しさを、自分のために使っていいんだよ」


彼女の手の温もりを通じて、斗真の中に溜まっていた
「他人の苦しみ」が、静かに霧散していくのを感じた。


だがその時、店主が深刻な顔で店から出てきた。


店主「斗真……すまない。店に、厄介な客が来ちまった」


店の奥から聞こえてくるのは、かつてないほど荒々しい破壊音と、怒鳴り声。


それは、斗真が解決しなければならない、「殴られ屋」としての最後の試練のようだった。
_________________________________🌃
コメント

この小説につけられたタグ

暴力表現ファンタジー黒猫花言葉バラ

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

TOP