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#地味女子 クズ くっつく 方法

#20

名札ケース。

_____________________

放課後、教室には灯ひとりだけが残っていた。


黒板消しを手に取り、黙々と黒板を消す。


時間が少しずつ過ぎていくのが感じられる。


放課後の静けさの中で、手を動かす音だけが響いていた。


灯は、自分のペースで片付けながら、ふと机の端に置かれた名札ケースに目を留めた。


それは、番号ごとに名札を入れるタイプのものだった。


自分の番号は決まっているし、定位置に戻すのが面倒くさいと感じるときもある。


今日は、何だかその名札ケースが邪魔に見えて、ちょっとだけ苛立ちを覚えた。


灯「……これ…邪魔………」


小さく呟いて、灯は名札ケースをそっと手に取った。


少しだけ動かせば、黒板消しを続けられるだろう。


すると、その瞬間、教室のドアが開く音がした。


灯は一瞬、動きを止めて振り向く。


___________________________________


顔を上げると、そこには蒼が立っていた。


蒼は、いつものように問答無用で入ってくる。


灯は慌てて視線をそらし、手に持った名札ケースを元に戻しようとするが、
それが蒼の目に入った。


蒼が無言で、少し歩いてきて、灯の手から名札ケースを取った。


蒼「……」


蒼は何も言わず、そのまま名札ケースを手に取り、
自分の番号のところに名札を差し込む。


無駄な言葉もなく、ただ淡々とした動きで。


灯はその手際に少し驚き、言葉を飲み込んだ。


あまりに自然すぎて、蒼が何も言わないことが、
逆に不安に感じる。


手が動いて、視線が止まる。


何か言わないといけないと思うけど、口が乾いて、言葉が出てこない。


蒼は、名札ケースを灯の手が届く場所に戻して、
軽く一息ついたように肩をすくめる。


それから、さっさとその場を離れようとした。


灯は、ただその背中を見送るだけだった。


_______今の……なんだろう……


灯の心はざわついた。


蒼の行動が、なんだか予想以上に自分に響いてしまった。


無言で、何気なく手伝ってくれたこと。


別に特別なことでもなかったのに、
どうしてこんなに心臓がバクバクするんだろう。


灯は、まだその場に立ち尽くしていた。


目の前にあった名札ケースが元の場所に戻されたことが、
まるで何か大きな出来事のように感じてしまう。


何も言わずに、あんなふうに片付けてくれるなんて……ただの手伝いなのに、
どうしてこんなに気持ちがざわつくんだろう。


_______ダメだ…何を考えてるんだろう…私………


灯は目を閉じて深呼吸をした。


冷静にならなくちゃ。


何気ないこと、ほんの些細なことだった。


でも、蒼の存在が自分にこうも強く影響を与えることに、
少しだけ戸惑っている自分がいた。


放課後の静けさの中で、心臓の音が耳に響く。


あんな些細なことで、こんなに心が動くなんて。


灯は黒板消しを再び手に取るが、指先が少し震えているのに気づく。


自分でも驚くほど、心が乱れている。


_______どうして、こんなにドキドキしてるんだろう。


普通、あんなことで……普通なのに。


灯は深く息を吐き出し、黒板の隅を消しながら、また視線を落とす。


だんだんと冷静になりかけていると思った矢先、ふと気づいた。


蒼が戻っていくその背中を、無意識のうちに目で追っていた自分に。


_______なんだろう、あの背中。


あんなに小さいのに、どうしてこんなに大きく見えるんだろう。


灯は再び黒板を消す作業に没頭したが、心はその後も蒼のことを離れなかった。


どうしてこんなに気になるのか、自分でもわからない。


ただ、蒼が無言で手伝ってくれたあの一瞬が、今も心に強く残っていた。
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