私たちは、眩しく照らされ。
学年の違う靴箱から、楽しそうに笑いながら急ぎ足で友達を追いかける先輩の姿。
「……はは、また渡せなかったや」
靴箱の前で一人。
さっきまで追いかけた影はもうなくて、ただ窓から注ぐ夕日がまぶしい。
手に持っているお土産は、もう2週間も前に買ったもの。
会えない日もあったとはいえ、鮮度は落ちて賞味期限切れすれすれかもしれない。キーホルダーだけど。
後ろから、同じ部活の子たちの声がする。
別にやましいことはしていないし、気まずいことがあったわけではない。
でも先に部室を出た手前、まだ靴箱にいるのも変に思えて、慌てて革靴を履いて外へ飛び出す。
夕日は、残酷なまでに綺麗に、まだ手の中にあるキーホルダーを照らしていた。
――だめだった。
――今日も、だめだった。
その積み重ねで、渡す気も渡せる気も失せていく。
なんで渡せないの?
緊張するから?周囲の目が気になるから?冷やかされるのが怖いから?自信がないから?
全部そう。全部正解、百点満点。
でも、一番はやっぱり、
[水平線]
同じ部活の子たちにだって、嫌われているわけではないのだと思う。
その本心はわからないけれど部活中は普通に雑談できるし、疎外感を感じることはあっても省かれているわけではない。
ただ、住む世界が違う、というか。
一歩踏み込めば仲良くなれるかもしれないのに、それをする勇気がないから“気まずい”まま。
そして、先輩との壁はもっとずっと厚いから。
だから、絶妙に近づけない距離をずーっと保って、時々話して満足して。
ほんと馬鹿だ。
そんなことで、自分の勇気がないだけで、「孤立したかも」とか「仲良くなれない」とか。
そんなの勇気を出してからいうことだ。自分が一番わかってる。
いっそ、仲良くなんてなりたくない、人間関係なんてどうでもいい、と言えれば楽だった。
でも友情も恋愛もいつも中途半端で、夢見がちで、拒否する勇気すらない私。
でも、距離を置くなんて、できるわけないよね?
だって、
[水平線]
「てか先輩に早く渡しなよー?代わりに言ってあげよっか?」
お土産はずっと渡せていないままリュックにしまっている。あれから数日経ったとはいえ渡せるわけがなかった。
“気まずい”関係だったはずのみんな。
そう思っていたのは自分だけ?いやいや、目が合った時にそらしてきたのはあっち。
ならきっと彼女たちは、一歩踏み込む勇気があって。勝手に人の世界に入り込んでいくことができて。
「せんぱーい!!なんかこの子がお土産渡したいらしいですよ?」
時に、部活で同じの同学年というだけの繋がりでも、その勇気を活かしてくれて。
先輩との垣根なんてすべてを踏み越えていくことが、彼女にはできて。
「っ、すみませんっ、!」
でも、私にはできないから。
だから今は、せっかくのチャンスを活かすだけ。
ぼろぼろでも渡せればオールオッケー。
逃げるように立ち去ったとしてもなんだったとしても、きっと大丈夫。
ありがとう、という声がかすかに聞こえた気がした。
「で、なんか言ってた!?どうだった!?」
そうやって私の世界を荒らしていく彼女たちに半ば呆れ、半ば感謝し、恨みと申し訳なさがないまぜになって、今の心はぐちゃぐちゃだ。
「うるさいなぁ」
その、思いやりなのかそうじゃないのか判別が難しい配慮にも素直に応えずに、彼女たちには呆れているということにしておく。
――だって、みんなのことが好きだから。
まだ沈まない夕日は、暑苦しいくらいに私たちを強く照らしている。
「待ってよー!」
私は少し笑って、みんなのことを追いかけた。
「……はは、また渡せなかったや」
靴箱の前で一人。
さっきまで追いかけた影はもうなくて、ただ窓から注ぐ夕日がまぶしい。
手に持っているお土産は、もう2週間も前に買ったもの。
会えない日もあったとはいえ、鮮度は落ちて賞味期限切れすれすれかもしれない。キーホルダーだけど。
後ろから、同じ部活の子たちの声がする。
別にやましいことはしていないし、気まずいことがあったわけではない。
でも先に部室を出た手前、まだ靴箱にいるのも変に思えて、慌てて革靴を履いて外へ飛び出す。
夕日は、残酷なまでに綺麗に、まだ手の中にあるキーホルダーを照らしていた。
――だめだった。
――今日も、だめだった。
その積み重ねで、渡す気も渡せる気も失せていく。
なんで渡せないの?
緊張するから?周囲の目が気になるから?冷やかされるのが怖いから?自信がないから?
全部そう。全部正解、百点満点。
でも、一番はやっぱり、
[水平線]
同じ部活の子たちにだって、嫌われているわけではないのだと思う。
その本心はわからないけれど部活中は普通に雑談できるし、疎外感を感じることはあっても省かれているわけではない。
ただ、住む世界が違う、というか。
一歩踏み込めば仲良くなれるかもしれないのに、それをする勇気がないから“気まずい”まま。
そして、先輩との壁はもっとずっと厚いから。
だから、絶妙に近づけない距離をずーっと保って、時々話して満足して。
ほんと馬鹿だ。
そんなことで、自分の勇気がないだけで、「孤立したかも」とか「仲良くなれない」とか。
そんなの勇気を出してからいうことだ。自分が一番わかってる。
いっそ、仲良くなんてなりたくない、人間関係なんてどうでもいい、と言えれば楽だった。
でも友情も恋愛もいつも中途半端で、夢見がちで、拒否する勇気すらない私。
でも、距離を置くなんて、できるわけないよね?
だって、
[水平線]
「てか先輩に早く渡しなよー?代わりに言ってあげよっか?」
お土産はずっと渡せていないままリュックにしまっている。あれから数日経ったとはいえ渡せるわけがなかった。
“気まずい”関係だったはずのみんな。
そう思っていたのは自分だけ?いやいや、目が合った時にそらしてきたのはあっち。
ならきっと彼女たちは、一歩踏み込む勇気があって。勝手に人の世界に入り込んでいくことができて。
「せんぱーい!!なんかこの子がお土産渡したいらしいですよ?」
時に、部活で同じの同学年というだけの繋がりでも、その勇気を活かしてくれて。
先輩との垣根なんてすべてを踏み越えていくことが、彼女にはできて。
「っ、すみませんっ、!」
でも、私にはできないから。
だから今は、せっかくのチャンスを活かすだけ。
ぼろぼろでも渡せればオールオッケー。
逃げるように立ち去ったとしてもなんだったとしても、きっと大丈夫。
ありがとう、という声がかすかに聞こえた気がした。
「で、なんか言ってた!?どうだった!?」
そうやって私の世界を荒らしていく彼女たちに半ば呆れ、半ば感謝し、恨みと申し訳なさがないまぜになって、今の心はぐちゃぐちゃだ。
「うるさいなぁ」
その、思いやりなのかそうじゃないのか判別が難しい配慮にも素直に応えずに、彼女たちには呆れているということにしておく。
――だって、みんなのことが好きだから。
まだ沈まない夕日は、暑苦しいくらいに私たちを強く照らしている。
「待ってよー!」
私は少し笑って、みんなのことを追いかけた。
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