同じ部活に入ったからこそわかったこと。
[漢字]五月[/漢字][ふりがな]めい[/ふりがな]ちゃんは、みんなに好かれている。
当たり前だ。容姿端麗・頭脳明晰なんて完璧ってほどじゃないかもだけど、人が良くてかわいらしくて、部活でも大活躍している五月ちゃんを嫌いになる人なんてきっといない。いたとしたら多分、嫉妬している人くらい。
「五月先輩!これってどう描くんですか?」
「あっ、森野先輩こんにちは!」
「五月ちゃんお願い!!これ職員室まで持ってくの手伝ってー!」
「そうそう、森野さんちょうどよかった!あの……」
後輩にも同級生にも先生にも、信頼されて、好かれて。
そんな輝いた学校生活に僕が入る余地なんてなかったんじゃないか。
ただ実はそんなもの杞憂で、五月ちゃんは昔と変わらない優しさで僕を受け入れてくれて、たくさん話しかけてくれた。けれど、“先輩”として時には厳しい時だってあった。
それが、心地よくて。でも、物足りなくて。
そしてなにより、日々そうやって複雑な気持ちを抱えている間にも五月ちゃんは僕なんか置いてどんどん先に行ってしまうような気がして。
いっそのこと、手紙を書いてしまおう、と思った。
好きだっていうのもそうだし、この複雑な気持ちを、すべて打ち明けてしまおう。今まで使ったこともないようなおしゃれな便箋に、綺麗な言葉で思いを綴る。
嫌だ、と思われるかもしれない。
でもそうしたら無理に話してくれなくてもいい。この手紙を渡して、もし五月ちゃんが僕を嫌に感じたなら、もうそこで僕の片想いは終わりにしよう。
そうやって書き終えた手紙。
いざ渡そう、と思って部活に行ったものの、顔を合わせたとたん、僕の決意は儚く散った。五月ちゃんといる時間が楽しくて、絵に向かうその横顔が美しくて。こんな関係性でも、終わらせるのが怖いと感じてしまったから。
「なあなあ、俺の知り合いの先輩に、東中限定だけど告白代行やってるやつがいるんだけど、やってもらえば?」
ふと、クラスメイトのそんな言葉を思い出す。僕に好きな人がいることがバレ、驚かれた時だったか。代行やってるのはたしか……2年1組の、早坂さん。
仲良くもないクラスメイトの、ちょっとした言葉だけれど、どうしようもない僕はそれに頼るしかない。
部活中だけれどそっと抜け出して、二年のフロアに向かう。
ちょうど早坂さんがいて、本当に良かった。
「っ、早坂さん!これ、五月ちゃん……3年2組の、森野五月先輩に渡してもらえませんかっ!」
この人から見ても先輩なのに渡させるだなんて申し訳ないな、と思いつつも手紙を押し付けるようにして、
「え、ちょっ、待ってー!!」
早坂さんの驚いた声と顔をよそにさっと走り去った。
本当に、本当にごめんなさい。でもこうするほかないんです。
心の中でそう唱えながら。
運の悪いことにいつのまにか中間テストが迫っていたようで、部活がしばらくなく。
数週間後。
さすがにもう手紙も渡されているのかな、とかぐるぐる考えながら、恐る恐る活動場所である美術室に向かう。すると、そこには。
「一都くん久しぶり、だね。会えるの、楽しみにしてたよ!」
僕と目が合った瞬間、夕焼け空のように頬を赤らめ笑う、五月ちゃんがいた。
季節外れの五月の葉っぱが、川を舞い、共に流れていく。
季節外れの葉っぱじゃないけれど、僕の恋もまだ終わらない。
[漢字]五月[/漢字][ふりがな]めい[/ふりがな]ちゃんは、みんなに好かれている。
当たり前だ。容姿端麗・頭脳明晰なんて完璧ってほどじゃないかもだけど、人が良くてかわいらしくて、部活でも大活躍している五月ちゃんを嫌いになる人なんてきっといない。いたとしたら多分、嫉妬している人くらい。
「五月先輩!これってどう描くんですか?」
「あっ、森野先輩こんにちは!」
「五月ちゃんお願い!!これ職員室まで持ってくの手伝ってー!」
「そうそう、森野さんちょうどよかった!あの……」
後輩にも同級生にも先生にも、信頼されて、好かれて。
そんな輝いた学校生活に僕が入る余地なんてなかったんじゃないか。
ただ実はそんなもの杞憂で、五月ちゃんは昔と変わらない優しさで僕を受け入れてくれて、たくさん話しかけてくれた。けれど、“先輩”として時には厳しい時だってあった。
それが、心地よくて。でも、物足りなくて。
そしてなにより、日々そうやって複雑な気持ちを抱えている間にも五月ちゃんは僕なんか置いてどんどん先に行ってしまうような気がして。
いっそのこと、手紙を書いてしまおう、と思った。
好きだっていうのもそうだし、この複雑な気持ちを、すべて打ち明けてしまおう。今まで使ったこともないようなおしゃれな便箋に、綺麗な言葉で思いを綴る。
嫌だ、と思われるかもしれない。
でもそうしたら無理に話してくれなくてもいい。この手紙を渡して、もし五月ちゃんが僕を嫌に感じたなら、もうそこで僕の片想いは終わりにしよう。
そうやって書き終えた手紙。
いざ渡そう、と思って部活に行ったものの、顔を合わせたとたん、僕の決意は儚く散った。五月ちゃんといる時間が楽しくて、絵に向かうその横顔が美しくて。こんな関係性でも、終わらせるのが怖いと感じてしまったから。
「なあなあ、俺の知り合いの先輩に、東中限定だけど告白代行やってるやつがいるんだけど、やってもらえば?」
ふと、クラスメイトのそんな言葉を思い出す。僕に好きな人がいることがバレ、驚かれた時だったか。代行やってるのはたしか……2年1組の、早坂さん。
仲良くもないクラスメイトの、ちょっとした言葉だけれど、どうしようもない僕はそれに頼るしかない。
部活中だけれどそっと抜け出して、二年のフロアに向かう。
ちょうど早坂さんがいて、本当に良かった。
「っ、早坂さん!これ、五月ちゃん……3年2組の、森野五月先輩に渡してもらえませんかっ!」
この人から見ても先輩なのに渡させるだなんて申し訳ないな、と思いつつも手紙を押し付けるようにして、
「え、ちょっ、待ってー!!」
早坂さんの驚いた声と顔をよそにさっと走り去った。
本当に、本当にごめんなさい。でもこうするほかないんです。
心の中でそう唱えながら。
運の悪いことにいつのまにか中間テストが迫っていたようで、部活がしばらくなく。
数週間後。
さすがにもう手紙も渡されているのかな、とかぐるぐる考えながら、恐る恐る活動場所である美術室に向かう。すると、そこには。
「一都くん久しぶり、だね。会えるの、楽しみにしてたよ!」
僕と目が合った瞬間、夕焼け空のように頬を赤らめ笑う、五月ちゃんがいた。
季節外れの五月の葉っぱが、川を舞い、共に流れていく。
季節外れの葉っぱじゃないけれど、僕の恋もまだ終わらない。