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宗教とか物理的なこととか色々無視してます!
Angel's ladder
[中央寄せ][明朝体]――天使の[漢字]梯子[/漢字][ふりがな]はしご[/ふりがな]。[/明朝体][/中央寄せ]
正式な名を薄明光線というその光は、まるで、天使が空から降りてくる梯子のように見えるらしい。見たら幸運が訪れるなんて話もある。
これは、梯子を下りた天使くんと、天使に出会った女の子のお話。
「もう、エルったら、本当にやんちゃなんだから」
大きな雲の上で穏やかな光に包まれている、まさに楽園。そこには、たくさんの天使たちが幸せに暮らしていました。
その中に、ひときわやんちゃな男の子がいました。
名前はエル。好奇心旺盛なその男の子は、友達と勝手に出かけては叱られ、天界では幼いながらも名を知られた存在。何回かそんなことを繰り返すと、エルの興味は天界だけにとどまらず、下界へと移っていきました。空での生活は平和だったけれど、知らないものがいっぱいの下界で暮らす人間たちは、エルをはじめ幼い天使の憧れでもありました。
エルのような幼い天使が下界に下る方法はただ一つ、時々現れる光の梯子を下りること。現れたその光はとても美しく、人間にも天使にも人気が高いそう。エルは梯子が現れたら必ず下りてみようと心に決めて、毎日を過ごしていました。
ある日の朝。ついに、待ちに待った日がやってきました。
「わぁ、きれい!」
いつも過ごしている大きな雲に切れ目が入り、そこから下界に黄金の光が差し込んでいます。スポットライトのように照らされる町並みは、はるか高くから見ても美しく、エルの決意を後押しするには十分でした。
小さな体でゆっくりとゆっくりと、光の筋を下りていきます。
黄金に光る美しい梯子。触れると温かく、じんわりと熱が溶け込んでいくような感覚。
天使にとっても神聖に感じられるそれは、果てしなく長く続いているように思えるのです。
何十分経った頃でしょうか、徐々に地上が近くなってきました。
やっとのことで辿り着いた先は小さな住宅街。立ち並ぶ家々、公園に道路。すべてが天界とは少し違い、すべてがエルを興奮させます。エルはその全てを見たくて、思わず駆け出しました。
「おなかすいた……」
数時間歩き回り、日が高く昇ってきました。そろそろお昼の時間でしょう。へとへとでお腹が空いたエルは、そろそろ天界に帰ることにしました。
ただ、現実はそう甘くはないようで。
「はしご、なくなってる……!」
雲の動き、太陽の角度。いつのまにか梯子はなくなってしまっていました。これは天使くん、絶体絶命の大ピンチ。どうしようもなくアタフタと彷徨っていると、1人の人間が声をかけてきました。エルより背が高くて、髪を長く三つ編みにしています。エルより少し年上の女の子でしょう。
「どうしたの?迷子?」
彼女はしゃがんでそう声をかけてきました。エルは突然登場した女の子に驚きつつ、口を開きました。
「それがね、おうちの場所はわかるんだけど、かえれなくなっちゃったの。」
「うーん、そうなんだ、おうちはどこにあるの?」
「くもの上だよ!」
「え、雲の上?え、どういうこと?」
「空の上からきたの!」
「空の上……ってことは幽霊?」
「ぼくゆうれいじゃないよ!ほら、これ、天使のわ!」
「え、うそ、天使?現実にいるの!?」
現実にいるのと言われても、エルにとっては当たり前のことです。まあ、人間は天使の存在を信じていない方の方が多いでしょうし。ただ、エルはその事を知らないからか、存在を疑われて戸惑っています。
その時、エルのお腹が小さく鳴りました。
「……おなかすいてたりする?ご飯食べたい?」
「うん!」
女の子の一言で、2人は昼食を取ることにしたのでした。
「おねーさんってなんて名前なの?」
「ああ、私?るみって名前だよ。そういえば君は?」
「ぼく、エル!」
「エルかぁ、やっぱ天使っぽいね~」
いろんなことを話しながら着いた先は、某ハンバーガーチェーン店。
「まあそんなに高いもんじゃないけど食べて。ここなら持ち金でギリ2人分払えるし……」
「なにこれ!?おいしいの?」
エルはハンバーガーを知らないらしく、どれにすればいいのか分からないようです。そんなエルを見たるみは、チーズバーガーを2つ頼むことにしました。自分の分はセットで、エルの食べる量は分からないのでとりあえず単品で。
「‼」
エルは初めて“ハンバーガー”なるものを食べ、感動しています。かなり気に入ったようで、ぱくぱくと食べ進めていきます。
「ふふ、おいしいでしょ~」
エルを連れてきたるみも、心なしか得意げな様子。しばらく沈黙が流れ、2人の食べる音だけが響きます。
「というか、エルはどうやってここに来たの?空飛んで、じゃないんだよね?」
「光るはしごをおりてきたの!でも、かえろうと思ったらなくなってたの。」
「……あ、もしかして“天使の梯子”ってやつ?あれ本当に天使下りてくるんだ……」
薄く笑いながら言ったるみは、ふと外を見ました。
すると、なんと、雲を切り裂いて一筋の眩しい光が差し込んでいます。たった一筋、店のすぐ隣の広場に。
「天使くん、そろそろ家に帰れるっぽいよ?」
るみがエルに伝えると、彼は慌てて残りのハンバーガーを食べ、喜んで店を出ました。
「これ……ぼくがおりてきたのと同じやつ!」
そこには紛れもない天使の梯子があり、高く高く雲の上に続いていました。
「これを上ったら帰れるってことだよね…?」
「うん!おねーさん、見つけてくれてありがとう!」
「いいね、天界かぁ。気をつけて帰ってね〜」
「……おねーさんも、空の上いきたいの?」
「いやいや、お亡くなりしたいわけじゃないよ!?でも楽しそうじゃん?」
「そっか~」
――じゃあさ、つれてってあげる!
るみの耳もとでそんな声が聞こえたかと思うと、辺りは一瞬で金色の光に包まれました。
周りをキラキラとした粒が通り抜け、生ぬるい風が辺りを駆け抜けます。
ふわりと宙に浮いたような感覚がしたあと、目を開けてみれば、辺り一面は真っ青な空。
なんと天使くんと女の子は梯子の真ん中あたりにいました。
「わーい、できた!!」
「え……?えどゆこと?」
「がんばってここまでおねーさんをつれてきたんだよ!これのぼったら空の上だよ?」
「えちょっと待って、天界ってまじで行っていいの?……これ、夢じゃないよね……?」
るみは戸惑いつつもエルについていきます。
しばらくして辿り着いたのは、雲の上。
どこからともなくそよ風が吹く、穏やかな場所。
それは、純白の建物や黄金の柱、色とりどりの花々やらで飾られた楽園。
「もう、エル!どこ行ってたの!?」
どこからかそんな声も聞こえてきます。
これは、天使の男の子と人間の女の子の旅のお話。
天界と地上をほぼ自由に行き来できるようになった二人の物語。
きっと2人の旅は、まだ終わらない。
正式な名を薄明光線というその光は、まるで、天使が空から降りてくる梯子のように見えるらしい。見たら幸運が訪れるなんて話もある。
これは、梯子を下りた天使くんと、天使に出会った女の子のお話。
「もう、エルったら、本当にやんちゃなんだから」
大きな雲の上で穏やかな光に包まれている、まさに楽園。そこには、たくさんの天使たちが幸せに暮らしていました。
その中に、ひときわやんちゃな男の子がいました。
名前はエル。好奇心旺盛なその男の子は、友達と勝手に出かけては叱られ、天界では幼いながらも名を知られた存在。何回かそんなことを繰り返すと、エルの興味は天界だけにとどまらず、下界へと移っていきました。空での生活は平和だったけれど、知らないものがいっぱいの下界で暮らす人間たちは、エルをはじめ幼い天使の憧れでもありました。
エルのような幼い天使が下界に下る方法はただ一つ、時々現れる光の梯子を下りること。現れたその光はとても美しく、人間にも天使にも人気が高いそう。エルは梯子が現れたら必ず下りてみようと心に決めて、毎日を過ごしていました。
ある日の朝。ついに、待ちに待った日がやってきました。
「わぁ、きれい!」
いつも過ごしている大きな雲に切れ目が入り、そこから下界に黄金の光が差し込んでいます。スポットライトのように照らされる町並みは、はるか高くから見ても美しく、エルの決意を後押しするには十分でした。
小さな体でゆっくりとゆっくりと、光の筋を下りていきます。
黄金に光る美しい梯子。触れると温かく、じんわりと熱が溶け込んでいくような感覚。
天使にとっても神聖に感じられるそれは、果てしなく長く続いているように思えるのです。
何十分経った頃でしょうか、徐々に地上が近くなってきました。
やっとのことで辿り着いた先は小さな住宅街。立ち並ぶ家々、公園に道路。すべてが天界とは少し違い、すべてがエルを興奮させます。エルはその全てを見たくて、思わず駆け出しました。
「おなかすいた……」
数時間歩き回り、日が高く昇ってきました。そろそろお昼の時間でしょう。へとへとでお腹が空いたエルは、そろそろ天界に帰ることにしました。
ただ、現実はそう甘くはないようで。
「はしご、なくなってる……!」
雲の動き、太陽の角度。いつのまにか梯子はなくなってしまっていました。これは天使くん、絶体絶命の大ピンチ。どうしようもなくアタフタと彷徨っていると、1人の人間が声をかけてきました。エルより背が高くて、髪を長く三つ編みにしています。エルより少し年上の女の子でしょう。
「どうしたの?迷子?」
彼女はしゃがんでそう声をかけてきました。エルは突然登場した女の子に驚きつつ、口を開きました。
「それがね、おうちの場所はわかるんだけど、かえれなくなっちゃったの。」
「うーん、そうなんだ、おうちはどこにあるの?」
「くもの上だよ!」
「え、雲の上?え、どういうこと?」
「空の上からきたの!」
「空の上……ってことは幽霊?」
「ぼくゆうれいじゃないよ!ほら、これ、天使のわ!」
「え、うそ、天使?現実にいるの!?」
現実にいるのと言われても、エルにとっては当たり前のことです。まあ、人間は天使の存在を信じていない方の方が多いでしょうし。ただ、エルはその事を知らないからか、存在を疑われて戸惑っています。
その時、エルのお腹が小さく鳴りました。
「……おなかすいてたりする?ご飯食べたい?」
「うん!」
女の子の一言で、2人は昼食を取ることにしたのでした。
「おねーさんってなんて名前なの?」
「ああ、私?るみって名前だよ。そういえば君は?」
「ぼく、エル!」
「エルかぁ、やっぱ天使っぽいね~」
いろんなことを話しながら着いた先は、某ハンバーガーチェーン店。
「まあそんなに高いもんじゃないけど食べて。ここなら持ち金でギリ2人分払えるし……」
「なにこれ!?おいしいの?」
エルはハンバーガーを知らないらしく、どれにすればいいのか分からないようです。そんなエルを見たるみは、チーズバーガーを2つ頼むことにしました。自分の分はセットで、エルの食べる量は分からないのでとりあえず単品で。
「‼」
エルは初めて“ハンバーガー”なるものを食べ、感動しています。かなり気に入ったようで、ぱくぱくと食べ進めていきます。
「ふふ、おいしいでしょ~」
エルを連れてきたるみも、心なしか得意げな様子。しばらく沈黙が流れ、2人の食べる音だけが響きます。
「というか、エルはどうやってここに来たの?空飛んで、じゃないんだよね?」
「光るはしごをおりてきたの!でも、かえろうと思ったらなくなってたの。」
「……あ、もしかして“天使の梯子”ってやつ?あれ本当に天使下りてくるんだ……」
薄く笑いながら言ったるみは、ふと外を見ました。
すると、なんと、雲を切り裂いて一筋の眩しい光が差し込んでいます。たった一筋、店のすぐ隣の広場に。
「天使くん、そろそろ家に帰れるっぽいよ?」
るみがエルに伝えると、彼は慌てて残りのハンバーガーを食べ、喜んで店を出ました。
「これ……ぼくがおりてきたのと同じやつ!」
そこには紛れもない天使の梯子があり、高く高く雲の上に続いていました。
「これを上ったら帰れるってことだよね…?」
「うん!おねーさん、見つけてくれてありがとう!」
「いいね、天界かぁ。気をつけて帰ってね〜」
「……おねーさんも、空の上いきたいの?」
「いやいや、お亡くなりしたいわけじゃないよ!?でも楽しそうじゃん?」
「そっか~」
――じゃあさ、つれてってあげる!
るみの耳もとでそんな声が聞こえたかと思うと、辺りは一瞬で金色の光に包まれました。
周りをキラキラとした粒が通り抜け、生ぬるい風が辺りを駆け抜けます。
ふわりと宙に浮いたような感覚がしたあと、目を開けてみれば、辺り一面は真っ青な空。
なんと天使くんと女の子は梯子の真ん中あたりにいました。
「わーい、できた!!」
「え……?えどゆこと?」
「がんばってここまでおねーさんをつれてきたんだよ!これのぼったら空の上だよ?」
「えちょっと待って、天界ってまじで行っていいの?……これ、夢じゃないよね……?」
るみは戸惑いつつもエルについていきます。
しばらくして辿り着いたのは、雲の上。
どこからともなくそよ風が吹く、穏やかな場所。
それは、純白の建物や黄金の柱、色とりどりの花々やらで飾られた楽園。
「もう、エル!どこ行ってたの!?」
どこからかそんな声も聞こえてきます。
これは、天使の男の子と人間の女の子の旅のお話。
天界と地上をほぼ自由に行き来できるようになった二人の物語。
きっと2人の旅は、まだ終わらない。
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