亮介と夏帆が付き合ってから2週間。意外にもあの2人はうまくやっているらしい。告白を代行した私にとっても、代行した甲斐があるというものだ。
それと一緒に流れている、「怜が告白代行をやっている」という噂。学校内では結構広まっている話だが、それを知ったのはつい最近のこと。友達のためにやっただけだし、依頼が来たら断ろう。この考えが楽観的すぎたと怜が知るのは、もう少しだけ後の話。
ある朝、教室に入ったとき、ふと机の中に何か入っているような気がした。突っ込んだ手に触れる紙の感触。慌てて取り出してみると、封筒に入った一通の手紙があった。慌てて裏返してみると、そこには見慣れた丸文字が並んでいた。
「マジか……」
思わず声が出るのも当然だろう。むしろ、小声に抑えられた私を褒めたいくらいだ。だって、そこには依頼状があったのだから。そして、差出人は今まさに隣の席に座っている[漢字]雨晴結衣[/漢字][ふりがな]あめはれゆい[/ふりがな]なのだから。
[水平線]
怜へ
突然なんだけど、怜って最近告白代行してるんでしょ?
実は結衣、お願いがあるんだけど。同クラのあらたに告ってほしくて。“あらたのこと結衣が好きらしいよ~”みたいなノリで全然いいから!結衣が自分で言うの、ガチ無理だからお願いしたい。あらたのことバリ好きだから、頼んだ!!
急にごめん。よろしく!
結衣より
[水平線]
これは、いつも明るくて優しい結衣からされた初めての頼み事。軽いノリのようだけど、たぶん真剣。それをすっぱり断ってしまうのは少し申し訳ない。これでやらなかったら好きな人をタダで知ったのと同じ。
でも、だからといって告白代行なんてサービスを始めようとも思わない。
どうしようかと頭を悩ませていた時、隣の席に座る結衣と思いがけず目が合う。慌てて声をかけようと私が席を立った瞬間、あろうことか彼女はウィンクして席を立ち、廊下に出ていった。
「クッソあいつ……」
少々口が悪くなってしまったが、誰にも聞かれていないようなのでとりあえずホッとする。戻ってきたら話そう、そう考えて一時間目の準備を始める。
――結衣は、朝礼が始まる直前まで教室に姿を見せなかった。
その後も話しかけようとするたび、結衣はどこかに消えたりわざとらしく他の友達と話し始めたり。
「あれ……?これ、断れないやつじゃない?」
そう気づいたのは、雲の隙間から夕日が注ぐ教室から結衣がそそくさと帰っていった時だった。
部活の声が聞こえてくる教室でただ一人、もう一度手紙を読み返す。その文章は明るくて軽くて、一見真剣じゃないようにも思えて。でも、真剣じゃなかったらきっと結衣は手紙で頼み事なんてしないし、逃げたりもしない。それは、去年全く関わってこなかったとはいえ、隣の席になって――友達に、なったからこそわかる。
「しょうがないなぁ……。」
思わず苦笑が漏れる。そんな手のかかる友達のために、代行をやってやろうじゃないか。
それと一緒に流れている、「怜が告白代行をやっている」という噂。学校内では結構広まっている話だが、それを知ったのはつい最近のこと。友達のためにやっただけだし、依頼が来たら断ろう。この考えが楽観的すぎたと怜が知るのは、もう少しだけ後の話。
ある朝、教室に入ったとき、ふと机の中に何か入っているような気がした。突っ込んだ手に触れる紙の感触。慌てて取り出してみると、封筒に入った一通の手紙があった。慌てて裏返してみると、そこには見慣れた丸文字が並んでいた。
「マジか……」
思わず声が出るのも当然だろう。むしろ、小声に抑えられた私を褒めたいくらいだ。だって、そこには依頼状があったのだから。そして、差出人は今まさに隣の席に座っている[漢字]雨晴結衣[/漢字][ふりがな]あめはれゆい[/ふりがな]なのだから。
[水平線]
怜へ
突然なんだけど、怜って最近告白代行してるんでしょ?
実は結衣、お願いがあるんだけど。同クラのあらたに告ってほしくて。“あらたのこと結衣が好きらしいよ~”みたいなノリで全然いいから!結衣が自分で言うの、ガチ無理だからお願いしたい。あらたのことバリ好きだから、頼んだ!!
急にごめん。よろしく!
結衣より
[水平線]
これは、いつも明るくて優しい結衣からされた初めての頼み事。軽いノリのようだけど、たぶん真剣。それをすっぱり断ってしまうのは少し申し訳ない。これでやらなかったら好きな人をタダで知ったのと同じ。
でも、だからといって告白代行なんてサービスを始めようとも思わない。
どうしようかと頭を悩ませていた時、隣の席に座る結衣と思いがけず目が合う。慌てて声をかけようと私が席を立った瞬間、あろうことか彼女はウィンクして席を立ち、廊下に出ていった。
「クッソあいつ……」
少々口が悪くなってしまったが、誰にも聞かれていないようなのでとりあえずホッとする。戻ってきたら話そう、そう考えて一時間目の準備を始める。
――結衣は、朝礼が始まる直前まで教室に姿を見せなかった。
その後も話しかけようとするたび、結衣はどこかに消えたりわざとらしく他の友達と話し始めたり。
「あれ……?これ、断れないやつじゃない?」
そう気づいたのは、雲の隙間から夕日が注ぐ教室から結衣がそそくさと帰っていった時だった。
部活の声が聞こえてくる教室でただ一人、もう一度手紙を読み返す。その文章は明るくて軽くて、一見真剣じゃないようにも思えて。でも、真剣じゃなかったらきっと結衣は手紙で頼み事なんてしないし、逃げたりもしない。それは、去年全く関わってこなかったとはいえ、隣の席になって――友達に、なったからこそわかる。
「しょうがないなぁ……。」
思わず苦笑が漏れる。そんな手のかかる友達のために、代行をやってやろうじゃないか。