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イチから始める学校生活

#1

第1話 登校のメッセージ

しっかりと髪を一つに束ね、予備のヘアゴムをポケットに入れる。そういえば、小学校の時、髪をおろして登校したら、みんなから色々言われた。でも、その『みんな』ももういない。
多楚私立中等学園の制服は、濃い紺色のよくあるブレザーだ。白いシャツの上から紺色の上着を着て、赤いリボンを結ぶ。膝丈ほどあるスカートは、赤と紺のギンガムチェック。白いハイソックスに、黒い靴を履く。
「いってきまあす」
朝食を食べて、荷物のチェックもしてから、玄関のドアを開ける。涼しいとも暑いとも言えない風が頬をつたい、ひとつ結びの髪をなびかせる。多楚私立中等学園までは、距離がある。電車通学になるので、時間厳守になる。近くに住む宙とも、絶対に会うことのない時間に家を出なければならない。1時間ぐらい出る時間が違うのだから、当たり前だ。
定期を駅員に見せ、わたしはまだ空いている車内に座った。ふわっとしたクッションが、わたしの心を軽くしてくれる。
【[明朝体]起きたー?[/明朝体]】
【[明朝体]うん、起きた。おはよう。どうした?[/明朝体]】
【[明朝体]いや、もう今電車で、どうかなーって[/明朝体]】
【[明朝体]うわ、僕だったら絶対無理だ。多楚頑張れ[/明朝体]】
心葉からのメッセージに、ありがとうのスタンプで応答する。そういえば、心葉の家を知らない。心葉とは、このメッセージの細い繋がりで繋がっていかなきゃならない。
みんなが遠く感じられた。
「次は、[漢字]四津白[/漢字][ふりがな]よつしろ[/ふりがな]、四津白」
多楚私立中等学園までは4つ駅がある。1つ目がわたしの乗る[漢字]児波[/漢字][ふりがな]こなみ[/ふりがな]駅、2つ目がこの四津白駅、3つ目が[漢字]川喜[/漢字][ふりがな]かわき[/ふりがな]駅。川喜駅から急行に乗り換え、最後に[漢字]多楚[/漢字][ふりがな]たそ[/ふりがな]駅に到着。そこから少し歩くと、多楚私立中等学園が見えてくる。45分ほどで着くには着くのだが、時間をオーバーするのが怖くて少し余裕を持っている。
適当な動画を見つつ、わたしは川喜駅のアナウンスを聞いて、スマホをしまった。一気に人でごった返すので、早めに行くのがいいと下見の時にわかった。
そこから乗り換え、急行に乗り込む。車内は混雑していて、席は見当たらない。仕方ないと立ってスマホを見ると、心葉からメッセージが入ってきた。
【[明朝体]そろそろ家出ようかと。そっちはどう?[/明朝体]】
【[明朝体]川喜乗りました〜[/明朝体]】
【[明朝体]ちょっと何言ってるかわかんないですね[/明朝体]】
【[明朝体]乗るのが児波駅で、そっから四津白行って、今が川喜。こっから急行乗って多楚駅着いたら行けますわ[/明朝体]】
【[明朝体]よく覚えられるな[/明朝体]】
テンポよく繰り広げられる会話に、柔らかく終止符を打つ。あと数分で、多楚駅に着く。
スマホをしまって、景色を眺める。多楚私立中等学園の教室からは、どんな景色が見れるのだろうか。
そんなことをぼんやり考えながら、カバンを膝もとにやった。

2025/11/12 19:08

むらさきざくら
ID:≫ 6.c6MQtCEIR9s
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