「あ、千晴ちゃん」
そう言いながら、がたがたっと戸を開けた。
「元気?まあ、元気そうなのは見えてたけどね」
「あ、千鶴さん」
「千鶴さん?」
わたしが首をかしげると、千鶴さんも首を傾げた。
「そこの…黒髪の茶色い浴衣の子は?」
「ああ、弥生賀史織さん」
「ヤヨイガ?」
「あたしと同じで、ここに迷い込んだ。撫子さんとかに気に入られているから、能力とかももらってるの。本当羨ましいなって思いますよ、だってものに触れると歴史を感じることができるんでしょ?あたしみたいな巫女一筋のものじゃないよな〜って」
普段敬語なのに、今の千晴は敬語とタメ口が混じったような口調になっていた。
「それで、千鶴さんって」
「ああ。幽霊の方。100歳ぐらい、だったっけ?投資が出来るの。生前は不完全でその分バッシングもくらってたけど、今は極めて完全な透視ができるの」
「へぇ。本当にできるんですか?どういう仕組みなんですか?」
「それを言ったら、全部の能力の仕組みは、ほとんどわかんないんだけど?まあ、わたしなりの解釈でいいなら言うわ」
「教えてください」
話題の種を逃すまいと、わたしは食い入るように見つめた。
「ものが見えるには、目が必要でしょ?そうね、カメラみたいに目に光が入るの。わたしの場合、その光が入るときに、特殊な力が発生する。いわば霊力みたいなものね。レンズっていう水晶体で、普通はピントを合わせる。でも、わたしはどこらへんを透視するかを合わせる。手前か、もっと奥か、そもそも透視しないか、とか。あとは同じで、脳に電気信号を送って認識するっていうのが、わたしなりの解釈よ」
「へ、へえ」
「これでもだいぶ噛み砕いて説明したつもりなんだけど、やっぱり難しいわよね」
「まあ」
でも、超常現象を自分なりに解釈して、言語化するのには相当なスキルとか、そういうのが必要なはずだ。すごい。
「ふふ、まあわかってなくてもいいわよ、別に死ぬわけでもないんだし」
「ちょっと千鶴さん、喋りすぎですっ。今はあたしが史織さんと喋ってるんですけど」
「え?まあいいじゃない、わかったわ」
「もぉ〜」
千晴が頬を膨らませた。わたしは思い出したように、あっと言った。
「あ、これだけ教えてくださいっ。千鶴さんと千晴って、どうやって知り合ったんですか?」
「もうっ、なんであたしには呼び捨てで、千鶴さんには敬語なんですか?」
「だって、千晴だってそうじゃん。その方が言いやすいかなって」
「ま、どっちでもいいんですけどね」
「ふふ、わたしもよ」
そうにこやかに微笑み、千鶴さんは言う。
「千晴ちゃんが来るまで、巫女はわたしだったのよ。ある日千晴ちゃんが来て、撫子たちったら『この子には巫女としての素質がめちゃくちゃある!陰陽師になりたいとか言ってるけど、まずは巫女になって経験を積ませないと!』とかわざとらしく言うの。だから、わたしは先代の巫女で、色々教えているうちに親しくなったってわけ」
「は〜あ、普通に千鶴さんがそのまま巫女を引き継いどけばよかったんですけどねぇ」
そう言って、千鶴さんは立ち上がった。「じゃ、これでお暇させてもらうわ。楽しかった」
そう言いながら、がたがたっと戸を開けた。
「元気?まあ、元気そうなのは見えてたけどね」
「あ、千鶴さん」
「千鶴さん?」
わたしが首をかしげると、千鶴さんも首を傾げた。
「そこの…黒髪の茶色い浴衣の子は?」
「ああ、弥生賀史織さん」
「ヤヨイガ?」
「あたしと同じで、ここに迷い込んだ。撫子さんとかに気に入られているから、能力とかももらってるの。本当羨ましいなって思いますよ、だってものに触れると歴史を感じることができるんでしょ?あたしみたいな巫女一筋のものじゃないよな〜って」
普段敬語なのに、今の千晴は敬語とタメ口が混じったような口調になっていた。
「それで、千鶴さんって」
「ああ。幽霊の方。100歳ぐらい、だったっけ?投資が出来るの。生前は不完全でその分バッシングもくらってたけど、今は極めて完全な透視ができるの」
「へぇ。本当にできるんですか?どういう仕組みなんですか?」
「それを言ったら、全部の能力の仕組みは、ほとんどわかんないんだけど?まあ、わたしなりの解釈でいいなら言うわ」
「教えてください」
話題の種を逃すまいと、わたしは食い入るように見つめた。
「ものが見えるには、目が必要でしょ?そうね、カメラみたいに目に光が入るの。わたしの場合、その光が入るときに、特殊な力が発生する。いわば霊力みたいなものね。レンズっていう水晶体で、普通はピントを合わせる。でも、わたしはどこらへんを透視するかを合わせる。手前か、もっと奥か、そもそも透視しないか、とか。あとは同じで、脳に電気信号を送って認識するっていうのが、わたしなりの解釈よ」
「へ、へえ」
「これでもだいぶ噛み砕いて説明したつもりなんだけど、やっぱり難しいわよね」
「まあ」
でも、超常現象を自分なりに解釈して、言語化するのには相当なスキルとか、そういうのが必要なはずだ。すごい。
「ふふ、まあわかってなくてもいいわよ、別に死ぬわけでもないんだし」
「ちょっと千鶴さん、喋りすぎですっ。今はあたしが史織さんと喋ってるんですけど」
「え?まあいいじゃない、わかったわ」
「もぉ〜」
千晴が頬を膨らませた。わたしは思い出したように、あっと言った。
「あ、これだけ教えてくださいっ。千鶴さんと千晴って、どうやって知り合ったんですか?」
「もうっ、なんであたしには呼び捨てで、千鶴さんには敬語なんですか?」
「だって、千晴だってそうじゃん。その方が言いやすいかなって」
「ま、どっちでもいいんですけどね」
「ふふ、わたしもよ」
そうにこやかに微笑み、千鶴さんは言う。
「千晴ちゃんが来るまで、巫女はわたしだったのよ。ある日千晴ちゃんが来て、撫子たちったら『この子には巫女としての素質がめちゃくちゃある!陰陽師になりたいとか言ってるけど、まずは巫女になって経験を積ませないと!』とかわざとらしく言うの。だから、わたしは先代の巫女で、色々教えているうちに親しくなったってわけ」
「は〜あ、普通に千鶴さんがそのまま巫女を引き継いどけばよかったんですけどねぇ」
そう言って、千鶴さんは立ち上がった。「じゃ、これでお暇させてもらうわ。楽しかった」