昼休みは暇で、校内をふらりふらりと彷徨うのが定番となっていた。午後の行動は大体決まり、コンビニでサンドイッチを買ってあの席で食べて、目的もなく彷徨う。
窓の外を眺めていると、不意に音がした。懐かしい音だった。楠木山小学校で聞いた、あの歌。タイトルすら思い出せないが、その歌はしっかりとおぼえていた。
途中ぐらいになると、ようやくタイトルを思い出した。『旅立ちの日に』、だ。聞こえるほうに行くと、音楽室だった。広々としていて、音がよく通る。そっと入ると、艶々と綺麗な黒に白いハイライトを点々と打っているグランドピアノがあった。そこに、ひとりの女子が座っている。無表情に見えたが、ほんの少しだけ微笑みが浮かんでいた。
サビのところに入ると、わたしはぼそぼそと小さく歌詞を口ずさんでいた。綺麗な音楽だった。透き通るような音楽で、ふんわりとした包容力がある優しいピアノ。滑らかにすべる手は白くて綺麗で、この音楽を奏でられそうだった。のびやかで、好きに奏でている。
最後まで聞き終えたあと、拍手をしてしまっていた。
「あっ…」
後ろのほうでひとつ結びした彼女は、びくっと驚いたようにした。
「すごいと思った!」
そういったけれど、彼女はどこかに行ってしまっていた。ただ、黒くて日差しを反射するピアノが、広い音楽室に、わたしとともにあった。
窓の外を眺めていると、不意に音がした。懐かしい音だった。楠木山小学校で聞いた、あの歌。タイトルすら思い出せないが、その歌はしっかりとおぼえていた。
途中ぐらいになると、ようやくタイトルを思い出した。『旅立ちの日に』、だ。聞こえるほうに行くと、音楽室だった。広々としていて、音がよく通る。そっと入ると、艶々と綺麗な黒に白いハイライトを点々と打っているグランドピアノがあった。そこに、ひとりの女子が座っている。無表情に見えたが、ほんの少しだけ微笑みが浮かんでいた。
サビのところに入ると、わたしはぼそぼそと小さく歌詞を口ずさんでいた。綺麗な音楽だった。透き通るような音楽で、ふんわりとした包容力がある優しいピアノ。滑らかにすべる手は白くて綺麗で、この音楽を奏でられそうだった。のびやかで、好きに奏でている。
最後まで聞き終えたあと、拍手をしてしまっていた。
「あっ…」
後ろのほうでひとつ結びした彼女は、びくっと驚いたようにした。
「すごいと思った!」
そういったけれど、彼女はどこかに行ってしまっていた。ただ、黒くて日差しを反射するピアノが、広い音楽室に、わたしとともにあった。