昼休みのチャイムが鳴った途端、教室のあちこちがざわめき出す。
お弁当を取り出す音、購買の方へ走る足音、お昼の校内放送のBGM。
あちこちで「一緒に食べよう!」という声が飛び交っていた。
[漢字]莉音[/漢字][ふりがな]りおん[/ふりがな]は、自分の机に頬杖をついて、教室の様子をぼんやり眺めていた。
(さ〜て、どうしようかな……)
お昼を誰と食べるか――
ただそれだけのことに『1年の付き合い方』みたいなものが見える気がして、ちょっと考えてしまう。
すると、
「莉音ー!!お昼どうする?一緒に食べようよっ!」
[漢字]柚望[/漢字][ふりがな]ゆの[/ふりがな]が元気よく教室に駆け込んできた。
手には購買の紙袋。あのスピードはもはや神業レベル。
(お昼休憩のときの柚望は、私よりも100m速いかもしれないな〜)
「あ〜うん。食べる食べる〜!」
「やった!じゃあ、えっと……莉音、この藤木くんの席、借りなよ!」
「そうさせてもらおうかな。そうだ、青端さんも誘ってみる〜?」
莉音が声をかけると、[漢字]紅子[/漢字][ふりがな]べす[/ふりがな]はいままさに開けようとしていたお弁当箱の蓋をそっと閉じて言った。
「……ご一緒してもいい?」
「「もちろんっ!!」」
3人で柚望・莉音・そして中にプリントが溜まりつつある『藤木くん』の机を寄せ始める。
「榊くんも一緒に食べる?」
莉音がふと凛に声を掛ける。
凛は一瞬だけ間を置き、静かに答えた。
「屋上に行く。」
「屋上〜?お弁当持って?」
「そう。」
それ以上の説明はなく、凛は藍色のランチョンマットに包まれたお弁当を手に、スタスタと行ってしまった。
「……あれって、やんわりと断られたかんじ!?」
「……多分、そうだと思います……。」
柚望と紅子がぽかんとした顔をしている横で、莉音はくすっと笑う。
「まあいいか〜。榊くん、ひとりの時間が好きそうだし。」
「そだね……。確かにあの人、一匹狼感あるわ。」
3つの机に、お弁当と購買のパンが並ぶ。
3人はそれぞれ手を合わせて、「いただきます」と声を揃えた。
「ねえねえ青端ちゃんって、お弁当自分で作ってるの?」
「いえ、母が作ってくれました。でも、そろそろ自分でやってみようかなって思ってて。」
「うわ、えらいなぁ〜!私とか一生親まかせだ〜。」
「私もそんな大したものは作れないよ〜!サンドイッチぐらいかな。食パン切って、挟むだけ。」
「それでも十分っ!!」
「青端さんが作るなら絶対きれいそう〜。」
そんな風にして、ぽつぽつと会話が続く。
まだ『大の仲良し』には遠いかもしれない。
会話が途切れることもある。
でも、それでも気まずくない、居心地の良い空気。
(ああ、こういうの、いいなぁ。)
莉音は、お弁当をひとくち口に運びながら、静かに思った。
その時、彼女はふと今自分が使わせてもらっている机の持ち主のことを思い出した。
(藤木くん、遅れてくるかと思ったけど……まだ来ないなあ。)
急な風邪か、もともと体調を崩していたのか。
あるいは、もともとあまり学校に来ないタイプなのかもしれない。
「莉音?どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ〜。さ、食べよ。」
笑顔でそう言うと、莉音はお箸でそっと卵焼きをつまみ、口にはこんだ。
ほんのり甘くて、あたたかかった。
昼下がりの春の光が、3人の机を明るく照らしていた。
お弁当を取り出す音、購買の方へ走る足音、お昼の校内放送のBGM。
あちこちで「一緒に食べよう!」という声が飛び交っていた。
[漢字]莉音[/漢字][ふりがな]りおん[/ふりがな]は、自分の机に頬杖をついて、教室の様子をぼんやり眺めていた。
(さ〜て、どうしようかな……)
お昼を誰と食べるか――
ただそれだけのことに『1年の付き合い方』みたいなものが見える気がして、ちょっと考えてしまう。
すると、
「莉音ー!!お昼どうする?一緒に食べようよっ!」
[漢字]柚望[/漢字][ふりがな]ゆの[/ふりがな]が元気よく教室に駆け込んできた。
手には購買の紙袋。あのスピードはもはや神業レベル。
(お昼休憩のときの柚望は、私よりも100m速いかもしれないな〜)
「あ〜うん。食べる食べる〜!」
「やった!じゃあ、えっと……莉音、この藤木くんの席、借りなよ!」
「そうさせてもらおうかな。そうだ、青端さんも誘ってみる〜?」
莉音が声をかけると、[漢字]紅子[/漢字][ふりがな]べす[/ふりがな]はいままさに開けようとしていたお弁当箱の蓋をそっと閉じて言った。
「……ご一緒してもいい?」
「「もちろんっ!!」」
3人で柚望・莉音・そして中にプリントが溜まりつつある『藤木くん』の机を寄せ始める。
「榊くんも一緒に食べる?」
莉音がふと凛に声を掛ける。
凛は一瞬だけ間を置き、静かに答えた。
「屋上に行く。」
「屋上〜?お弁当持って?」
「そう。」
それ以上の説明はなく、凛は藍色のランチョンマットに包まれたお弁当を手に、スタスタと行ってしまった。
「……あれって、やんわりと断られたかんじ!?」
「……多分、そうだと思います……。」
柚望と紅子がぽかんとした顔をしている横で、莉音はくすっと笑う。
「まあいいか〜。榊くん、ひとりの時間が好きそうだし。」
「そだね……。確かにあの人、一匹狼感あるわ。」
3つの机に、お弁当と購買のパンが並ぶ。
3人はそれぞれ手を合わせて、「いただきます」と声を揃えた。
「ねえねえ青端ちゃんって、お弁当自分で作ってるの?」
「いえ、母が作ってくれました。でも、そろそろ自分でやってみようかなって思ってて。」
「うわ、えらいなぁ〜!私とか一生親まかせだ〜。」
「私もそんな大したものは作れないよ〜!サンドイッチぐらいかな。食パン切って、挟むだけ。」
「それでも十分っ!!」
「青端さんが作るなら絶対きれいそう〜。」
そんな風にして、ぽつぽつと会話が続く。
まだ『大の仲良し』には遠いかもしれない。
会話が途切れることもある。
でも、それでも気まずくない、居心地の良い空気。
(ああ、こういうの、いいなぁ。)
莉音は、お弁当をひとくち口に運びながら、静かに思った。
その時、彼女はふと今自分が使わせてもらっている机の持ち主のことを思い出した。
(藤木くん、遅れてくるかと思ったけど……まだ来ないなあ。)
急な風邪か、もともと体調を崩していたのか。
あるいは、もともとあまり学校に来ないタイプなのかもしれない。
「莉音?どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ〜。さ、食べよ。」
笑顔でそう言うと、莉音はお箸でそっと卵焼きをつまみ、口にはこんだ。
ほんのり甘くて、あたたかかった。
昼下がりの春の光が、3人の机を明るく照らしていた。