うららかな春の光が、体育館の窓から静かに差し込んでいた。
壇上では、校長先生の長い挨拶が続いている。
言葉は聞こえているけれど、頭にはまるで入ってこない。ちらりと時計を見ると、校長の「え〜、皆さんご入学おめでとうございます……。」からもう10分経っていた。
前から4列目、左から4列目の席に座る[漢字]花山莉音[/漢字][ふりがな]はなやまりおん[/ふりがな]は、あくびをかみ殺しながらぼんやりと壇上を見上げる。セミロングの髪が、ふわりと肩にかかった。
「え〜、赤羽学園の伝統と規律を守り、え〜、日々の学びに努め、え〜……」
まだ終わらないらしい。
(このスピードで喋ってたら、あと何分…?)
スカートの座りジワを気にしながら、莉音がそんなことを考えていた時、ようやく「終わりに、え〜、新入生諸君の充実した赤羽生活を願って、え〜、式辞といたします。」という言葉が聞こえてきた。どうやら終わったらしい。
「新入生一同、起立!」
教頭先生の一声でバッと立ち上がる。
27分延びた入学式が終わった。
荷物を置いてきただけの教室へ戻ると、少しざわついている。その中に、ひときわ大きな声が響いた。
「え、ちょっと莉音!ウソ、マジで同じクラスなの!!??」
コーラル色のポニーテールを揺らしながら、背の高い女の子が駆け寄ってくる。
[漢字]真白柚望[/漢字][ふりがな]ましろゆの[/ふりがな]。中学1年生と3年生のとき、同じクラスだった。
「あ、おお〜、柚望!卒業式ぶりだね〜。受かったとは聞いてたけど、まさか同じクラスだとは思わなかったよ〜。」
「ほんとそれ。なんか運命感じるかも。え、席どこ?」
「えっと……あそこ。窓際の、後ろから2列目〜。」
莉音がすっと席を指差すと、柚望の目のキラキラがさらに強くなった。
「うわ、あたしその斜め前だよ!やった〜、おんなじ班だねっ!」
柚望のテンション高めの声に、周りからくすくすと笑いがこぼれる。が、当人はまるで気にする様子もなく、「じゃ、よろしくねっ!」とにっこり笑って席に着いた。莉音も「はいはい」と小さく笑って、自分の席へと向かう。
隣の席には、既に男子が座っていた。莉音がとすんと腰を下ろしても、こちらを一瞥することも、挨拶する様子もない。
長い黒髪を低めの位置で1つにまとめている。そしてキュッと真一文字に結ばれた唇。
「おはよっ。私、花山莉音だよ〜。隣、よろしくね〜。」
軽く声をかけると、
「……よろしく。」
と何とも愛想のない返事が返ってきた。
そっけないけれど、莉音にとってそれは悪印象を与えるものではなかった。
(うんうん、そういう人なんだね。あ〜、でも勿体ないなあ〜。もっと愛想良くすれば絶対モテる顔してるのに。)
そういえば、名前を聞きそびれていた。そっと名札を覗き見ると、
『榊凛』ーとあった。
(サカキ、リンくん……。サカキくんかあ。)
そんなことを思いながら、ふと教室をぐるりと見回す。
友達と笑ってる子。緊張した顔をしている子。寝ている子。本を読んでいる子。
いろんな顔が並んでいる。
よく分からないけれど、なんかこの学校生活は、面白くなりそう。
そんな予感がしていた。
壇上では、校長先生の長い挨拶が続いている。
言葉は聞こえているけれど、頭にはまるで入ってこない。ちらりと時計を見ると、校長の「え〜、皆さんご入学おめでとうございます……。」からもう10分経っていた。
前から4列目、左から4列目の席に座る[漢字]花山莉音[/漢字][ふりがな]はなやまりおん[/ふりがな]は、あくびをかみ殺しながらぼんやりと壇上を見上げる。セミロングの髪が、ふわりと肩にかかった。
「え〜、赤羽学園の伝統と規律を守り、え〜、日々の学びに努め、え〜……」
まだ終わらないらしい。
(このスピードで喋ってたら、あと何分…?)
スカートの座りジワを気にしながら、莉音がそんなことを考えていた時、ようやく「終わりに、え〜、新入生諸君の充実した赤羽生活を願って、え〜、式辞といたします。」という言葉が聞こえてきた。どうやら終わったらしい。
「新入生一同、起立!」
教頭先生の一声でバッと立ち上がる。
27分延びた入学式が終わった。
荷物を置いてきただけの教室へ戻ると、少しざわついている。その中に、ひときわ大きな声が響いた。
「え、ちょっと莉音!ウソ、マジで同じクラスなの!!??」
コーラル色のポニーテールを揺らしながら、背の高い女の子が駆け寄ってくる。
[漢字]真白柚望[/漢字][ふりがな]ましろゆの[/ふりがな]。中学1年生と3年生のとき、同じクラスだった。
「あ、おお〜、柚望!卒業式ぶりだね〜。受かったとは聞いてたけど、まさか同じクラスだとは思わなかったよ〜。」
「ほんとそれ。なんか運命感じるかも。え、席どこ?」
「えっと……あそこ。窓際の、後ろから2列目〜。」
莉音がすっと席を指差すと、柚望の目のキラキラがさらに強くなった。
「うわ、あたしその斜め前だよ!やった〜、おんなじ班だねっ!」
柚望のテンション高めの声に、周りからくすくすと笑いがこぼれる。が、当人はまるで気にする様子もなく、「じゃ、よろしくねっ!」とにっこり笑って席に着いた。莉音も「はいはい」と小さく笑って、自分の席へと向かう。
隣の席には、既に男子が座っていた。莉音がとすんと腰を下ろしても、こちらを一瞥することも、挨拶する様子もない。
長い黒髪を低めの位置で1つにまとめている。そしてキュッと真一文字に結ばれた唇。
「おはよっ。私、花山莉音だよ〜。隣、よろしくね〜。」
軽く声をかけると、
「……よろしく。」
と何とも愛想のない返事が返ってきた。
そっけないけれど、莉音にとってそれは悪印象を与えるものではなかった。
(うんうん、そういう人なんだね。あ〜、でも勿体ないなあ〜。もっと愛想良くすれば絶対モテる顔してるのに。)
そういえば、名前を聞きそびれていた。そっと名札を覗き見ると、
『榊凛』ーとあった。
(サカキ、リンくん……。サカキくんかあ。)
そんなことを思いながら、ふと教室をぐるりと見回す。
友達と笑ってる子。緊張した顔をしている子。寝ている子。本を読んでいる子。
いろんな顔が並んでいる。
よく分からないけれど、なんかこの学校生活は、面白くなりそう。
そんな予感がしていた。