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天王寺璃奈(当時中3)目線で展開します。別サイトからの転記です。
天王寺璃奈と青山由美が初めて肥薩おれんじ鉄道に乗った日
2023年9月3日、名古屋駅にて。
由美「よし、乗っていくぞ!!」
私「由美さん、見つけた」
由美「いや、なんでこんな朝早くの名古屋駅にりなりーがいるんだよ」
私「一人旅の阻止のため。前日に名古屋入りしてたんだ」
そう。由美さんが今日から大学の鉄研の夏合宿で熊本に向かうという話は既に知っていた。だから今回は初っ端から私がお供に入るべく、前日に名古屋入りして待ち伏せしていた。
由美「てか作者さん書くなって言ったのに」
私「書かれた理由は私が由美さんのことを好きだからだけじゃない」
由美「どういうことだよりなりー」
私「確か小川有佐ちゃんが昨日から阿蘇の実家に帰ってるって聞いたから、そのまま連行するのも目的なの」
由美「それもあったのか。まあ明日は月曜だし、有佐ちゃんは連れ帰って大丈夫です」
私「ありがとう」
一応私は中学生だから、明日も学校がある。学科こそ違うけど同じ学校で1つ下の有佐ちゃんが熊本から帰りたくないとか言い出したら、手錠をしてお台場まで強制送還するつもりだ。
私「そういう由美さんはまずどこまで行く予定だったの?」
由美「薩摩川内。そこから肥薩おれんじ鉄道とかいう、架線が引っ張ってあるのにディーゼルしか走らない路線に乗ろうかなって思ってて」
私「また由美さん、気動車ばっかり……」ハイライトオフ
由美「いけなかった?」
私「うん、ダメ。私が嫉妬しちゃうもん。だから新幹線内で、オシオキ♥」ハイライトオフ
由美「まじかよ……」
由美さんが重度の鉄道オタクだってことは知っていても、やっぱり嫉妬しちゃう。そんなこんなで私たちの旅は始まった。
乗ったのは名古屋7:06始発ののぞみ号。乗車券は学割利用、特急券はEX予約を使った。ここから3時間半乗りっぱなし。私と由美さんは隣り合わせの席だ。朝だけ食べて、そのまま寝てしまったけど、降りるのは終点だからあまり気にしてはいけない。そして10時15分過ぎに目を覚まし、気がつくともうすぐ博多到着。
私「結局何もできなかった」
由美「いや、命拾いしたんですが」
私「いいもん、乗り継ぎ先のさくらでキスしちゃうんだから」
由美「うわ、俺の乗り継ぎ先まで切符取られてた……」
私「由美さんの行動パターンは脳内情報からすべて計算済み」ハイライトオフ&ピース
由美「うちの家族以外の人にはやるなよ」
脳内情報については、私の自作AIを使うと遺伝子情報からインターネットを通じてすべて計算できる。由美さんや聡平さん、ジュリーや勇輝さんくらいにしか使わないし、特別に中部高速鉄道や本人たちからは許可をもらっているから犯罪にはならない。
由美「まあ、この後も昼をどこかで食べる時間無いし、おにぎりとおつまみだけ買うか」
私「私もそうする。熊本まで由美さんとずっと一緒がいい」
由美「やっぱりね」
というわけで、駅の売店で買うだけ買おう。由美さんは明太子とエビマヨのおにぎりの他に鶏皮チップを買っていた。私は普通に梅と鮭のおにぎりにした。
さて、やってきた新幹線さくら号は西日本の7000番台だった。ここからまた、1時間半の長旅が続く。
そして車内では…
私「早速キスするね」
由美「ちょっ…待っ…んっ♥」
やっと今年初のキスをあげられた♥
由美「まあ、家族みんなこの辺りは怒らないしいいか。添い寝は絶対ダメって決めていただけで」
私「既婚者なのに、緩すぎでしょ」
由美「まあね」苦笑
私「次虎ノ門行ったら揃ってお説教するかも」
由美「はい…」
お説教は嘘ではない。そうでもしないと由美さんのところはしゃんとした大人になれないような気がするから。
〜※〜
そして12時過ぎに[漢字]川内[/漢字][ふりがな]せんだい[/ふりがな]駅に到着した。宮城にも「せんだい」があるからかなり紛らわしかった。だけど由美さんのお陰で無事に降りることができた。私は社会科が比較的苦手だから、こういうときに鉄道ファンに助けられている。だから、一部の人がやっている「鉄オタ強制卒業祭り」を一切開催する気はない。
私「ごめんね由美さん」
由美「何かダメなことでも…」
私「いや、さっきの川内駅の案内の話。宮城県のあれと間違えそうになったのと、私自身は『かわうち』って読んでたから一瞬思考停止しちゃったの」
由美「まあ、ぼちぼち覚えましょう。こんなことで怒るわけが無いよ俺は」
私「ありがとう」
由美さんは基本呆れるほど寛容だけど、こういうときに優しく接してくれるから、かけがえのないお姉さん的な存在だ。それに、感情を顔に出すことも、私ほどではないけど少ないし、どことなく性格とか私に似ているから接しやすい。
そして向かったのは肥薩おれんじ鉄道線の川内駅。
由美「今回は俺が交通費を奢るぜ」
私「ありがとう。本当に助かる」
肥薩おれんじ鉄道は学割を使えない。だから由美さんに交通費を奢ってもらえるだけですごく嬉しい。
さて、12時29分になり、定刻通りに白い車体にオレンジ帯の1両編成のディーゼルカーは発車した。更にここから約2時間半乗りっぱなしになる。トイレがついているのがある意味救いだ。
由美「さ、お昼にするか」
私「だね」
おにぎりを食べながら列車は進む。そんな中気づいたことがある。乗っているのはディーゼルなのに、前方を見るとずっと電線が続いているということ。朝に由美さんが言っていた通りだ。どうやらこの路線、私がまだ生まれる少し前くらいから[太字]「お願いします!! 1年に1回、乗ってください。」[/太字]というポスターが沿線自治体向けに掲示されたほど赤字で、高価な交流用電車が使えないから気動車を走らせるしかないらしい。
それでも沿線には山が連なり、森に入り、トンネルを抜け、田んぼが広がり、何より阿久根の方まで来ると海が広がる。流石、ローカル線ならではの風景だ。
由美「今日は水面にキラキラ光が乱反射しているなぁ〜。ときめくよこれは」
私「私もうっとりしちゃう」
だけどこの風景もいつまで残るのか、少し不安にはなる。山のローカル線が大好きなシオンさんの気持ちもちょっとわかるかも。
次に、野田郷駅で2両編成の青い列車とすれ違う。おれんじ食堂だ。車内からは乗っている方たちが手を振ってくれた。こんな無愛想に見える私にでも、優しく接してくれるように感じただけで嬉しい。
そして出水駅で車庫が見え、くまモンラッピングがちらほらいたのも見えた。鉄道好きの皆さんは是非肥薩おれんじ鉄道に来て欲しい、心からそう思った。
新水俣を過ぎ、津奈木からは複線区間に入るけど…、
由美「曲がりくねってどこぞの中央西線みたいなんですが」
私「うん。都会の複線とはぜんぜん違うね」
カーブが多くて、下り線が見え隠れする。駅間距離がここだけ一番長いから複線になったように感じた。
〜※〜
そんなこんなで気がつくと八代に到着。乗ってきた1両ディーゼルは新八代行きだけど、切符が八代までだからここで下車するしか無い。改札を出て、私はSuicaで、由美さんはEdepaで改めて改札に入り直す。
八代駅の近くには日本製紙の工場が立つ。
由美「おっ、821系だ」
それよりも由美さんは眼の前にいた最新車両821系に夢中。直ちにカメラを向けて撮影するけど、やっぱり嫉妬しちゃう。
私「またやってる」
由美「ごめんって」
私「電車に嫉妬させないでよもう……」
スナップ写真とはいえ撮り鉄しているとなんとなくモヤッとする。だからこれ以上暴走はさせない。
さて、しばらくすると2両編成の赤と銀のワンマン車両がやってきた。815系だ。これに乗れば熊本まで出られるから乗ることにしよう。
〜※〜
八代駅は15時11分、定刻通りに発車した。鹿児島本線沿線でも田んぼが稲穂をつけて広がっていた。そして有佐駅、小川駅を含めた各駅に停車し、定刻通り15時50分に、無事に熊本駅に到着した。
熊本到着後は改札を出る。すると、
??「こんにちは、璃奈パイセン、由美ちゃん」
パイセン呼びをして誰に対しても気兼ねなく接してくれるバスオタクの小川有佐ちゃんが待っていた。
私「こんにちは」
有佐「2人はどのような目的でここに来たんですか?」
由美「俺は明日から南阿蘇鉄道で大学の鉄研の夏合宿があるから、肥薩おれんじ鉄道経由で熊本入りしただけ」
私「私は有佐ちゃんを迎えに来た」
有佐「璃奈パイセン、来なくても今日帰るつもりだったのに」
私「万が一有佐ちゃんが帰りたくないとか言い出したときに、意地でも連れ帰らないと明日学校に行けなくなるもん」
有佐「それなら理解しました」
そんな会話をしているともう1人、私と同じくらいの男の子が走ってやってきた。
??「はぁ…はぁ…って有佐ちゃん、この人達は知り合い?」
有佐「うん。こっちの黒髪の人は名古屋の大学に通う青山由美さん。そしてこっちのピンク髪の人は虹ヶ咲の中等部の先輩の天王寺璃奈さんだよ」
私「はじめまして。私、天王寺璃奈。感情を顔に出すのが苦手で無愛想だけど、仲良くしてね」
由美「青山由美です。名古屋の大学と中部高速鉄道で工学者の卵兼鉄オタやってます。虹ヶ咲に何人か知り合いがいるからその関係で有佐ちゃんのことも知ってるよ」
渉「僕は鶴岡渉です。有佐ちゃんの幼馴染で、阿蘇市の中学に通う3年生です。有佐ちゃんと同じでバスオタク、鉄道オタクやってます。よろしくお願いします」
私「えっ、渉くんと私が同じ学年だ」
渉「だから来年から共学化する虹ヶ咲を受けようかなって思ってて」
由美「あそこ、男子生徒もスカートタイプの女子制服しか用意できないけど大丈夫?」
渉「それもちゃんと把握済みです」
有佐「まあ、最初は驚いたけど、渉には虹ヶ咲に来て欲しいなって思うよ。それに渉は女装させるとすごく可愛いし」
渉「それを言わないでよ!!」
こうしてみんなで笑い飛ばす。
有佐「だけど帰りの新幹線が……」
私「うん。そろそろ解散にする?」
由美「そうしよう。早いところホテル入ってもいいし、時間があれば熊本電鉄に流れるのもありかなって」
渉「僕は次の普通列車で阿蘇に戻るよ」
私「由美さん、明日の夏合宿は無事にやってくること。私と約束してくれる?」
由美「もちろん!!」
こうして、私たちは解散になり、渉くんと由美さんとは別れる。私と有佐ちゃんはお土産だけ買ったら帰りの新幹線を予約した。
帰りの新幹線のぞみ号の車内にて。
有佐「でも1人で帰るより璃奈パイセンと一緒だから寂しくないです」
私「そう言ってくれて私も嬉しいよ」
有佐「よし、明日も頑張りましょう!!」
私「だね」
有佐「そういえば璃奈パイセン、今日はどこに行ってきたんですか?」
私「由美さんと一緒で、肥薩おれんじ鉄道。田んぼに山に、海まで広がる絶景路線だったよ」
有佐「璃奈パイセンも肥薩おれんじ鉄道の魅力がわかったんですね!!」
私「うん。全国中の鉄道ファンの皆さんにはぜひ来てもらいたいって感じたんだ。もちろん、私もまた乗りたい」
有佐「今後鉄道同好会で夏合宿の機会があればお誘いしますね」
私「ありがとう」
今回の肥薩おれんじ鉄道は素晴らしい路線だったけど、明日も学校だから、気持ちを切り替えて無事に帰京することにしよう。
由美「よし、乗っていくぞ!!」
私「由美さん、見つけた」
由美「いや、なんでこんな朝早くの名古屋駅にりなりーがいるんだよ」
私「一人旅の阻止のため。前日に名古屋入りしてたんだ」
そう。由美さんが今日から大学の鉄研の夏合宿で熊本に向かうという話は既に知っていた。だから今回は初っ端から私がお供に入るべく、前日に名古屋入りして待ち伏せしていた。
由美「てか作者さん書くなって言ったのに」
私「書かれた理由は私が由美さんのことを好きだからだけじゃない」
由美「どういうことだよりなりー」
私「確か小川有佐ちゃんが昨日から阿蘇の実家に帰ってるって聞いたから、そのまま連行するのも目的なの」
由美「それもあったのか。まあ明日は月曜だし、有佐ちゃんは連れ帰って大丈夫です」
私「ありがとう」
一応私は中学生だから、明日も学校がある。学科こそ違うけど同じ学校で1つ下の有佐ちゃんが熊本から帰りたくないとか言い出したら、手錠をしてお台場まで強制送還するつもりだ。
私「そういう由美さんはまずどこまで行く予定だったの?」
由美「薩摩川内。そこから肥薩おれんじ鉄道とかいう、架線が引っ張ってあるのにディーゼルしか走らない路線に乗ろうかなって思ってて」
私「また由美さん、気動車ばっかり……」ハイライトオフ
由美「いけなかった?」
私「うん、ダメ。私が嫉妬しちゃうもん。だから新幹線内で、オシオキ♥」ハイライトオフ
由美「まじかよ……」
由美さんが重度の鉄道オタクだってことは知っていても、やっぱり嫉妬しちゃう。そんなこんなで私たちの旅は始まった。
乗ったのは名古屋7:06始発ののぞみ号。乗車券は学割利用、特急券はEX予約を使った。ここから3時間半乗りっぱなし。私と由美さんは隣り合わせの席だ。朝だけ食べて、そのまま寝てしまったけど、降りるのは終点だからあまり気にしてはいけない。そして10時15分過ぎに目を覚まし、気がつくともうすぐ博多到着。
私「結局何もできなかった」
由美「いや、命拾いしたんですが」
私「いいもん、乗り継ぎ先のさくらでキスしちゃうんだから」
由美「うわ、俺の乗り継ぎ先まで切符取られてた……」
私「由美さんの行動パターンは脳内情報からすべて計算済み」ハイライトオフ&ピース
由美「うちの家族以外の人にはやるなよ」
脳内情報については、私の自作AIを使うと遺伝子情報からインターネットを通じてすべて計算できる。由美さんや聡平さん、ジュリーや勇輝さんくらいにしか使わないし、特別に中部高速鉄道や本人たちからは許可をもらっているから犯罪にはならない。
由美「まあ、この後も昼をどこかで食べる時間無いし、おにぎりとおつまみだけ買うか」
私「私もそうする。熊本まで由美さんとずっと一緒がいい」
由美「やっぱりね」
というわけで、駅の売店で買うだけ買おう。由美さんは明太子とエビマヨのおにぎりの他に鶏皮チップを買っていた。私は普通に梅と鮭のおにぎりにした。
さて、やってきた新幹線さくら号は西日本の7000番台だった。ここからまた、1時間半の長旅が続く。
そして車内では…
私「早速キスするね」
由美「ちょっ…待っ…んっ♥」
やっと今年初のキスをあげられた♥
由美「まあ、家族みんなこの辺りは怒らないしいいか。添い寝は絶対ダメって決めていただけで」
私「既婚者なのに、緩すぎでしょ」
由美「まあね」苦笑
私「次虎ノ門行ったら揃ってお説教するかも」
由美「はい…」
お説教は嘘ではない。そうでもしないと由美さんのところはしゃんとした大人になれないような気がするから。
〜※〜
そして12時過ぎに[漢字]川内[/漢字][ふりがな]せんだい[/ふりがな]駅に到着した。宮城にも「せんだい」があるからかなり紛らわしかった。だけど由美さんのお陰で無事に降りることができた。私は社会科が比較的苦手だから、こういうときに鉄道ファンに助けられている。だから、一部の人がやっている「鉄オタ強制卒業祭り」を一切開催する気はない。
私「ごめんね由美さん」
由美「何かダメなことでも…」
私「いや、さっきの川内駅の案内の話。宮城県のあれと間違えそうになったのと、私自身は『かわうち』って読んでたから一瞬思考停止しちゃったの」
由美「まあ、ぼちぼち覚えましょう。こんなことで怒るわけが無いよ俺は」
私「ありがとう」
由美さんは基本呆れるほど寛容だけど、こういうときに優しく接してくれるから、かけがえのないお姉さん的な存在だ。それに、感情を顔に出すことも、私ほどではないけど少ないし、どことなく性格とか私に似ているから接しやすい。
そして向かったのは肥薩おれんじ鉄道線の川内駅。
由美「今回は俺が交通費を奢るぜ」
私「ありがとう。本当に助かる」
肥薩おれんじ鉄道は学割を使えない。だから由美さんに交通費を奢ってもらえるだけですごく嬉しい。
さて、12時29分になり、定刻通りに白い車体にオレンジ帯の1両編成のディーゼルカーは発車した。更にここから約2時間半乗りっぱなしになる。トイレがついているのがある意味救いだ。
由美「さ、お昼にするか」
私「だね」
おにぎりを食べながら列車は進む。そんな中気づいたことがある。乗っているのはディーゼルなのに、前方を見るとずっと電線が続いているということ。朝に由美さんが言っていた通りだ。どうやらこの路線、私がまだ生まれる少し前くらいから[太字]「お願いします!! 1年に1回、乗ってください。」[/太字]というポスターが沿線自治体向けに掲示されたほど赤字で、高価な交流用電車が使えないから気動車を走らせるしかないらしい。
それでも沿線には山が連なり、森に入り、トンネルを抜け、田んぼが広がり、何より阿久根の方まで来ると海が広がる。流石、ローカル線ならではの風景だ。
由美「今日は水面にキラキラ光が乱反射しているなぁ〜。ときめくよこれは」
私「私もうっとりしちゃう」
だけどこの風景もいつまで残るのか、少し不安にはなる。山のローカル線が大好きなシオンさんの気持ちもちょっとわかるかも。
次に、野田郷駅で2両編成の青い列車とすれ違う。おれんじ食堂だ。車内からは乗っている方たちが手を振ってくれた。こんな無愛想に見える私にでも、優しく接してくれるように感じただけで嬉しい。
そして出水駅で車庫が見え、くまモンラッピングがちらほらいたのも見えた。鉄道好きの皆さんは是非肥薩おれんじ鉄道に来て欲しい、心からそう思った。
新水俣を過ぎ、津奈木からは複線区間に入るけど…、
由美「曲がりくねってどこぞの中央西線みたいなんですが」
私「うん。都会の複線とはぜんぜん違うね」
カーブが多くて、下り線が見え隠れする。駅間距離がここだけ一番長いから複線になったように感じた。
〜※〜
そんなこんなで気がつくと八代に到着。乗ってきた1両ディーゼルは新八代行きだけど、切符が八代までだからここで下車するしか無い。改札を出て、私はSuicaで、由美さんはEdepaで改めて改札に入り直す。
八代駅の近くには日本製紙の工場が立つ。
由美「おっ、821系だ」
それよりも由美さんは眼の前にいた最新車両821系に夢中。直ちにカメラを向けて撮影するけど、やっぱり嫉妬しちゃう。
私「またやってる」
由美「ごめんって」
私「電車に嫉妬させないでよもう……」
スナップ写真とはいえ撮り鉄しているとなんとなくモヤッとする。だからこれ以上暴走はさせない。
さて、しばらくすると2両編成の赤と銀のワンマン車両がやってきた。815系だ。これに乗れば熊本まで出られるから乗ることにしよう。
〜※〜
八代駅は15時11分、定刻通りに発車した。鹿児島本線沿線でも田んぼが稲穂をつけて広がっていた。そして有佐駅、小川駅を含めた各駅に停車し、定刻通り15時50分に、無事に熊本駅に到着した。
熊本到着後は改札を出る。すると、
??「こんにちは、璃奈パイセン、由美ちゃん」
パイセン呼びをして誰に対しても気兼ねなく接してくれるバスオタクの小川有佐ちゃんが待っていた。
私「こんにちは」
有佐「2人はどのような目的でここに来たんですか?」
由美「俺は明日から南阿蘇鉄道で大学の鉄研の夏合宿があるから、肥薩おれんじ鉄道経由で熊本入りしただけ」
私「私は有佐ちゃんを迎えに来た」
有佐「璃奈パイセン、来なくても今日帰るつもりだったのに」
私「万が一有佐ちゃんが帰りたくないとか言い出したときに、意地でも連れ帰らないと明日学校に行けなくなるもん」
有佐「それなら理解しました」
そんな会話をしているともう1人、私と同じくらいの男の子が走ってやってきた。
??「はぁ…はぁ…って有佐ちゃん、この人達は知り合い?」
有佐「うん。こっちの黒髪の人は名古屋の大学に通う青山由美さん。そしてこっちのピンク髪の人は虹ヶ咲の中等部の先輩の天王寺璃奈さんだよ」
私「はじめまして。私、天王寺璃奈。感情を顔に出すのが苦手で無愛想だけど、仲良くしてね」
由美「青山由美です。名古屋の大学と中部高速鉄道で工学者の卵兼鉄オタやってます。虹ヶ咲に何人か知り合いがいるからその関係で有佐ちゃんのことも知ってるよ」
渉「僕は鶴岡渉です。有佐ちゃんの幼馴染で、阿蘇市の中学に通う3年生です。有佐ちゃんと同じでバスオタク、鉄道オタクやってます。よろしくお願いします」
私「えっ、渉くんと私が同じ学年だ」
渉「だから来年から共学化する虹ヶ咲を受けようかなって思ってて」
由美「あそこ、男子生徒もスカートタイプの女子制服しか用意できないけど大丈夫?」
渉「それもちゃんと把握済みです」
有佐「まあ、最初は驚いたけど、渉には虹ヶ咲に来て欲しいなって思うよ。それに渉は女装させるとすごく可愛いし」
渉「それを言わないでよ!!」
こうしてみんなで笑い飛ばす。
有佐「だけど帰りの新幹線が……」
私「うん。そろそろ解散にする?」
由美「そうしよう。早いところホテル入ってもいいし、時間があれば熊本電鉄に流れるのもありかなって」
渉「僕は次の普通列車で阿蘇に戻るよ」
私「由美さん、明日の夏合宿は無事にやってくること。私と約束してくれる?」
由美「もちろん!!」
こうして、私たちは解散になり、渉くんと由美さんとは別れる。私と有佐ちゃんはお土産だけ買ったら帰りの新幹線を予約した。
帰りの新幹線のぞみ号の車内にて。
有佐「でも1人で帰るより璃奈パイセンと一緒だから寂しくないです」
私「そう言ってくれて私も嬉しいよ」
有佐「よし、明日も頑張りましょう!!」
私「だね」
有佐「そういえば璃奈パイセン、今日はどこに行ってきたんですか?」
私「由美さんと一緒で、肥薩おれんじ鉄道。田んぼに山に、海まで広がる絶景路線だったよ」
有佐「璃奈パイセンも肥薩おれんじ鉄道の魅力がわかったんですね!!」
私「うん。全国中の鉄道ファンの皆さんにはぜひ来てもらいたいって感じたんだ。もちろん、私もまた乗りたい」
有佐「今後鉄道同好会で夏合宿の機会があればお誘いしますね」
私「ありがとう」
今回の肥薩おれんじ鉄道は素晴らしい路線だったけど、明日も学校だから、気持ちを切り替えて無事に帰京することにしよう。
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