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たった百年の妖怪

#2

妖怪

 「寂しい、ねぇ。お前さんの口からそれを聞くとは思わなかったよ。」

 寂しかった。と言いつつ、[漢字]九十九[/漢字][ふりがな]つくも[/ふりがな]は昔、[漢字]猫又[/漢字][ふりがな]ゆうじん[/ふりがな]のいる町に定住することは選ばなかった。

猫又は、先程まで[漢字]群青[/漢字][ふりがな]あお[/ふりがな]かった九十九の瞳をまじまじと見つめた。九十九は少し慌てて目を逸らす。──瞳が正直すぎるからだ。

 半世紀以上前──かつて九十九がこの町に訪れた時。猫又と友達になり、数年間は野良猫と共に過ごしていた。確かに、楽しく充実した毎日を過ごしていた。しかしある時、九十九は見てしまったのだ。土地に何十年も縛りつけられた地縛霊を。

九十九も元は幽霊であり、性質も大して変わらない。そのため、自分も同じようになってしまうのではないかと恐れるようになった。自分も同じように[漢字]他人[/漢字][ふりがな]ひと[/ふりがな]に地縛霊と言われ、恐れられるのではないかと。

実際、足に何かがまとわりつく感覚が、日増しに増えていた。それが、余計に怖かった。

 人間でなくなって最初に決めたことは、自由に[太字]生きる[/太字]ことだった。何にも縛られずに生きて、無念を晴らすこと。それができなければ、九十九は、本当にただの幽霊に戻ってしまう気がしていた。

だから、残らなかった。

[水平線]
 「寂しいなんて言ってちゃあ、妖怪としての永い時間が持たないだろう?」

猫又は、そう言って笑った。

「長すぎるよ、本当。」

九十九もつられて口角が上がっている。

「でも、お前さんみたいなのは山ほどいると思うぞ、きっと。」

猫又はにんまりとして、九十九の瞳を真っ直ぐに見つめた。

「どうせ長く居られないなら、妖怪を探して旅するのも面白いと思うがの。[漢字]妖怪[/漢字][ふりがな]むこう[/ふりがな]も丁度退屈しておるじゃろうし、価値観も近いのがおるじゃろ。」

その言葉に、九十九の瞳は黄色く輝いた。内心わくわくしているのだろう。

「又さんも一緒に来るの?」

「わしは残るよ。お前さんはたまに顔を見せに来てくれるだけで十分じゃからな。」

寂しいという感情は、気持ちの高揚によって九十九から消え去りかけていた。

「じゃあ、また会うときまで。元気でね。」

「ああ、そっちも元気にやるんじゃよ。」


九十九は再び、各地を転々とする旅に出かけた。次は、明確な目標を持って。
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作者メッセージ

九十九は意外とあっさりしてます

又さんとの別れがこれでいいのかわからない…

2026/02/24 06:20

夕闇らいと
ID:≫ 39g2C75zutYPo
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妖怪幽霊日常系

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