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死ぬまでに

ピッ、ピッ、と、俺が生きていることを証明する音が病室に鳴り響く。
窓からは、いつもの光は入ってこない。
「曇りか……嫌だなぁ、低気圧…」
と、言いつつも、低気圧だけで気にする日が良かったなぁ…。
……いや、多分辛い人だっているだろうけど。
神様から授けられた、クリスマスの日に貰った最低で最悪なプレゼント。
症状が出てこなかっただけでずっと前に貰ったのかもしれないけど。
[太字]白血病[/太字]。
詳しく言えば、[太字]急性リンパ性白血病[/太字]。
12月中旬くらいから、目眩とか、吐いちゃったりして。
おかしいと思って病院行ったら、良くて5年なんだってさ。
まだ高2で、やりたいこと、今しかできないこと沢山あったのに。
手術が成功したとしても完治には程遠くて延命するだけ。
なんで、俺がこんな病気を――。
雨が、俺の頬を濡らした時。
ガラガラガラ…
病室の扉が開いた。
俺は慌てて涙を拭き引っ込める。
「あけおめ、[太字]颯斗[/太字]。」
聞き覚えのある声で俺を呼ぶ。
颯斗「[太字]優希[/太字]………。来たんだ」
正直家族と正月過ごしてて来ないと思った、なんて声には出せずそれだけ言う。
優希は高1からクラスが同じで良く遊んでいた親友。
優希「来るに決まってんだろ。―――つーか、これからどうするつもりだよ」
優希の真っ直ぐな目が向けられて何も言えなくなる。
……そうだ。
俺は今、何もできずに死んでしまう可能性だってある。
絶対後悔が残るし、死ぬんだったらやりたいことやって死にたい。
…まだ、死ぬ覚悟はできてないけど。
十数秒の沈黙があった後、俺はようやく声を出した。
颯斗「やりたいことをやりたいだけしたい。…死なないかも知れないけど、死ぬまでに。」
優希の方へ真っ直ぐ視線を返すと、安心したように息を吐いた。
優希「じゃあ、やりたいことやりたいだけやるぞ」
[小文字][小文字]颯斗「え?」[/小文字][/小文字]
蚊の鳴くような声が風船となり破裂して消える。
優希「そのままの意味だ。大丈夫、先生にも言ってあるし許可も取ってる。やっぱやりたいことやるのが一番だろ」
優希の優しい声が俺を包んだ時、聞き覚えのある声が扉の方から聞こえてきた。
颯斗「…!お前ら、!」
小学校、中学、そして高校の親友たちが俺の目の前に現れる。
優希「お前の家族とかに聞いて連絡取ってたんだ。――じゃあまずはゲームするか!」
優希の一声で親友たちが準備を始める。
凄く、懐かしい感覚。
よく家族とカードゲームで遊んでいた記憶が脳内に蘇った。



[水平線]


「颯斗〜!お母さんこれ買ってきたから一緒にやろう!」
お母さんが俺の部屋に押し掛けてきて、宿題なんて忘れて一緒にゲームして。
「颯斗、起きてるか?」
お父さんが眠たい俺を起こさせて、結局バレて怒られたこともあって。
「颯斗!お母さんたちいない?」
友達が俺のお母さんいないことを確認して家に上がって遊んで。
俺の為に、俺たちの為に、そしてこれからの為に、って考えると、なんか泣けてきて。
静かな夜に何故か泣いた時もあった。
やりたいことやって死ぬんだったら、俺はそれでいい。
最期に良いこと思い出せて良かった。




13日後。
ピッ、ピッ、と俺が生きていることを証明する音は、ピーーと音を鳴き、消えた。

作者メッセージ

颯斗の幼少期の執筆時聞いていた曲
「ここで暮らしてるよ」My Hair is Bad様
普通に過ごせて、家に暮らしてるって良いなぁと思いながら書きました。
流石に「人間観察」には入れないですよ。
綺麗な話すぎて衝動でどす黒いの書きたくなってしまう…

2026/02/15 11:35


ID:≫ 14ODATaJ5tCFM
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