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先輩・後輩・談遊記

#2

朝読書

「最近朝読書始まったじゃん」

「始まりましたね」

「そこで読んでる本が面白くてさ…お前にも読んでほしいわけよ」

「へぇ、何読んでんすか?」

「ヴォイニッチ手稿」

「それ読めるの先輩だけっすね…てか読めるんすか!?」

「いや、挿絵を楽しんでる」

「…多分それも先輩だけっすね」

「てか、お前は今なに読んでんのよ?」

「自分は無難に、“ドグラ・マグラ“っすよ」

「…どこが無難だよ!」

「仕方ないでしょ!学級文庫にそれしかなかったんすよ」

「いや、流石に…じゃあほかには何があったん?」

「いや全部ドグラ・マグラっすよ」

「本当にそれしかねぇのかよ!」

「だからクラス半分くらいドグラ・マグラ読んでます」

「大丈夫なのか?お前のクラス」

「ほんとはもっと違うのが読みたいっす」

「自分でもってくればいいじゃん」

「いや…その…」

「え?なんで?ドグラ・マグラよりも人前で読みにくい本とかある?」

「…ラノベなんすよね。自分が読みたいの?」

「別にいいじゃん」

「いや、ラノベ読んでると思われたくないんすよ」

「…ドグラ・マグラはよくて、ラノベはダメなのか」

「いや、ドグラ・マグラはいいんすよ。学級文庫が頭おかしいって言う体裁があるから。しかもドグラ・マグラは超名作ですしね。でもラノベはタイトルが長くて独特すぎるんですよ」

「まぁ確かにな。有名なやつでも、“ダ◯ジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか”とか“幼なじみが絶対に負◯ないラブコメ”とか長い奴が多いな」

「そうなんすよ。しかもお◯まけは表紙を書いてるのがあのしぐ◯うい先生なんですよ。もう今しぐ◯うい先生なんて言ったらラノベ好きだけじゃなくてVTuberオタクもバレちゃうでしょう。こないだ“Vtuberって…何それ?“って言っちゃったから、もうなんと言うか…もう…あ゛ぁ…」

「落ち着けよ…じゃあこ◯すばとかリ◯ロとか、ポピュラーなやつ読めばいいんじゃね?これ名案だべ!」

「なんで、自分がこ◯すば20周したのにもう一周しないとい゛げな゛い゛の゛よ゛」

「そんなとこで寝るな!」

「まぁとにかくそんなわけで、ラノベは読めないんすよ」

「…いや読めるぞ、ラノべ。ひとつだけ方法がある」

「…方法ってなんすか?」

「それは…お前のそのくだらない“恥“を捨てることだぁ!」

「なっ…“恥“ですか…」

「そうだ…お前はクラスのみんなにラノベ好きがバレることを恥じている。しかしそれはお前の作品への愛が足りないからだ」

「…たしかに。保身のために自分の好きを曲げてました…」

「たとえラノベ好き、Vtuberオタクがバレても、クラスには仲間がきっといるはずだ。そいつらと仲良くなればいい。お前が止まっていると思っていた時間を、いま動かすんだ。ここからはじめよう。1から。いや。0から。
一人で仲良くなるのが大変なら、俺が支えてやる」

「!…先輩っ。自分が間違ってました。これからは自分に正直に生きていきます!見ていてください、特等席で」

「よし!そうと決まれば…あっ、メールがきた……!」

「先輩?どうしたんすか?」

「お前のクラス、学級閉鎖だってよ…」

「!…なんでっすか!?」

「なんか…クラスの半数以上が狂ったように“チャカポコ、チャカポコ”言ってるらしい」

「…ドグラ・マグラじゃねぇか」

[中央寄せ]おまけ[/中央寄せ]

「結局お前、学級閉鎖明けてから何読んでんの?朝読書」

「…レヒニッツ写本っすね」

「あぁ、あの挿絵いいよなぁ」

「いや自分は内容が面白いなぁって」

「へぇ…え?」


To be continued

作者メッセージ

実は、文中で出てきた作品の中で履修済みなのドグラ・マグラだけです。すべてのラノベ作家とラノベファンの皆さん大変申し訳ございませんでした。

※ドグラ・マグラは青空文庫で読めます。
 多分狂ったりはしないので朝読書の時間にでもどうぞ

2024/06/05 22:56

ファイブベースマン
ID:≫ 2.r9DSJwIowBo
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