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その思いは

「あなたのことが好きです!
 私と付き合ってください!」

「…えっと、ありがとう。
 すこし、考えさせてほしい。」
ついさっきまで友達だと、思っていたのに。

ただ、呆然と立ち尽くした。
そんな様子の僕をおいて、
彼女は顔を赤くして走り去ってしまった。

心臓が苦しい。
本音をいうと、この告白を受ける気はない。
そんなことをいうと、薄情だと、思われてしまうかもしれない。
だが僕は、告白を受けれるような自信も、彼女に対する思いも
持ち合わせてはいないから。
そんな生半可な気持ちで彼女の想いに応えたくなんてない。

どうすれば、いいんだろうか。

彼女を傷つけたくない。
だけど、適当にあしらってその場しのぎをしたいわけでもない。
なら、できるだけ早くに断るのが彼女のためであり、自分のためであることぐらい分わかっている。
…分かっている、のに。

答えるのが、怖い。
いまの、この関係を、壊すのが
とても、怖い。
恐ろしく感じる。
彼女は、どうやって、自分の気持ちを僕に告げようと思ったのだろうか。

ひとの気持ちを疑うなんて、とてもいいこととはいえない。
でも、それでも、疑ってしまう。
告げられた思いが、勘違いなのではないかと。
…嘘ではないか、と。

そして、そうあってほしいと。
願ってしまう自分がいる。
勘違いだったら、もし本当にそうであったならば。
この告白を、なかったことにできるのに。
また、ただの友達に戻れるのに。



…本当にそうだろうか。
彼女が告白をした事実は、なくならない。
僕も、彼女も
きっと忘れることはできない。

きっと、もう戻らないことを
戻れないことを
僕はもう、

知って、しまっていた。

[水平線]



僕だけが、ここに取り残されたみたいだ。
とても苦しいことを
考えて、考えて。
それから、
思ってしまった。

…彼女のことをもう、思い出したくないと。

彼女のことが嫌いになったわけではない。
いまでも、彼女の素敵なところはたくさん出てくる。
楽しかった思い出も、今すぐにでも思い出せる。
だけど、それも
もう、思い出になった。

もう彼女と今までと同じように接することはないだろう。

人間関係とは、そういうものだ。
…いや、僕知る限りでは、が、正しいか。
でもまさか、こんな形で終わるとは。
「勝手に終わらせないで!」
なんて、言われたとしても

僕がだめなんだ。
君といると、胸が苦しくなる。
好き、とはなんだ。
この胸を苦しいぐらいに締め付ける思いはなんだ。

「貴女が僕に告げた思いとは、なんだ。」



[水平線]


「ごめん。
 僕には、好きという感情、思いがよくわからない。
 この1週間、ずっと貴女のことを考えていた。
 それでもやはり、僕には理解することが、できなかった。
 これが、僕の気持ちだ。
 聞いてくれて、ありがとう。
 では、
 さようなら。」






彼女の顔は、見られなかった。

作者メッセージ

「告白は、うれしいだけではないということが今回よく分かった。ひとの気持ちを聞くのは、僕にとって、とても恐ろしいことだった。
…こんなに苦しいなら、知りたくなんてなかった。」


「あれだけ真剣に断られちゃったら、もう諦めるしか、ないよね。」





「僕は、彼女を傷つけてしまっただろうか。」



_____________

ここまで読んでくださりありがとうございました!

2026/05/23 00:32

カップツィ
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