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微グロ、鬱
[明朝体]どんな綺麗な景色を見ても、君が1番きれいだと思う。[/明朝体]
拙い文章の中で、最後にそう締めくくられた手紙は、今でもわたしのいちばんの宝物だ。
「藍沢先生、田中先生から結婚式の招待状来た?」
同僚の一人が私にそう声をかけてくれた。彼女は同期のこともあって、何かと気にかけてくれる。
「うん。鈴木先生、一緒に行く?」
鈴木先生は単独行動が苦手とまではいかないが、一人でいることに不安を感じるタイプだとわたしは分析している。彼女のことは良き同僚だと思っているので、ここは鈴木先生に合わせておこう。
「うん!ぜひ‼︎楽しみだなあ、田中先生の結婚式。田中先生、背が高いからきっとドレス似合うよねえ。同僚の結婚式があるって彼氏に話してからさ、彼氏がそわそわしてるんだよねえ。もうすぐ付き合って3年の記念日だし、わたしもそろそろゴールインかなあ。藍沢先生は、恋人とかいるの?まだ結婚してないよね?」
鈴木先生は一緒に式に行く人ができて安心したのか、鈴木先生はペラペラと自分語りを始めた。間延びする話し方は好かないが、自分の情報を開示してくれるところに、なんだか信頼されているようで嬉しい。
「まあ、いるかな」
なんだか照れくさくて、プリンターに向き合いながら頬を少し掻く。印刷室は職員室とのドアが開けっぱなしになっているので、コーヒーの匂いが充満している。学生の頃はこの匂いがすごく苦手だったけれど、今ではもう慣れっこだ。
「えー!そうなんだ!でも藍沢先生から浮いた話、聞いたことないけど……」
「遠距離なの」
遠距離なんてすごい!本当に愛し合ってるんだねえ、なんて鈴木さんは笑顔で言う。
「じゃあ、これ置いてきたらそのままお先に失礼します」
プリンターから吐き出された用紙の角を揃えて、鈴木先生の顔を見て軽く会釈する。
「はい。藍沢先生、お疲れ様でしたー」
鈴木先生の穏やかな声を聞いた他の先生方もわたしに労いの言葉をかけてくれる。特に労う気持ちはなくとも、そうするのが大人としての常識だ。
それにわたしも応えるように、お疲れ様でした、と軽く口にしながら職員室を後にする。
「遠距離なの」
ついさっきわたしの口から出た一言を、頭の中で反芻する。
紺色を帯びた暗い教室棟を眺めて呼びかける。
嘘は言ってないよね。
拙い文章の中で、最後にそう締めくくられた手紙は、今でもわたしのいちばんの宝物だ。
「藍沢先生、田中先生から結婚式の招待状来た?」
同僚の一人が私にそう声をかけてくれた。彼女は同期のこともあって、何かと気にかけてくれる。
「うん。鈴木先生、一緒に行く?」
鈴木先生は単独行動が苦手とまではいかないが、一人でいることに不安を感じるタイプだとわたしは分析している。彼女のことは良き同僚だと思っているので、ここは鈴木先生に合わせておこう。
「うん!ぜひ‼︎楽しみだなあ、田中先生の結婚式。田中先生、背が高いからきっとドレス似合うよねえ。同僚の結婚式があるって彼氏に話してからさ、彼氏がそわそわしてるんだよねえ。もうすぐ付き合って3年の記念日だし、わたしもそろそろゴールインかなあ。藍沢先生は、恋人とかいるの?まだ結婚してないよね?」
鈴木先生は一緒に式に行く人ができて安心したのか、鈴木先生はペラペラと自分語りを始めた。間延びする話し方は好かないが、自分の情報を開示してくれるところに、なんだか信頼されているようで嬉しい。
「まあ、いるかな」
なんだか照れくさくて、プリンターに向き合いながら頬を少し掻く。印刷室は職員室とのドアが開けっぱなしになっているので、コーヒーの匂いが充満している。学生の頃はこの匂いがすごく苦手だったけれど、今ではもう慣れっこだ。
「えー!そうなんだ!でも藍沢先生から浮いた話、聞いたことないけど……」
「遠距離なの」
遠距離なんてすごい!本当に愛し合ってるんだねえ、なんて鈴木さんは笑顔で言う。
「じゃあ、これ置いてきたらそのままお先に失礼します」
プリンターから吐き出された用紙の角を揃えて、鈴木先生の顔を見て軽く会釈する。
「はい。藍沢先生、お疲れ様でしたー」
鈴木先生の穏やかな声を聞いた他の先生方もわたしに労いの言葉をかけてくれる。特に労う気持ちはなくとも、そうするのが大人としての常識だ。
それにわたしも応えるように、お疲れ様でした、と軽く口にしながら職員室を後にする。
「遠距離なの」
ついさっきわたしの口から出た一言を、頭の中で反芻する。
紺色を帯びた暗い教室棟を眺めて呼びかける。
嘘は言ってないよね。