追い風に吹かれて
あるの小学4年生の夏の日のことだった。葉月奏海(はつきかなみ)は夕日に照らされた道をすたすたと歩いていた。
壮大に映る入道雲と水面に目をやりながら夏祭り会場へと向かっていた。
今日は夏祭りの日。奏海は胸を躍らせながら海辺のコンクリ道を歩いていた。
「ふんふふんふふ~ん♪」
鼻歌交じりにスキップをする。暑い日だったがそんなことも気にならないくらいだった。
祭りの会場に着く。まだ5時ごろなので屋台は少なかったがそれでも奏海の心は満ち足りていた。
金魚すくい、りんご飴、それらすべてが黄金色に輝いて見えた。手のひらいっぱいに握りしめた小銭たちが音を奏でていた。
道を歩いているとふと涙をこらえている7歳くらいの少女が目に留まった。
あまりにも悲しそうに泣くもので、奏海はかわいそうだと思い、話しかけた。
「どうしたの?大丈夫?」
「お母さんがいなくなっちゃってぇ…さみしいよぉ」
「きっとお母さんはかくれんぼしてるんだよ!お姉ちゃんと一緒に探しに行かない?」
「うん!わかった!」
「これラムネ!飲む?」
奏海は握りしめていた小銭を使い、少女へとラムネを差し出した。
「ありがとう!」
ようやく泣き止んでくれたとほっと息をつく。
そんな嬉しそうにはしゃぐ少女の声を聴いてか、一人の女性が駆け寄る。
「凪咲!こんなところにいたのね!すみませんこの子を見てくださり…ありがとうございます!」
嬉しそうな、安心したような母親の声が聞こえる。手に握りしめた宝物はもうなくなってしまったけれど、これでよかったのだ。
涙があふれてくる。視界がにじむ。この日のためにためてきたお金が無くなってしまった。
けれどももういいのだ。あの親子が笑顔になれたのだから。
奏海の背中に、ラムネのような爽やかな風が吹いてきた気がした。
壮大に映る入道雲と水面に目をやりながら夏祭り会場へと向かっていた。
今日は夏祭りの日。奏海は胸を躍らせながら海辺のコンクリ道を歩いていた。
「ふんふふんふふ~ん♪」
鼻歌交じりにスキップをする。暑い日だったがそんなことも気にならないくらいだった。
祭りの会場に着く。まだ5時ごろなので屋台は少なかったがそれでも奏海の心は満ち足りていた。
金魚すくい、りんご飴、それらすべてが黄金色に輝いて見えた。手のひらいっぱいに握りしめた小銭たちが音を奏でていた。
道を歩いているとふと涙をこらえている7歳くらいの少女が目に留まった。
あまりにも悲しそうに泣くもので、奏海はかわいそうだと思い、話しかけた。
「どうしたの?大丈夫?」
「お母さんがいなくなっちゃってぇ…さみしいよぉ」
「きっとお母さんはかくれんぼしてるんだよ!お姉ちゃんと一緒に探しに行かない?」
「うん!わかった!」
「これラムネ!飲む?」
奏海は握りしめていた小銭を使い、少女へとラムネを差し出した。
「ありがとう!」
ようやく泣き止んでくれたとほっと息をつく。
そんな嬉しそうにはしゃぐ少女の声を聴いてか、一人の女性が駆け寄る。
「凪咲!こんなところにいたのね!すみませんこの子を見てくださり…ありがとうございます!」
嬉しそうな、安心したような母親の声が聞こえる。手に握りしめた宝物はもうなくなってしまったけれど、これでよかったのだ。
涙があふれてくる。視界がにじむ。この日のためにためてきたお金が無くなってしまった。
けれどももういいのだ。あの親子が笑顔になれたのだから。
奏海の背中に、ラムネのような爽やかな風が吹いてきた気がした。
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