文字サイズ変更

ストリートピアノで

「…ピアノ、上手ですね」
「っ!」
気づけば、僕はそう声をかけていた。
人気がない、伽藍堂とした駅には、ストリートピアノが設置されている。そこで、彼女はクラシックを奏でていた。
「あ、ありがとうございます。褒めていただけるなんて」
「大胆かつ繊細な感じで、聴き入ってしまいました」
彼女は、顔はとびきりいいわけではない。でも、手はすらりとなめらかで、ピアノを弾くための手と化しているようだ。
白いブラウスに水色のスカートは、まだ2月には肌寒そうだった。
「ほかの曲も弾いてくれませんか?」
「そうですね、クラシックは有名どころ、ほとんど弾けます。そうですね、ノクターンにしますか?」
「僕も、ノクターン、好きです」
そして、彼女は手をそっとピアノに置いた。
彼女が奏でるノクターンは繊細で、ペダルが綺麗で、心地よい。
弾ききったとき、彼女は微笑んだ。
「結構、上手く弾けました。いつもより、楽しめました、ありがとうございます」
「毎日、ここで弾いているんですか?」
「毎日ではないですけどね、わたし、学生で。塾の冬期講習です。今日は早めに来たので、弾いてみて」
そして、彼女はまわりを見た。
「雪品高校1年です」
「雪品…」
僕は、マンモス校雪品高校に通う高校1年生だ。
「僕もです。ひょっとしたら、次のクラス替えで会うかもしれませんね」
「そうですね。じゃあ、名前を教えても、いいかもしれません。わたしは2組の斎藤つむぎです」
「僕は、鈴木大翔です、よろしくね」
それから、僕たちは付き合うことになった。[水平線]あれから、長い年月が経った。
今日は、2人の付き合い記念日だ。
あのときの駅は、伽藍堂としている。
「ねえ、また、弾いてよ」
「大翔のためだったら、なんでも弾くよ」
つむぎは、僕たちが出会ったきっかけになった曲__ベートーベンの「運命」__を奏で始めた。

作者メッセージ

伽藍堂を使いたかった

2025/02/13 16:06

高麗野さくら
ID:≫ 14xPVwfN98GVE
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

ピアノ恋愛

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は高麗野さくらさんに帰属します

TOP