「結婚したいぃ!?」
リーダーの常時の大声が一段と張り上げられ、部屋中に響き渡る。
「…お前ら、本気か?本気の本気なのか??」今度は少し情けない声で、耳打ちするようにぼそぼそ言った。
「本気です。私たちは愛し合ってます。だから、殺し屋から手を引かせてください。」
そう言ったのは、俺の愛する同僚・[漢字]苦藤[/漢字][ふりがな]くどう[/ふりがな]だ。
俺たちは、殺し屋。結婚などとは程遠い。でも最近、俺たちは両思いだったことを知った。俺は一目惚れだった。だって、こんな可愛い顔してんのに、殺し屋モードに入ると顔つきがガラッと変わる。そんな仕事熱心な姿勢に惚れてしまった。
苦藤の方はというと、俺が人を殺すことに慣れていない、殺した人にいつも手を合わせているような慈悲深いところ、だと言う。
「結婚するのはまだしも、足を洗うってのはなあ…。…どうしても殺し屋を辞めなきゃ、なのか?」
「はい。[漢字]叉裂[/漢字][ふりがな]ささき[/ふりがな]とは円満な夫婦生活を送っていきたいし、子供も引き取ろうと思っているので。」俺が浮かれていた時にも、しっかり者の苦藤は弁明に臨んでいる。
そりゃリーダーがすんなり首を縦に振ることなんて無いと思っていた。
俺たちは殺し屋業界のエース、つまりなくてはならない存在なのだ。それが2人こぞっていなくなるなんて、この業界もたまったもんじゃないだろう。
「でもなあ……。…やっぱり、俺だけでは返事は下せない。一度社長を挟んでも良いか?」
「分かりました。婚約届は出してても良いですか?」
「…まあ、それぐらいは…。」
「では、また後日改めて伺います。行こ、叉裂。」そう言って俺たちは、その場を後にした。
「これで良かったのか?」
俺が問うと、苦藤はぽかんとしてこちらを見ていた。「何、今更後悔してんの?」
「そういうんじゃないけど、」俺には漠然とした不安があった。今まで人を貶めることしかして来なかった俺が、本当に幸せになっていいのだろうか。過去の罪を全て無かったことにするなんて器用なこと、俺にはできない。
そんな俺の思惑を察したのか、苦藤は黙って俺を抱きしめた。
「大丈夫。叉裂はなーんにも心配しなくて良い。黙って俺のことだけ見てればいいの。」
やっぱり、苦藤の言葉は安心する。全身の力が一気に解けて、ああ、全てこいつの言う通りにしてれば良いんだ、と思える。
「後、叉裂が悪者なら、俺だって悪者だよ。独りで全て抱え込まなくて良いんだ。叉裂はもう独りじゃない。」
全て、見透かされてた。何て鋭い奴なんだろう。
俺、苦藤に会えて、両思いになれて本当に良かった。
『愛してるよ。』
「社長からの返事が返ってきた。」
俺たちは3日後、再び呼び出された。どうやら社長に話を通したらしい。
「返事はー…」心臓がドクンドクンと脈打つ。今まで経験してきたことのない感情に、戸惑った。
「返事は、好きにしろ、だそうだ。」
俺と苦藤は、目を大きく見開き、抱き合おうとした。
「やっt…」
「但し!!」感激の言葉を遮られ、リーダーの声が響いた。
「これを見ろ。」
リーダーが書類をズイッと突き出して来た。俺たちはまじまじとそれを見つめる。
「ルールその① 夫婦円満仲良く過ごし、過去のことは掘り返さないこと。
ルールその② 子供を養子として引き取ること(数は問わない)。
ルールその③ その子供に殺し屋、または暗殺業の知識と修業を与えること……ってええええええええええ!!?」
「これが、社長がお前らの結婚を認める代わりに出した掟だ。異論は、許さないぞ。今日からお前らは、この業界の者ではないからな。」
俺たちの夫婦円満幸せな生活には、もう既に暗雲が漂っていた。
リーダーの常時の大声が一段と張り上げられ、部屋中に響き渡る。
「…お前ら、本気か?本気の本気なのか??」今度は少し情けない声で、耳打ちするようにぼそぼそ言った。
「本気です。私たちは愛し合ってます。だから、殺し屋から手を引かせてください。」
そう言ったのは、俺の愛する同僚・[漢字]苦藤[/漢字][ふりがな]くどう[/ふりがな]だ。
俺たちは、殺し屋。結婚などとは程遠い。でも最近、俺たちは両思いだったことを知った。俺は一目惚れだった。だって、こんな可愛い顔してんのに、殺し屋モードに入ると顔つきがガラッと変わる。そんな仕事熱心な姿勢に惚れてしまった。
苦藤の方はというと、俺が人を殺すことに慣れていない、殺した人にいつも手を合わせているような慈悲深いところ、だと言う。
「結婚するのはまだしも、足を洗うってのはなあ…。…どうしても殺し屋を辞めなきゃ、なのか?」
「はい。[漢字]叉裂[/漢字][ふりがな]ささき[/ふりがな]とは円満な夫婦生活を送っていきたいし、子供も引き取ろうと思っているので。」俺が浮かれていた時にも、しっかり者の苦藤は弁明に臨んでいる。
そりゃリーダーがすんなり首を縦に振ることなんて無いと思っていた。
俺たちは殺し屋業界のエース、つまりなくてはならない存在なのだ。それが2人こぞっていなくなるなんて、この業界もたまったもんじゃないだろう。
「でもなあ……。…やっぱり、俺だけでは返事は下せない。一度社長を挟んでも良いか?」
「分かりました。婚約届は出してても良いですか?」
「…まあ、それぐらいは…。」
「では、また後日改めて伺います。行こ、叉裂。」そう言って俺たちは、その場を後にした。
「これで良かったのか?」
俺が問うと、苦藤はぽかんとしてこちらを見ていた。「何、今更後悔してんの?」
「そういうんじゃないけど、」俺には漠然とした不安があった。今まで人を貶めることしかして来なかった俺が、本当に幸せになっていいのだろうか。過去の罪を全て無かったことにするなんて器用なこと、俺にはできない。
そんな俺の思惑を察したのか、苦藤は黙って俺を抱きしめた。
「大丈夫。叉裂はなーんにも心配しなくて良い。黙って俺のことだけ見てればいいの。」
やっぱり、苦藤の言葉は安心する。全身の力が一気に解けて、ああ、全てこいつの言う通りにしてれば良いんだ、と思える。
「後、叉裂が悪者なら、俺だって悪者だよ。独りで全て抱え込まなくて良いんだ。叉裂はもう独りじゃない。」
全て、見透かされてた。何て鋭い奴なんだろう。
俺、苦藤に会えて、両思いになれて本当に良かった。
『愛してるよ。』
「社長からの返事が返ってきた。」
俺たちは3日後、再び呼び出された。どうやら社長に話を通したらしい。
「返事はー…」心臓がドクンドクンと脈打つ。今まで経験してきたことのない感情に、戸惑った。
「返事は、好きにしろ、だそうだ。」
俺と苦藤は、目を大きく見開き、抱き合おうとした。
「やっt…」
「但し!!」感激の言葉を遮られ、リーダーの声が響いた。
「これを見ろ。」
リーダーが書類をズイッと突き出して来た。俺たちはまじまじとそれを見つめる。
「ルールその① 夫婦円満仲良く過ごし、過去のことは掘り返さないこと。
ルールその② 子供を養子として引き取ること(数は問わない)。
ルールその③ その子供に殺し屋、または暗殺業の知識と修業を与えること……ってええええええええええ!!?」
「これが、社長がお前らの結婚を認める代わりに出した掟だ。異論は、許さないぞ。今日からお前らは、この業界の者ではないからな。」
俺たちの夫婦円満幸せな生活には、もう既に暗雲が漂っていた。