「この子、どう?」
「ちょっと体重オーバーかもな…、あ、この子は?」
「その子はちょっとひ弱そう…。」
俺たちは今、養子にする子供選びの真っ最中だ。
数時間前ー
「いくら何でもそれは無いですよ!リーダー!!」
「だから、決めたのは俺ではなく社長だ!もう一度言うが、お前らは今この瞬間なんの関係もないただの市民になったんだぞ!
あまり反抗的だと、許可も取り下げるからな!!」
「うう…。理不尽だ……、これから裏社会とは一切縁を切って、穏便に幸せに家族みんなでお日様の下を歩こうと思ってたのに……。」
「ああ、安心しろ。日の下は歩けるぞ、お前ら2人は。」
「家族みんな、つったじゃん!!!耳鼻科行けよお!!」リーダーのこめかみに血管が浮く音が聞こえた。
「…私達は今後一切殺し屋業から手を引くのですか?」苦藤が口を開いた。
「ああ。」
「それはさすがに無理です。実践のために身を持って教えないといけないこともたくさんあります。それに、血は繋がっていなくても大切な子供なんです。子供だけ戦場に置いて帰りを待つなんてそんなこと、私達にはできません。」
苦藤が珍しく、思いつめた顔で一息に言った。
「……それもそうか。分かった、殺し屋業の一斉の禁止は取り下げよう。だが、勘違いするなよ。お前ら家族が俺たちの手から逃れられると思うな。殆どの殺し屋は、一生を闇で過ごす。お前らは生きて光を目の当たりにするんだ。こんなこと、この先無いと思え。お前らを育てたのは、紛れもない『闇』なんだからな。」
リーダーの言葉が、いつにも増して重い言葉に聞こえた。
「話は以上だ。じゃあな。叉裂、苦藤。」
殺し屋をやめるということは、今までの俺を捨てるということだ。『側』だけ違う俺に生まれ変わる。
そんなことを考えながら歩いていると、苦藤が急に足を止めた。そういえば気付かなかったが、いつもの帰り道と違う。苦藤が止まったのは、大きな古い建物の前だった。
「おい、ここどこだよ。」
「入ったら分かるよ、おいで。ここには面識があるんだ。」
何か煮え切らない返事だったが、苦藤がその建物に入っていくのを見て、俺もその後に続いた。
「久しぶり、オーナー。引き取りたいんだけど良いかな?」
「おお、良いぞ。どれでも好きなもん持って行ってくれ。」
苦藤曰くオーナーのそいつは、無精髭を垂らし、もう何瓶も飲んだんだろう。顔が赤くなっていた。
2人の会話がイマイチ掴めない。
「おい、引き取るって何をだよ。」
「決まってるでしょ。」苦藤はある部屋の前に立ち、ガチャッと元気よく扉を開けた。
「子供だよーーー!!!!」
中から元気のいい子供達が走ってきて、苦藤に抱きつく。
「はああああ!?急すぎだろ!!まだ何も用意できてねえぞ、俺ら!!!」
「良い子は取られちゃうから。早い方が良いかと思ってって痛たたたたた!!」
髪を引っ張られたり、服を伸ばされたり、苦藤は本当に子供達に懐かれているのだろうと思った。それが純粋な子供の遊び心か、引き取ってもらうための媚びかは分からないが。
「ほら、子供選ぶから叉裂も手伝って!!」
「お、おう!!!」
そして冒頭に戻る。
俺たちは結構苦戦していた。運動神経が良いと思えば頭は悪いし、頭が良ければ普通に引き取りたくないくらい卑屈っぽい。
そうこうしている内に、あと5人になった。俺たちは子供の無邪気さにやられていた。2人ともくたくただった。
「あの、これ、おとしましたよ。」
後ろから小さな声が聞こえた。振り向くと、俺の時計を両手でおそるおそる差し出している男の子がいた。
「ああ、ありがとう。子供なのに偉いね、ちゃんと敬語使えるんだね。」
俺は時計を受け取りながら、ふと、「時計が落ちることなんてあるか?」と疑問に思った。でも、可愛い子供を前にすると、そんな疑惑はフッと消えてしまう。この子、良いかもな。俺は屈んで、男の子と同じ目線になるようにした。
「君、名前何て言うの?歳はー」急に、胸ぐらをグッと掴まれた。
「俺をコイツらみたいな餓鬼と一緒にしないでください。後貴方、結構良い時計してるじゃないですか。身長が小さくても、時計くらいなら盗めるんですよ。…そうだなあ、医者か、薬剤師か、弁護士か、、…それか、裏の仕事だったりして?」
俺は最初、自分が何をされているのかがまるで分らなかった。こんな子供が大人の時計を盗み、口調も、言う言葉も、人を見る目さえも、全てが大人び過ぎていいる。子供の皮を被った大人。そうだ、そうだ。俺が探していたのはこういう奴だった。
俺たちと同じ裏を抱えた、闇の中でも生きられる、そんな子供が。
「苦藤!見つけたぞ!!俺たちの子供!!!」
「ちょっと体重オーバーかもな…、あ、この子は?」
「その子はちょっとひ弱そう…。」
俺たちは今、養子にする子供選びの真っ最中だ。
数時間前ー
「いくら何でもそれは無いですよ!リーダー!!」
「だから、決めたのは俺ではなく社長だ!もう一度言うが、お前らは今この瞬間なんの関係もないただの市民になったんだぞ!
あまり反抗的だと、許可も取り下げるからな!!」
「うう…。理不尽だ……、これから裏社会とは一切縁を切って、穏便に幸せに家族みんなでお日様の下を歩こうと思ってたのに……。」
「ああ、安心しろ。日の下は歩けるぞ、お前ら2人は。」
「家族みんな、つったじゃん!!!耳鼻科行けよお!!」リーダーのこめかみに血管が浮く音が聞こえた。
「…私達は今後一切殺し屋業から手を引くのですか?」苦藤が口を開いた。
「ああ。」
「それはさすがに無理です。実践のために身を持って教えないといけないこともたくさんあります。それに、血は繋がっていなくても大切な子供なんです。子供だけ戦場に置いて帰りを待つなんてそんなこと、私達にはできません。」
苦藤が珍しく、思いつめた顔で一息に言った。
「……それもそうか。分かった、殺し屋業の一斉の禁止は取り下げよう。だが、勘違いするなよ。お前ら家族が俺たちの手から逃れられると思うな。殆どの殺し屋は、一生を闇で過ごす。お前らは生きて光を目の当たりにするんだ。こんなこと、この先無いと思え。お前らを育てたのは、紛れもない『闇』なんだからな。」
リーダーの言葉が、いつにも増して重い言葉に聞こえた。
「話は以上だ。じゃあな。叉裂、苦藤。」
殺し屋をやめるということは、今までの俺を捨てるということだ。『側』だけ違う俺に生まれ変わる。
そんなことを考えながら歩いていると、苦藤が急に足を止めた。そういえば気付かなかったが、いつもの帰り道と違う。苦藤が止まったのは、大きな古い建物の前だった。
「おい、ここどこだよ。」
「入ったら分かるよ、おいで。ここには面識があるんだ。」
何か煮え切らない返事だったが、苦藤がその建物に入っていくのを見て、俺もその後に続いた。
「久しぶり、オーナー。引き取りたいんだけど良いかな?」
「おお、良いぞ。どれでも好きなもん持って行ってくれ。」
苦藤曰くオーナーのそいつは、無精髭を垂らし、もう何瓶も飲んだんだろう。顔が赤くなっていた。
2人の会話がイマイチ掴めない。
「おい、引き取るって何をだよ。」
「決まってるでしょ。」苦藤はある部屋の前に立ち、ガチャッと元気よく扉を開けた。
「子供だよーーー!!!!」
中から元気のいい子供達が走ってきて、苦藤に抱きつく。
「はああああ!?急すぎだろ!!まだ何も用意できてねえぞ、俺ら!!!」
「良い子は取られちゃうから。早い方が良いかと思ってって痛たたたたた!!」
髪を引っ張られたり、服を伸ばされたり、苦藤は本当に子供達に懐かれているのだろうと思った。それが純粋な子供の遊び心か、引き取ってもらうための媚びかは分からないが。
「ほら、子供選ぶから叉裂も手伝って!!」
「お、おう!!!」
そして冒頭に戻る。
俺たちは結構苦戦していた。運動神経が良いと思えば頭は悪いし、頭が良ければ普通に引き取りたくないくらい卑屈っぽい。
そうこうしている内に、あと5人になった。俺たちは子供の無邪気さにやられていた。2人ともくたくただった。
「あの、これ、おとしましたよ。」
後ろから小さな声が聞こえた。振り向くと、俺の時計を両手でおそるおそる差し出している男の子がいた。
「ああ、ありがとう。子供なのに偉いね、ちゃんと敬語使えるんだね。」
俺は時計を受け取りながら、ふと、「時計が落ちることなんてあるか?」と疑問に思った。でも、可愛い子供を前にすると、そんな疑惑はフッと消えてしまう。この子、良いかもな。俺は屈んで、男の子と同じ目線になるようにした。
「君、名前何て言うの?歳はー」急に、胸ぐらをグッと掴まれた。
「俺をコイツらみたいな餓鬼と一緒にしないでください。後貴方、結構良い時計してるじゃないですか。身長が小さくても、時計くらいなら盗めるんですよ。…そうだなあ、医者か、薬剤師か、弁護士か、、…それか、裏の仕事だったりして?」
俺は最初、自分が何をされているのかがまるで分らなかった。こんな子供が大人の時計を盗み、口調も、言う言葉も、人を見る目さえも、全てが大人び過ぎていいる。子供の皮を被った大人。そうだ、そうだ。俺が探していたのはこういう奴だった。
俺たちと同じ裏を抱えた、闇の中でも生きられる、そんな子供が。
「苦藤!見つけたぞ!!俺たちの子供!!!」