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僕のふざけた思い出

#39

第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」

綺羅にデートに誘われた五分は、その場の雰囲気に押し切られる形で、断れずについ頷いてしまった。 すごく優しい人だとは思う。けれど、出会ったばかりの相手といきなりのデート……。五分の心境は、困惑と緊張がぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。

「お待たせ~!」

「あ、うん。やっほー」

待ち合わせ場所に現れた彼女は、一段とお洒落な私服姿で、元気いっぱいに駆けてきた。

「どうかな? 今日はかなり気合入れてきたんだけど……」

「う、うん。すごく似合ってる。……とっても、素敵だよ」

緊張のあまり、思わず出まかせでそんな言葉を口にしていた。 慣れない空気に当てられ、思考がうまくまとまらない。「どうやってこの場をやり過ごそう」という、不快感に近い焦りさえ感じていた。

「……五分っち、行こうか?」

「あ、うん!」

二人は並んで、賑やかな街へと歩き出した。

───────────────────────────────────

「えっ、スケジュール決めてないの?」

「うん……綺羅ちゃんが考えてくれてると思ってて。本当にごめん……!」

焦りで冷や汗が流れる。デートにおいて絶対犯してはいけないミスを、五分はやらかしてしまった。 嫌われただろうか。それ以上に、せっかくの雰囲気を台無しにした自分の情けなさに胸が痛む。

「あ、大丈夫大丈夫~! 私もてっきり五分っちが考えてると思ってたし。なんだ、お相子じゃん♪」

「そう言ってもらえると、すごく助かるよ……」

「でもね、ありがとう」

予想外の言葉が返ってきた。

「えっ?」

「だって、相手にスケジュールを丸投げしちゃうくらい、私を信用してるって証拠じゃん! 私ら、相性抜群だよ~♪」

かなり極端なポジティブ理論。だが、五分はその言葉に救われた気がした。 理屈じゃない。時に無茶苦茶な理論ほど、人の心を軽くするものだ。五分は思わず微笑み返した。

「綺羅ちゃん、行き当たりばったりで行こっか!」

「もちもちろ~ん!」

そうして二人がやってきたのは、テーマパークだった。

「デートニ~ランド名物、じゃじゃじゃジェットコースター! いってらっしゃーい!」

従業員の威勢のいい声とともに、コースターが発進する。

ガタン……カランカラン!!

「う、うあああああああああ!」

「ちょっと、五分っちフライングだって! まだ落ちてないから!」

「じゃあ、ヤッホーかバカヤロー!? どっちがいい!?」

「それ違くない!?」

「じゃあじゃあ、号泣しながら記者会見開く感じで!?」

「それもう用途がちが……ぎゃあああああああ!!」

猛烈な勢いで落下し、急旋回し、トンネルをくぐり抜ける。果てには突如バックで急発進するという、コンプライアンス無視のアウトギリギリ攻め。流石に二人とも、命の危険を感じずにはいられなかった。

―――――――

「あはは! さすがにあのコースターはやばかったべ」

「そうだね。でも楽しかった。綺羅ちゃんと一緒だったから」

「……っ// そ、そう? 嬉しいな。まあ、五分っち途中で白目剥いて失神してたけどね」

「あ、うん……海外でバズってた『あの動画』の人の気持ちがよく分かったよ」

「ガクガクしながら起きたり寝たりするやつね……」

その後も、二人はテーマパークを満喫した。 楽しい時間。綺羅との距離が、少しずつ縮まっていく感覚。 けれど、心の片隅では……未だに龍華の死を、どこか引きずっていた。 こんなに楽しい時に、考えてはいけない。分かっているのに、脳内は天邪鬼だ。願う自分とは裏腹に、暗い影がよぎってしまう。

午後3時。とあるカフェで一息ついていると、綺羅がポツリと呟いた。

「いや~、本当に楽しかったね! 五分っちと来れて良かった!」

「本当だね、ありがとう。綺羅ちゃん」

ミルクティーの甘い香りが漂う。 ふとした沈黙の中、お互いに少しだけ頬を染め、視線を泳がせる。

「綺羅ちゃん……本当に、ありがとうね」

「全然いいよ~。でも、どうしたの改まって?」

「……僕のこと、“気にかけて”くれてたんでしょ?」

綺羅の目が見開かれた。 五分のまっすぐな言葉に、彼女はドギマギと動揺する。

「えっ、えっ? // そ、そうだよ。そうだけど……なんで分かったの?」

「スケジュール、最初から決めてなかったでしょ。それに突然のデート。ちょっとだけ違和感があって……」

問いかけると、綺羅は少しトーンを落として話し始めた。

「ごめんね……バレてたんだ。私、悲しんでる人を放っておけなくてさ。何でもいいから元気にしてあげたい、一緒にいたいって思っちゃって……。こういうの、不愉快かな? 迷惑だった?」

「ううん、そんなことないよ。それは綺羅ちゃんの優しさなんだから、大切にしてほしい。僕はすごく嬉しかったんだ。今日、綺羅ちゃんと過ごして、話していたら……少し楽になれた。君の言葉に、僕は救われたんだよ」

綺羅は驚いたように目を見開いた。 そして、堪えきれなくなったように、ふっと涙を零した。

「えへっ……五分っち、ありがとう……っ!!」

話しているうちに、五分自身も彼女の思いに救われた気がしていた。 ただ「一緒にいたい」。その真っ直ぐな気持ちだけで、冷えていた胸の奥が温かくなる。

夕日が差し込み、街がロマンチックな色に染まる頃。彼女はいたずらっぽく囁いた。

「五分っち、ずっと緊張してたでしょ?」

「えっ……バレてたの……!?」

「最初の方なんて、顔に『緊張』って書いてあったよ」

「そっか。これもお相子だね」

「でも、五分っち……いえ、五分。次はちゃんと、君の方から“告白”してね」

「!?」

温かな時間。そうして二人のデートは幕を閉じた。 意外な言葉や極端な理論に、案外救われることもある。五分は、そんなことをぼんやりと考えていた。
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作者メッセージ

《真美さんの優雅な時間》
おのれー!!
浮気者~!!!

2025/12/31 12:46

めっちゃええ感じ
ID:≫ 03IQsmMFoDW.o
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