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目が覚めた。 視界に飛び込んできたのは、見覚えのない無機質な天井だった。
「……っ」
起き上がろうとした瞬間、右肩に焼けるような激痛が走る。
「う、あ、ああッ……!」
鈍い痛みが引き金となり、昨夜の恐ろしい記憶がフラッシュバックする。 銃弾が肉を貫いたあの衝撃。止まらない冷や汗。乱れる呼吸。 五分は目を見開き、パニックに陥りそうになった。
「五分、五分……五分ッ!!」
突然、耳元で叫ばれた名前に心臓が跳ね上がる。 慌てて横を振り向くと、そこには椅子に座ったさくらがいた。
「いつの間に……?」
それだけではない。桃恵や真美まで、いつもの顔ぶれが揃っている。
「いつの間にって、あんた……。みんな最初からここにいたわよ」
桃恵が呆れたように溜息をつく。
「あ、そうなの? えーと……ごめん、ちょっと取り乱しちゃって……」
「五分ちゃん。自分がなんでここ(病院)にいるのか、聞かないんだね?」
桃恵の問いに、五分は少し照れくさそうに答えた。
「みんななら、絶対に見つけてくれるかなって思って。特にさくらは昔から、僕を見つけるのだけは一瞬だし……。もうストーカー並みだよ、ほんと」
「正解。一番に見つけたのは私よ。はぁ、ほんとあんたって奴は……!」
さくらはニヒヒと不敵に笑うと、五分の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「五分っち、本当に心配したんですよぉ! あんな血まみれで……うわぁぁぁん!!」
泣きながら抱き着いてくる真美。桃恵がそれを見て「隅に置けないな」と冗談めかして笑う。 窓から吹き込む涼しい風。 先ほどまでの恐怖が嘘のような、穏やかで平和な時間。 五分はこの温かさに背中を押され、昨夜起きた信じがたい出来事を話すべきだと決意した。
───────────────────────────────────
「……ストーリーテラー? エタナ・ギヴォズ? 信じられないわね」
五分の話を聞き終えたさくらが、眉をひそめる。
「僕だって信じがたいよ。でも、全部本当なんだ。あの時、肩の激痛が奇妙なほど消えて、体が自由に動かせた。……『運命に補正をかける』っていう力、あながち間違いじゃないのかもしれない」
「……真美ちゃんなら何か知ってるんじゃない? ほら、マキアのこととか詳しいし」
桃恵が話を振ると、真美は目に見えて怯えた様子で首を振った。
「め、滅相もないです! 私、そんなこと全然知りませんよぉ……」
「そっか……」
沈みそうになる空気を変えるように、五分がわざと陽気に声を上げた。
「で、でもさ! 運命に補正をかけるなんて、まさにチート能力じゃん! 『物語の主人公』っていう響きもかっこいいし。最近のラノベでも見ない設定だよ。男の子の憧れだよね!」
「あんた、女でしょ。いつから性別設定変えたのよ」
さくらの鋭いツッコミに、五分は黙り込む。
「……それと、『厄災の運命』っていう言葉も気になるわね。ねぇ、真美ちゃん?」
「えっ、あ、ええっ!? そ、そうですね、はい!」
「……何焦ってるのよ、全く」
他愛のない、いつもの日常。 仲間との会話に救われ、心に刻まれたトラウマも少しずつ遠ざかっていく。
「さくら、真美。……あの時は、ごめんね」
五分は、ずっと気になっていた「ふざけた思い出」の暴言について謝罪した。 少し緊張したが、二人は顔を見合わせると、揃って柔らかく微笑んだ。
「「いいよ」」
その一言に、五分の目から堪えていた涙がこぼれ落ちた。
(はぁ、なんだかんだ言ってずっと気にしてたのね。……可愛いところあるじゃない) (五分っち、気にしてくれてたんですね。……ちょっぴり、可愛いです)
二人の心中には、五分への温かな愛情が溢れていた。
───────────────────────────────────
その頃、組織「エタナ・ギヴォズ」の拠点にて。
「あはは……本当にうちらのこと、無駄に信じすぎちゃったねぇ~」
「まあ、これで相手も雑魚以下ではないことが証明されたし、いい手駒ってところね」
火花を散らすマグマの窯。 そこでは“二人の影”が、ポップコーンのように弾けながら、ドロドロの液体に煮込まれていた。
「ア、あぁぁぁあああああッ!! あぁぁぁッ!!」
「どう? マグマ風呂、温かいでしょ? “姉貴ちゃん”と“下っ端ちゃん”♡」
肉が焼け、骨さえ残らない尋常ならざる拷問。 必死の叫び声も、ここには届くはずもない。 失敗した駒に、価値などないのだから。
そこへ、一人の人物が歩み寄り、優雅にソファへと腰を下ろした。
「夜姫ちゃん、始末できた?」
「えぇ、もっちろん! ふふふ♡」
「そうか、ありがとう。これでまた一つ、『魂の転換』が進んだわけだね」
「そうだね~。うちらの計画も、もうすぐ完成だね!」
中心に座る人物が、冷酷な光を瞳に宿して告げる。
「じゃあ、そろそろ本腰を入れて『ストーリーテラー』を始末しよっか」
「「――世界平和のために」」
揃った声が、不気味に響き渡った。
「……っ」
起き上がろうとした瞬間、右肩に焼けるような激痛が走る。
「う、あ、ああッ……!」
鈍い痛みが引き金となり、昨夜の恐ろしい記憶がフラッシュバックする。 銃弾が肉を貫いたあの衝撃。止まらない冷や汗。乱れる呼吸。 五分は目を見開き、パニックに陥りそうになった。
「五分、五分……五分ッ!!」
突然、耳元で叫ばれた名前に心臓が跳ね上がる。 慌てて横を振り向くと、そこには椅子に座ったさくらがいた。
「いつの間に……?」
それだけではない。桃恵や真美まで、いつもの顔ぶれが揃っている。
「いつの間にって、あんた……。みんな最初からここにいたわよ」
桃恵が呆れたように溜息をつく。
「あ、そうなの? えーと……ごめん、ちょっと取り乱しちゃって……」
「五分ちゃん。自分がなんでここ(病院)にいるのか、聞かないんだね?」
桃恵の問いに、五分は少し照れくさそうに答えた。
「みんななら、絶対に見つけてくれるかなって思って。特にさくらは昔から、僕を見つけるのだけは一瞬だし……。もうストーカー並みだよ、ほんと」
「正解。一番に見つけたのは私よ。はぁ、ほんとあんたって奴は……!」
さくらはニヒヒと不敵に笑うと、五分の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
「五分っち、本当に心配したんですよぉ! あんな血まみれで……うわぁぁぁん!!」
泣きながら抱き着いてくる真美。桃恵がそれを見て「隅に置けないな」と冗談めかして笑う。 窓から吹き込む涼しい風。 先ほどまでの恐怖が嘘のような、穏やかで平和な時間。 五分はこの温かさに背中を押され、昨夜起きた信じがたい出来事を話すべきだと決意した。
───────────────────────────────────
「……ストーリーテラー? エタナ・ギヴォズ? 信じられないわね」
五分の話を聞き終えたさくらが、眉をひそめる。
「僕だって信じがたいよ。でも、全部本当なんだ。あの時、肩の激痛が奇妙なほど消えて、体が自由に動かせた。……『運命に補正をかける』っていう力、あながち間違いじゃないのかもしれない」
「……真美ちゃんなら何か知ってるんじゃない? ほら、マキアのこととか詳しいし」
桃恵が話を振ると、真美は目に見えて怯えた様子で首を振った。
「め、滅相もないです! 私、そんなこと全然知りませんよぉ……」
「そっか……」
沈みそうになる空気を変えるように、五分がわざと陽気に声を上げた。
「で、でもさ! 運命に補正をかけるなんて、まさにチート能力じゃん! 『物語の主人公』っていう響きもかっこいいし。最近のラノベでも見ない設定だよ。男の子の憧れだよね!」
「あんた、女でしょ。いつから性別設定変えたのよ」
さくらの鋭いツッコミに、五分は黙り込む。
「……それと、『厄災の運命』っていう言葉も気になるわね。ねぇ、真美ちゃん?」
「えっ、あ、ええっ!? そ、そうですね、はい!」
「……何焦ってるのよ、全く」
他愛のない、いつもの日常。 仲間との会話に救われ、心に刻まれたトラウマも少しずつ遠ざかっていく。
「さくら、真美。……あの時は、ごめんね」
五分は、ずっと気になっていた「ふざけた思い出」の暴言について謝罪した。 少し緊張したが、二人は顔を見合わせると、揃って柔らかく微笑んだ。
「「いいよ」」
その一言に、五分の目から堪えていた涙がこぼれ落ちた。
(はぁ、なんだかんだ言ってずっと気にしてたのね。……可愛いところあるじゃない) (五分っち、気にしてくれてたんですね。……ちょっぴり、可愛いです)
二人の心中には、五分への温かな愛情が溢れていた。
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その頃、組織「エタナ・ギヴォズ」の拠点にて。
「あはは……本当にうちらのこと、無駄に信じすぎちゃったねぇ~」
「まあ、これで相手も雑魚以下ではないことが証明されたし、いい手駒ってところね」
火花を散らすマグマの窯。 そこでは“二人の影”が、ポップコーンのように弾けながら、ドロドロの液体に煮込まれていた。
「ア、あぁぁぁあああああッ!! あぁぁぁッ!!」
「どう? マグマ風呂、温かいでしょ? “姉貴ちゃん”と“下っ端ちゃん”♡」
肉が焼け、骨さえ残らない尋常ならざる拷問。 必死の叫び声も、ここには届くはずもない。 失敗した駒に、価値などないのだから。
そこへ、一人の人物が歩み寄り、優雅にソファへと腰を下ろした。
「夜姫ちゃん、始末できた?」
「えぇ、もっちろん! ふふふ♡」
「そうか、ありがとう。これでまた一つ、『魂の転換』が進んだわけだね」
「そうだね~。うちらの計画も、もうすぐ完成だね!」
中心に座る人物が、冷酷な光を瞳に宿して告げる。
「じゃあ、そろそろ本腰を入れて『ストーリーテラー』を始末しよっか」
「「――世界平和のために」」
揃った声が、不気味に響き渡った。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」