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誤った・不適切な表現等がございます、世界観としてお楽しみください。
「あ、がぁあ……ッ!!」
右肩を、熱い衝撃が貫いた。 今まで経験したことのない、経験しなくてよかったはずの激痛。 五分は絶叫し、視界が白むほどに目を見開いた。
「ぁ、あぁああ……ッ、ぁぁ……!」
耳元で嫌な雑音が響き、意識が遠のきかける。 震える手で肩を抑えると、指先に伝わるドロリとした感触。それが自分の血なのだと思うと、吐き気がするほど気持ち悪かった。
(はぁ、はぁ……っ。まさか、上から来るなんて……。痛い、痛いよ……っ。なんで、なんでこんな……!)
本能的に物陰に隠れるが、痛みと混乱で思考が回らない。 冷静にならなければと思えば思うほど、心臓の鼓動が激痛を煽る。
(とにかく、身を隠さなきゃ……っ)
必死に壁を伝い、もたれかかった背中に硬い何かが触れた。
(これ……鏡?)
その瞬間――。
「姉貴を欺けたとしても、私までは無理だよ。油断したね」
屋根から軽やかに降りてきたのは、先ほどの「下っ端」だった。 鋭い目つきのまま、その銃口は冷酷に五分を捉えている。
「はぁ、はぁ……。油断大敵、ってことだね」
「そう。まあ正直、姉貴相手に油断するのは無理もない。あいつはかなり抜けてるからね。本当にアホらしいよ」
「……仲、悪いの?」
下っ端は、深くため息をついて語り始めた。
「あいつはさ、やる気だけはある癖に、どうしようもないお人好しなんだよ。人を殺すなんて言いつつ、結局は手を汚せない。いつも尻拭いをするのは私。……だけど、そんな姉貴が私は好きなんだ。優しすぎるあいつの代わりに、私が手を汚す。それだけだよ」
「なるほどね……。事情は深掘りしないよ。君なりの理由があるんだろうし」
「……いい奴だね、あんた。でも、ストーリーテラーは殺す。それが任務だから」
下っ端が引き金に指をかけた。
「さようなら」
乾いた発砲音が路地裏に響く。
パリン――!
しかし、響いたのは肉を貫く音ではなく、鏡が砕け散る硬質な音だった。 撃ち抜いた先に、血の一滴すら残っていない。
「まさか、反射……!?」
「“油断”したのは、そっちじゃない?」
背後から迫る気配に、下っ端が戦慄して振り向く。 だが、それよりも五分の拳の方が速かった。
「オラァッ!!」
ドォッ!!
闘気を纏った一撃が顔面を捉え、同時にハンドガンを弾き飛ばす。 下っ端の体は無残に後方へと吹き飛んだ。
「ガハッ……!」
「油断大敵、でしょ? ……さて、話せることは全部話してもらうよ。その後で、君たちをぶっ潰す」
その時だった。
「おい! 大丈夫か、下っ端……!」
「姉貴……!? 来るんじゃない!」
「うおおおおお!」
姉貴が正面から猛然と突っ込んでくる。 だが、冷静さを欠いた突進など、今の五分の敵ではなかった。
ゴッ!!
五分が放った痛恨の一撃が、姉貴の鳩尾に突き刺さる。 彼女は苦悶の表情を浮かべ、膝から崩れ落ちた。
「姉貴……! だから防弾プレートはしとけって言ったのに……!」
「……っ、はぁ、はぁ……!」
苦しみながらも、姉貴は再び立ち上がった。その鋭い眼光だけは、決して五分を離さない。
「待って。なんでそこまでして、僕に固執するの? 何を貫きたいっていうのさ……!」
姉貴は深く、深く息を吸い込み、声を絞り出した。
「私はダメダメでさ……。いつも妹に頼り切りなんだ。昔からヒーローに憧れて、誰かの役に立ちたかった。でも現実は、炎王の件みたいに悪い奴に騙されてばかり。そんな自分を、変えたかったんだ」
彼女の言葉には、悲痛なほどの決意が混じっていた。
「だけど、今の組織は違った。『世界を救うため』に私を必要としてくれた。情けない私を、初めて褒めてくれたんだ! だからやり直すために……『厄災の運命』であるお前を、殺すんだよ!!」
「……わかった。でも最後に一つ。もし僕がストーリーテラーじゃなかったら、君は人を殺すの?」
「確信があるんだ……絶対的なね。ストーリーテラーは運命に補正をかける。奇妙な幸運でピンチを脱し、それが更なる災いを呼ぶ。……お嬢ちゃん、肩を撃ち抜かれてるのに、普通に動けてるでしょ? 一般人には到底不可能なことだ。その常識外の在り方こそ、物語の主人公である証拠なんだよ!」
姉貴は、銃のない右手を五分に向けた。 指を銃の形にし、己の覚悟をそこに込める。
「“この覚悟を、貫く!!”」
いつの間にか、彼女の拳には黄金色の闘気が渦巻いていた。 それは闘争心――己の生を賭けた覚悟を具現化した力。
「勝負だ!!」
「待って姉貴……! あんたに人なんて殺せ――」
下っ端が制止しようとしたが、姉貴の眼差しを見て言葉を飲んだ。 これは、誰にも邪魔できない戦いだ。
姉貴の拳が五分を襲う。 凄まじい風圧とともに、顔面、急所、あらゆる隙を的確に突いてくる。
「ウッ……グ、はぁっ!!」
五分は吐血しながらも、その視線は一度も逸らさなかった。 お互いにボロボロになりながら、魂を削り合うような殴り合い。 打撃音が鈍く、重くなっていく中、下っ端がたまらず叫び声を上げた。
「姉貴……! 頑張れ! 負けるな!!」
その声に応えるように、姉貴の拳に一層の力が宿る。
「限界、上等ぉぉぉ!!!」
放たれる、渾身の一撃。
だが――。
「オッッラァァァ!!!」
僅かな差で五分の拳が先に届いた。 空気を切り裂く衝撃が、姉貴の体を大きく吹き飛ばす。
「ガ……ハッ……!」
姉貴はそのまま地面に叩きつけられ、眠るように意識を失った。
「はぁ……はぁ、はぁ……」
静寂の中、立ち尽くす五分。 自分を貫き、勝利を掴み取った。 肩で息をしながら立ち尽くしていると、下っ端が駆け寄り、一言だけ呟いた。
「……ありがとう」
彼女は倒れた姉を優しく抱きかかえると、夜の闇へと消えていった。
「――ッ!? ア、ガァァァァ!!」
緊張が解けた途端、右肩に焼けるような激痛がぶり返した。 五分はその場に崩れ落ちる。 意識が急速に白濁し、周囲の音が聞こえなくなっていく。
指先から力が抜け、重たくなった瞼を閉じる。 不思議と、心地よささえ感じていた。
(ありがとう、か……)
沈みゆく意識の淵で、五分はそんなことを思った。 日が沈み、暗闇が広がる街で、その後、懸命な五分の捜索が始まった。
右肩を、熱い衝撃が貫いた。 今まで経験したことのない、経験しなくてよかったはずの激痛。 五分は絶叫し、視界が白むほどに目を見開いた。
「ぁ、あぁああ……ッ、ぁぁ……!」
耳元で嫌な雑音が響き、意識が遠のきかける。 震える手で肩を抑えると、指先に伝わるドロリとした感触。それが自分の血なのだと思うと、吐き気がするほど気持ち悪かった。
(はぁ、はぁ……っ。まさか、上から来るなんて……。痛い、痛いよ……っ。なんで、なんでこんな……!)
本能的に物陰に隠れるが、痛みと混乱で思考が回らない。 冷静にならなければと思えば思うほど、心臓の鼓動が激痛を煽る。
(とにかく、身を隠さなきゃ……っ)
必死に壁を伝い、もたれかかった背中に硬い何かが触れた。
(これ……鏡?)
その瞬間――。
「姉貴を欺けたとしても、私までは無理だよ。油断したね」
屋根から軽やかに降りてきたのは、先ほどの「下っ端」だった。 鋭い目つきのまま、その銃口は冷酷に五分を捉えている。
「はぁ、はぁ……。油断大敵、ってことだね」
「そう。まあ正直、姉貴相手に油断するのは無理もない。あいつはかなり抜けてるからね。本当にアホらしいよ」
「……仲、悪いの?」
下っ端は、深くため息をついて語り始めた。
「あいつはさ、やる気だけはある癖に、どうしようもないお人好しなんだよ。人を殺すなんて言いつつ、結局は手を汚せない。いつも尻拭いをするのは私。……だけど、そんな姉貴が私は好きなんだ。優しすぎるあいつの代わりに、私が手を汚す。それだけだよ」
「なるほどね……。事情は深掘りしないよ。君なりの理由があるんだろうし」
「……いい奴だね、あんた。でも、ストーリーテラーは殺す。それが任務だから」
下っ端が引き金に指をかけた。
「さようなら」
乾いた発砲音が路地裏に響く。
パリン――!
しかし、響いたのは肉を貫く音ではなく、鏡が砕け散る硬質な音だった。 撃ち抜いた先に、血の一滴すら残っていない。
「まさか、反射……!?」
「“油断”したのは、そっちじゃない?」
背後から迫る気配に、下っ端が戦慄して振り向く。 だが、それよりも五分の拳の方が速かった。
「オラァッ!!」
ドォッ!!
闘気を纏った一撃が顔面を捉え、同時にハンドガンを弾き飛ばす。 下っ端の体は無残に後方へと吹き飛んだ。
「ガハッ……!」
「油断大敵、でしょ? ……さて、話せることは全部話してもらうよ。その後で、君たちをぶっ潰す」
その時だった。
「おい! 大丈夫か、下っ端……!」
「姉貴……!? 来るんじゃない!」
「うおおおおお!」
姉貴が正面から猛然と突っ込んでくる。 だが、冷静さを欠いた突進など、今の五分の敵ではなかった。
ゴッ!!
五分が放った痛恨の一撃が、姉貴の鳩尾に突き刺さる。 彼女は苦悶の表情を浮かべ、膝から崩れ落ちた。
「姉貴……! だから防弾プレートはしとけって言ったのに……!」
「……っ、はぁ、はぁ……!」
苦しみながらも、姉貴は再び立ち上がった。その鋭い眼光だけは、決して五分を離さない。
「待って。なんでそこまでして、僕に固執するの? 何を貫きたいっていうのさ……!」
姉貴は深く、深く息を吸い込み、声を絞り出した。
「私はダメダメでさ……。いつも妹に頼り切りなんだ。昔からヒーローに憧れて、誰かの役に立ちたかった。でも現実は、炎王の件みたいに悪い奴に騙されてばかり。そんな自分を、変えたかったんだ」
彼女の言葉には、悲痛なほどの決意が混じっていた。
「だけど、今の組織は違った。『世界を救うため』に私を必要としてくれた。情けない私を、初めて褒めてくれたんだ! だからやり直すために……『厄災の運命』であるお前を、殺すんだよ!!」
「……わかった。でも最後に一つ。もし僕がストーリーテラーじゃなかったら、君は人を殺すの?」
「確信があるんだ……絶対的なね。ストーリーテラーは運命に補正をかける。奇妙な幸運でピンチを脱し、それが更なる災いを呼ぶ。……お嬢ちゃん、肩を撃ち抜かれてるのに、普通に動けてるでしょ? 一般人には到底不可能なことだ。その常識外の在り方こそ、物語の主人公である証拠なんだよ!」
姉貴は、銃のない右手を五分に向けた。 指を銃の形にし、己の覚悟をそこに込める。
「“この覚悟を、貫く!!”」
いつの間にか、彼女の拳には黄金色の闘気が渦巻いていた。 それは闘争心――己の生を賭けた覚悟を具現化した力。
「勝負だ!!」
「待って姉貴……! あんたに人なんて殺せ――」
下っ端が制止しようとしたが、姉貴の眼差しを見て言葉を飲んだ。 これは、誰にも邪魔できない戦いだ。
姉貴の拳が五分を襲う。 凄まじい風圧とともに、顔面、急所、あらゆる隙を的確に突いてくる。
「ウッ……グ、はぁっ!!」
五分は吐血しながらも、その視線は一度も逸らさなかった。 お互いにボロボロになりながら、魂を削り合うような殴り合い。 打撃音が鈍く、重くなっていく中、下っ端がたまらず叫び声を上げた。
「姉貴……! 頑張れ! 負けるな!!」
その声に応えるように、姉貴の拳に一層の力が宿る。
「限界、上等ぉぉぉ!!!」
放たれる、渾身の一撃。
だが――。
「オッッラァァァ!!!」
僅かな差で五分の拳が先に届いた。 空気を切り裂く衝撃が、姉貴の体を大きく吹き飛ばす。
「ガ……ハッ……!」
姉貴はそのまま地面に叩きつけられ、眠るように意識を失った。
「はぁ……はぁ、はぁ……」
静寂の中、立ち尽くす五分。 自分を貫き、勝利を掴み取った。 肩で息をしながら立ち尽くしていると、下っ端が駆け寄り、一言だけ呟いた。
「……ありがとう」
彼女は倒れた姉を優しく抱きかかえると、夜の闇へと消えていった。
「――ッ!? ア、ガァァァァ!!」
緊張が解けた途端、右肩に焼けるような激痛がぶり返した。 五分はその場に崩れ落ちる。 意識が急速に白濁し、周囲の音が聞こえなくなっていく。
指先から力が抜け、重たくなった瞼を閉じる。 不思議と、心地よささえ感じていた。
(ありがとう、か……)
沈みゆく意識の淵で、五分はそんなことを思った。 日が沈み、暗闇が広がる街で、その後、懸命な五分の捜索が始まった。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」