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「お、お姉ちゃん!?」
突如として、木の扉がバァンッと爆音を立てて吹き飛んだ。
埃が舞う中から現れたのは──しばらく会っていなかった“最も頼もしくて、そして最も厄介な存在”。
五分の義理の姉、桃恵(ももえ)だった。
にっこりと微笑むその姿は、まさに春色の嵐。
かつて、ひとりぼっちだった五分を拾い育ててくれた命の恩人にして、育ての親でもある。
「久しぶり~♪ 私の愛しの家族よ♡」
──なにも言う間もなく。
どこかクリチー味のあるセリフを放ちながら、ピンクの嵐は一直線に五分へと突撃した。
「うわっ!?」
思いっきり抱きしめられ、ふわっと花のような甘い香りに包まれる。
もはや抵抗する術などなく、いつも通りされるがままだ。
「き、今日は何用なの?」
五分が尋ねると、桃恵の顔から一気に笑みが消えた。
雰囲気が、スッと変わる。
今までの軽さが嘘のように、どこか深刻な空気が流れた。
「……それが、赫紗(あかさ)ちゃんと蒼歌(そうか)ちゃんたちを助けてほしいの───!!」
五分は眉をひそめた。
懐かしい名前だった。
赫紗さんと蒼歌さん──
桃恵の友達で、よく家に遊びに来ていた二人の姉妹。
クールで頼りになるお姉さんたちで、五分が小さい頃によく面倒を見てくれていた。
「……赫紗さんたちが、どうかしたの?」
桃恵は俯き、ぽつりとつぶやいた。
「赫紗ちゃんたちが……“カブトガニとヒトデ”になっちゃったの──!!」
……しばらくの沈黙。
「え?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
いや、五分には更に理解できなかった。
桃恵の発言は、あまりにも非現実すぎた。
「ちょ、え? 何がどうしてそうなったの?」
混乱しながらも問い返すと、桃恵は少し焦ったように手を振って説明を始める。
「いや、ちゃんと話すから落ち着いて聞いて?
実はね――とある“力”を持った存在、そう、“能力者(マキア)”によって、赫紗ちゃんたちは姿を変えられてしまったの!」
「能力者……マキア……? 厨二病?」
聞き慣れない単語に、五分の脳が即座に警戒態勢に入る。
一瞬、姉が遅めの厨二病を発症したのかと本気で疑った。
「待って、誤解だから! ちゃんと説明するから!」
───────────────────────────
ソファに腰を下ろした桃恵に、五分は紅茶を差し出す。
一旦、互いに落ち着きを取り戻したところで、再び話が始まった。
「マキア……私も一昨日初めて知った概念的存在。
“闘気”と呼ばれる闘争心──己の生を賭ける覚悟を具現化した力。
その中に稀に宿る異能を持つ者たち、それが“能力者(マキア)”なの。」
「──ッ! そ、それって!!」
五分の脳裏に、いくつかの記憶が閃く。
過去に出会った敵や仲間の中に、“何かしらの力”を使う者が確かにいた。
そして──クリチーが言っていた“闘気による異能力者”。
その存在が、このマキアと一致していた。
桃恵は続ける。
「そして、その異能力そのものを“真気(マキ)”と呼ぶの。
マキは常識を破り、物理法則すら踏み越える……それはとっても恐ろしい力なの。」
そう言って、桃恵の声が少し震えた。
「……赫紗ちゃんたちも、そのマキの力によって、あんな……あんな気持ち悪くて、キモくて、ウネウネした、見るに堪えない生物に……!」
「言い過ぎじゃない!?」
悪口にしか聞こえなかったが、桃恵が本気でショックを受けているのは明らかだった。
けれど、五分にはもう一つ気になることがあった。
「なんで、マキアの存在を知ってるの?」
桃恵は一瞬俯き、そして強い瞳で五分を見据えた。
「マキについて研究している、とある作家さんがいるの。」
「作家? 研究? ……え、どういう組み合わせ?」
あまりに意外な単語の並びに、謎は深まるばかり。
「そう、作家さん。性格はちょっとアレだけど、すっごく賢いの!」
「そのパターン、大体イカれてるのでは……」
桃恵がにっこりと微笑む。
まるで何かを思い出したかのように、ふと口を開いた。
「……でね、実はその方、呼んでるの♪」
再び沈黙。
「え?」
五分の間の抜けた声が、家中に響き渡った。
──新たな訪問者たち。
そして、マキアという未知の存在。
物語は、また一つ、騒がしく動き始める。
突如として、木の扉がバァンッと爆音を立てて吹き飛んだ。
埃が舞う中から現れたのは──しばらく会っていなかった“最も頼もしくて、そして最も厄介な存在”。
五分の義理の姉、桃恵(ももえ)だった。
にっこりと微笑むその姿は、まさに春色の嵐。
かつて、ひとりぼっちだった五分を拾い育ててくれた命の恩人にして、育ての親でもある。
「久しぶり~♪ 私の愛しの家族よ♡」
──なにも言う間もなく。
どこかクリチー味のあるセリフを放ちながら、ピンクの嵐は一直線に五分へと突撃した。
「うわっ!?」
思いっきり抱きしめられ、ふわっと花のような甘い香りに包まれる。
もはや抵抗する術などなく、いつも通りされるがままだ。
「き、今日は何用なの?」
五分が尋ねると、桃恵の顔から一気に笑みが消えた。
雰囲気が、スッと変わる。
今までの軽さが嘘のように、どこか深刻な空気が流れた。
「……それが、赫紗(あかさ)ちゃんと蒼歌(そうか)ちゃんたちを助けてほしいの───!!」
五分は眉をひそめた。
懐かしい名前だった。
赫紗さんと蒼歌さん──
桃恵の友達で、よく家に遊びに来ていた二人の姉妹。
クールで頼りになるお姉さんたちで、五分が小さい頃によく面倒を見てくれていた。
「……赫紗さんたちが、どうかしたの?」
桃恵は俯き、ぽつりとつぶやいた。
「赫紗ちゃんたちが……“カブトガニとヒトデ”になっちゃったの──!!」
……しばらくの沈黙。
「え?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
いや、五分には更に理解できなかった。
桃恵の発言は、あまりにも非現実すぎた。
「ちょ、え? 何がどうしてそうなったの?」
混乱しながらも問い返すと、桃恵は少し焦ったように手を振って説明を始める。
「いや、ちゃんと話すから落ち着いて聞いて?
実はね――とある“力”を持った存在、そう、“能力者(マキア)”によって、赫紗ちゃんたちは姿を変えられてしまったの!」
「能力者……マキア……? 厨二病?」
聞き慣れない単語に、五分の脳が即座に警戒態勢に入る。
一瞬、姉が遅めの厨二病を発症したのかと本気で疑った。
「待って、誤解だから! ちゃんと説明するから!」
───────────────────────────
ソファに腰を下ろした桃恵に、五分は紅茶を差し出す。
一旦、互いに落ち着きを取り戻したところで、再び話が始まった。
「マキア……私も一昨日初めて知った概念的存在。
“闘気”と呼ばれる闘争心──己の生を賭ける覚悟を具現化した力。
その中に稀に宿る異能を持つ者たち、それが“能力者(マキア)”なの。」
「──ッ! そ、それって!!」
五分の脳裏に、いくつかの記憶が閃く。
過去に出会った敵や仲間の中に、“何かしらの力”を使う者が確かにいた。
そして──クリチーが言っていた“闘気による異能力者”。
その存在が、このマキアと一致していた。
桃恵は続ける。
「そして、その異能力そのものを“真気(マキ)”と呼ぶの。
マキは常識を破り、物理法則すら踏み越える……それはとっても恐ろしい力なの。」
そう言って、桃恵の声が少し震えた。
「……赫紗ちゃんたちも、そのマキの力によって、あんな……あんな気持ち悪くて、キモくて、ウネウネした、見るに堪えない生物に……!」
「言い過ぎじゃない!?」
悪口にしか聞こえなかったが、桃恵が本気でショックを受けているのは明らかだった。
けれど、五分にはもう一つ気になることがあった。
「なんで、マキアの存在を知ってるの?」
桃恵は一瞬俯き、そして強い瞳で五分を見据えた。
「マキについて研究している、とある作家さんがいるの。」
「作家? 研究? ……え、どういう組み合わせ?」
あまりに意外な単語の並びに、謎は深まるばかり。
「そう、作家さん。性格はちょっとアレだけど、すっごく賢いの!」
「そのパターン、大体イカれてるのでは……」
桃恵がにっこりと微笑む。
まるで何かを思い出したかのように、ふと口を開いた。
「……でね、実はその方、呼んでるの♪」
再び沈黙。
「え?」
五分の間の抜けた声が、家中に響き渡った。
──新たな訪問者たち。
そして、マキアという未知の存在。
物語は、また一つ、騒がしく動き始める。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」