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僕のふざけた思い出

#21

第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」

炎王の騒動から一週間。
ようやく平和な日常が戻ってきた──そう思っていたのだが。

「やばい、やばい、とんでもない事を知っちゃった……! これはすぐにさくらに伝えなきゃ──!」

五分は額に汗を浮かべ、全力で走っていた。
その瞳には焦燥と使命感……いや、今すぐにでも世界を救う勇者のような決意が宿っている。

(まさか……この非常識な世界に、ここまで非常識な事実が隠されていたなんて……!)

彼の中ではこれは──物語の根幹を揺るがす超大事件である。

五分はポケットからスマホを取り出し、即座に発信ボタンを押した。

「……んー、なにー?」

眠たげな声が返ってきた。さくらである。
ちょうど昼寝していたらしく、声にやる気は皆無。

「さくら! やばい! とんでもないことを知ってしまった!!」

「はいはい、どーせまたくだらないやつでしょ?」

「違う、今回は本当にやばいんだ!」

一度息を整え、五分は叫んだ。

「──田中さんのケツから玉ねぎが生えたんだよッッ!!」

「……」

通話の向こうが一瞬で凍りついた。

そして──

「寝起きで聞く内容ちゃうわッ!!!!」

さくらの絶叫が木霊する。
こうして、再び物語は幕を開けてしまったのである。

───────────────────────────────────

「で、これが例の“ケツから生えた玉ねぎ”……?」

静かな公園。
ベンチの前に立つ二人は目を疑った。

一般サラリーマン・田中さん。
そのお尻から──ドンッと立派な玉ねぎがニョキッと生えていた。

「そう……これが伝説のケツネギさ……」

真剣な顔で五分が頷く。

「ねぇ五分。私の記憶が正しければ……玉ねぎって普通、畑に生えるんじゃない?」

「ケツも……一種の大地。つまり人生の畑だよ」

「名言っぽく言ってるけど、ただの地獄ワードだよそれ!!!」

田中さんはベンチに座ったまま震えている。
さくらは常識人だからこそ、この惨状を受け入れきれなかった。

「……とにかく、まずはこの玉ねぎを引っこ抜くしかないな」

五分はゴム手袋を取り出し、装着。
ビシッとポーズを決める。

「“ゴム手袋作戦”開始! 対象:ケツ! 任務:全力で引っこ抜け!」

「セリフだけで通報案件だよそれぇぇ!!」

葉っぱをガシッと掴み、渾身の力を込める。

「ぬおおおおおおおおッッ!!」

「うわっ! なんか玉ねぎ臭い! 目にしみるやつ!!」

ズル……グググ……
──だが、まったく抜けない。

涙と鼻水で顔面ぐちゃぐちゃになった五分はついに手を離した。

こうして「ゴム手袋作戦」は嗅覚・視覚・倫理観へのダメージを残したまま、無念の失敗に終わった。

──その時だった。

ニョキッ。

田中さんの頭から、人参が生えた。

「え、今……頭からニンジン……?」

「どこからどこまでが田中さんの標準装備なの???」

次の瞬間。

ピーマン!トマト!キャベツ!ブロッコリー!大根!じゃがいも!
ポン! ポン! ポポポポン!!

田中さんの体から野菜が次々と芽吹き始めたのだ。

「お前は畑かよ!!! 農園の化身か何か!?!?」

さくらが叫ぶと、五分が深刻な顔をして呟いた。

「……こうなったら、“ヤツ”を呼ぶしかない」

「ヤツ……?」

───────────────────────────────────

──1分後。

「Hey! 諸君、私が来たぞ☆」

雷鳴とともに現れたのは──みんな大好き、クリチーであった。

「またこの展開かァッ!?!?」

さくらが盛大に叫ぶ。使い回し展開すぎてツッコミが追いつかない。

だがクリチーは真剣そのもの。田中さんをじっと見つめる。

「これは……深刻だ……オペを開始する」

「言い方だけは医者っぽいけど、状況はギャグ漫画の最低ラインだからな!?」

しかし、クリチーの動きは妙に洗練されていた。
ゴム手袋を装着する姿に、なぜかオーラすら漂う。

「さすがです……クリチー隊長……! すごすぎます……!」

五分が感嘆の声を漏らす。

「フッ、この道、もう20年だからな」

「“この道”って何!? ケツから野菜専門家なんて存在するの!? てか医者なのに隊長って何!?」

「五分君、例のアレを出してくれ」

「ウィー、シェフ!」

「シェフなの!? 今度は料理人設定!? 医者設定どこいった!?」

次の瞬間、五分が取り出したのは──鍋、フライパン、包丁、バーナー。

「なにやってんの!?」

「助けられないなら、調理するまで……それが私たちの流儀だッ!!」

「何その鬼畜グルメ哲学ゥゥ!!!!!」

鍋から立ちのぼる香りは、まさかの──ケツネギスープ。
バターの香りが公園に漂い、まさかのシズル感を演出していた。

そして、グツグツと煮え立つ鍋に……田中さんが運ばれそうになる。

「やめろおおおおお!!! 誰もそんな異物食いたくないわァァッ!!!」

さくらが絶叫。
その瞬間──時間がピタリと止まった。

田中さんの姿が空中で固まり、野菜の香りだけが残る世界。

「……時は動き出す」

さくらは静かに田中さんを救い出した。
完全に某吸血鬼のノリである。

───────────────────────────────────

こうしてまたも作戦は振り出しに戻った。
公園には鍋と調理器具、そして妙な匂いだけが残る。

その時。

「おーい!」

公園の入口から元気な声が響いた。
現れたのは──田中さんの飼い主、りんちゃんである。

「まずいっ!」

五分とさくらは慌てて田中さんを隠す。
どう見ても健全な光景ではない。

「り、りんちゃん、こ、これは……」

しかしりんちゃんは涼しい顔で言った。

「あ?これ、“生え変わり”の時期だね」

「……え?」

五分とさくらは固まった。

「いやいやいやいや!!!」

さくらが顔を真っ赤にして叫ぶ。

「そんな冷静に言われても! “生え変わり”って何!? これ毛じゃなくて農作物だよ!?!?!?」

さくらの脳内に「エラー音」が鳴り響く。
──だが、本能的に悟った。
これ以上考えたら危ない。

人間、時には“考えるのをやめる”ことも必要なのだ。

───────────────────────────────────

「ま、まぁ……とにかく“生え変わり”なら、良かったね。アハハ……」

五分がぎこちない笑みを浮かべてまとめようとする。

しかし──

「あんたのせいで休日の午後が全部潰れたんだよ!!!」

ズドォン!!!

さくらの怒りの木刀が五分の背に炸裂した。
そのまま彼女の体は弾丸のように吹っ飛び──公園の蜂の巣エリアにダイブ。

「ぎゃあああああ!!!!」

地獄の絶叫が響き渡った。

こうして、またも平和な日常は遠のいていくのであった──。
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2025/12/21 08:29

めっちゃええ感じ
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