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夜空を裂くほどの灼熱の飴──《黒陽焦珠(こくようしょうじゅ)》をデグは口に含んだ。
その瞬間、黒炎が体を覆い、暗黒の闘気が爆発的に湧き上がる。
「……う、うそ……こんなのおかしいよ……」
五分は思わず腰を抜かし、石床に崩れ落ちた。
周囲の空気は焼け、天井は粉々に砕け散り、世界は地獄の如く変貌を遂げた。
「ふふふ、五分さん。もし服従するなら、命は許してあげましょうか?」
余裕の笑みを浮かべるデグ。
黒炎のオーラは、ただ立っているだけで存在を圧倒する。
「そんな挑発に…………!!」
──と言ったものの、正直、服従してでも命を守りたい気持ちが胸を締めつけた。
だが、戦うしかない。ここで逃げれば、全てが終わる──この島も、未来も、仲間も。
「せめて、二人だけでも……助けたい」
その決意が胸を焦がした瞬間、背後から温かい手が肩を叩く。
「あんただけ戦おうと思わないでよ」
振り返ると、さくらが静かに、しかし力強く微笑む。
「え、口に出してた?」
「五分の考えてることくらい、なんとなく分かるよ。だって……“仲間”だもん」
その言葉が胸に深く染み渡る。
恐怖で震える心に、共に立つ仲間の存在がわずかながら光を灯す。
「……よし、ラスボス戦、勝とう!!」
ドン、と拳を打ち合わせ、三人の戦意が燃え上がった。
「感情に縋るしかない哀れな人間ですね」
デグが嘲笑う。
しかし五分は一言で切り返す。
「感情の無い厨二病には、なりたくないからね」
黒炎が渦巻くデグに向かい、五分は拳を握る。
「くっ……! お終いにしましょうかッッ!!」
デグの拳から邪炎の火球が放たれる。
「───『邪炎黒弾ッ』!!」
ドゴォォォォン!!
爆炎が轟き、王座の間を焦がす。
しかし──
「やあああッ!!」
さくらが木刀を握り、火球を打ち返す。
バシュンッ!!
火球はデグに直撃し、跳ね返った衝撃で周囲の石柱を震わせる。
「もう少しまともに避けたら? “いつも”みたいに」
「グッ……!」
焦りを見せるデグ。
さらに拳から邪炎の火球を連続で放つ。
クリチーは逃げるように距離を取り、叫び声を上げながら廊下を駆け抜ける。
「わーっ〜!!」
だが、岩に身を隠すと火球が直撃し、跳ね返った一撃がデグに炸裂する。
「……ラッキー♪」
五分たちの猛攻に、デグの表情にわずかな苛立ちが走る。
「ぐっぬぬ……な、なんだ!」
追い詰められたデグに向かい、五分は跳ぶ。
「デグ、終わりだーッ!! オラァッ!」
闘気を込めた拳が渾身の勢いで振り下ろされる───
しかし──
ドシュッ!!
目の前に血が舞った。
デグの手元には血まみれの刃。
「……え?」
そこに立っていたのは──さくらだった。
「……さ……くら?」
身代わりとなった腹部に、デグの隠し持つ刃が突き刺さっていた。
「さくら……!!」
地面に倒れるさくら。血が床を赤く染める。
「ふーむ、身代わりに……そうですか……」
デグは静かに、砕けた王座に腰掛けたまま、冷たい黒炎を纏った姿で微笑む。
黒く妖しく輝く瞳──それは、まさに絶望そのもだった。
五分は、まだ温もりを残すさくらを抱きかかえ、壁の陰に体を寄せた。
床には赤く濡れた染みが広がり、五分の服にも血が染み込む。
「さくら……ごめん……僕が……僕がもっと……守れていれば……」
声が震え、言葉にならない嗚咽が胸を揺らす。涙が頬を伝い、視界を滲ませる。
怒りと悲しみが入り混じり、胸の奥で渦巻く。
「なんで……なんでこんなことに……なんで手を伸ばしても……届かないんだ……」
さくらは弱々しく笑い、かすかに五分の頬に触れた。
「ふっ……悲しまないで……五分……ごめんね……」
その瞳がゆっくり閉じられる。温もりが、光が、音が──すべて遠ざかるようだった。
時間はまるで凍りついたかのように、重く、遅く、空気は鉛のように身体にまとわりつく。
五分の意識は、自分の痛みを、世界の痛みを、すべて押し込めようとする。しかし痛みは逃げず、全身を刺すように広がる。耳鳴りが響き、頭の中でさくらの声と自分の声が混ざる。
「あぁ……痛い……やだ……辛い……逃げたい……夢ならいいのに……」
怒りと悲しみがぶつかり合い、五分の心は引き裂かれる。
拳をぎゅっと握りしめても、指先には震えが残る。胸の奥が焼けるように痛む。
「どうして……どうしてこんな思いをしなきゃいけないんだ……!」
涙が止まらず、次第に嗚咽が叫びに変わる。
「うわあああああああッッ!!!!!」
悲しみと怒りが、絶望と化して渦巻く。
世界が灰色に沈み、心が砂のように崩れていく。
五分は自分を責めた。
守れなかった自分、間に合わなかった自分、そして失ったすべてに。
「もう……もう絶対に無理だ……」
声は震え、膝をつき、体ごと床に崩れ落ちる。
全てを諦めた瞬間、心の奥底に冷たい闇が広がる。
空っぽの瞳に映るのは、ただ血に染まる床と、もう戻らぬ温もりだけだった。
絶望が、全てを覆い尽くす───。
五分は、血の匂いのする石床に膝をついたまま、動けなかった。腕の中の温もりは、もう消えかけている。指先から彼女の命が砂のように零れていく感覚が、五分の胸を締めつけた。
「さくら……ごめん……僕がもっと強ければ……」
声はかすれ、涙は止まらない。頭の奥で「逃げたい」「終わりたい」という言葉が何度もこだまする。視界は滲み、世界は灰色に見えた。
──そのときだった。
ギュッ、と肩に確かな圧力がかかる。温かい手のひらの感触が、暗闇の底にいた五分の身体を一瞬だけ現実に引き戻す。
「……五分、諦めないで」
耳元に響いた声に、五分ははっと顔を上げた。
そこに立っていたのは──
「……さくら?」
驚きに声が漏れる。目の前には、確かにさくらが立っていた。血の一滴もついていない、戦う前のような穏やかな顔。淡く透ける光に包まれ、現実感のない姿だった。
「今ここで逃げてどうするの。せっかくここまで来たんだよ!」
その幻のさくらが、力強く言葉を投げる。
「辛くても悲しくても、私はそばにいるから。絶対に……だから、諦めないで──!」
声が胸に突き刺さる。五分の頬を涙が伝い落ち、床に吸い込まれていく。
でも、胸の奥で、何か小さな火が点いた。まだ消えない、微かな光。
──そうだ、ここで諦めたら、全部が終わる。
──何を泣いているんだ、僕は。
──立て、立って、あいつをぶっ飛ばせ。
両手が震えながらも、五分は拳を握りしめた。
「……ありがとう……!」
呟いたその瞬間、目の前の光はふっと消え、代わりにクリチーの姿が現れた。
けれど耳の奥には、確かに“さくら”の声が残っている。
あれはクリチーの叫びが重なって見えたのか、それとも自分の心が生んだ幻なのか──わからない。
ただひとつ、確かなものがあった。胸の奥に灯った、暖かくて強いもの。
「──仲間との絆」
さくらの元を離れる。
デグが漆黒の闘気を纏い、黒炎を巻き上げながら立ち尽くす。目の奥に微かな驚きが滲む。
「終わりましたか……?」
その問いに、五分はゆっくりと首を横に振り、淡い笑みを浮かべた。
「うん」
その笑みは、安堵でも、喜びでもない。
──決意と、確信に満ちたものだった。
「あら?」デグが眉をひそめる。
「いや、ごめん」
五分の声は静かで、低く、そして鋭い。
足取りを一歩、また一歩と進めるたび、拳から黄金色の光がほとばしり始めた。
光は五分の髪一本一本を照らし、瞳の奥で炎のように瞬く。
その姿はまるで──太陽が人の形を取り、降臨したかのようだった。
「ま、まさか……ッッ!!」
デグの瞳が一瞬で見開かれる。
五分の闘気は、かつてないほど強く、圧倒的で。
「痛みも、恐怖も……一人じゃ抱えきれなかった。でも、隣にいてくれる仲間がいるから……今、あなたを叩き潰すッ!!」
五分は怒りと悲しみを混ぜた瞳で、空間を切り裂く勢いで飛躍した。
拳を握る手の奥に、仲間との思い出や絆が、熱い光として凝縮されている。
「まさか……暗黒に対比する絆による黄金の闘気……!!な、なぜだ、闘気は一つまでのはず……なぜ複数所持しているッッ!!」
「絆の数に制限なんてねぇよッッ!!!!」
五分の声が響き渡り、黄金のオーラが炸裂する。拳が振り下ろされるたび、地面が振動し、周囲の空気が揺れる。黒炎の大火球も、その勢いを止められない。
──黄金の拳が突き進む。
「ぶっ倒れろ──ッッ!!」
重厚な拳が連続でデグに打ち込まれる。
拳の一撃一撃に、仲間との笑顔や声が宿っているようで、まるで光の刃が闇を引き裂くかのようだ。
ズドドドドドドドドドドッ!!!
黒炎が裂け、邪炎が砕ける。
デグの叫びは、闇に飲み込まれる前に、力の余韻だけを残す。
「──うっ、ウッッアァァァァーッッ!!」
「オラァーーーーッッ!!」
黄金の拳が最後の一撃を打ち込み、爆炎とともにデグの黒炎は夜空に散った。
空気は焼け焦げた匂いに包まれ、戦場にはしばし静寂が訪れる。
「や、やっと……勝った……終わったんだ……!!」
五分は膝をつき、肩を震わせながら深く息をつく。
顔に残る涙は、怒りや悲しみの色だけでなく、少しの安堵と光も帯びていた。
拳を握った手はまだ熱を帯び、身体全体に鳥肌が立っていた。
──勝利の余韻と、仲間の力が心に染み渡る。
僕は、もう一人じゃない──。
闇は消え去り、静かに戦場に朝日が差し込むような温もりが、五分の心を包み込んだ。
絶望の淵から這い上がった先にある、この小さな光が、彼の次の戦いへの力となる──。
その瞬間、黒炎が体を覆い、暗黒の闘気が爆発的に湧き上がる。
「……う、うそ……こんなのおかしいよ……」
五分は思わず腰を抜かし、石床に崩れ落ちた。
周囲の空気は焼け、天井は粉々に砕け散り、世界は地獄の如く変貌を遂げた。
「ふふふ、五分さん。もし服従するなら、命は許してあげましょうか?」
余裕の笑みを浮かべるデグ。
黒炎のオーラは、ただ立っているだけで存在を圧倒する。
「そんな挑発に…………!!」
──と言ったものの、正直、服従してでも命を守りたい気持ちが胸を締めつけた。
だが、戦うしかない。ここで逃げれば、全てが終わる──この島も、未来も、仲間も。
「せめて、二人だけでも……助けたい」
その決意が胸を焦がした瞬間、背後から温かい手が肩を叩く。
「あんただけ戦おうと思わないでよ」
振り返ると、さくらが静かに、しかし力強く微笑む。
「え、口に出してた?」
「五分の考えてることくらい、なんとなく分かるよ。だって……“仲間”だもん」
その言葉が胸に深く染み渡る。
恐怖で震える心に、共に立つ仲間の存在がわずかながら光を灯す。
「……よし、ラスボス戦、勝とう!!」
ドン、と拳を打ち合わせ、三人の戦意が燃え上がった。
「感情に縋るしかない哀れな人間ですね」
デグが嘲笑う。
しかし五分は一言で切り返す。
「感情の無い厨二病には、なりたくないからね」
黒炎が渦巻くデグに向かい、五分は拳を握る。
「くっ……! お終いにしましょうかッッ!!」
デグの拳から邪炎の火球が放たれる。
「───『邪炎黒弾ッ』!!」
ドゴォォォォン!!
爆炎が轟き、王座の間を焦がす。
しかし──
「やあああッ!!」
さくらが木刀を握り、火球を打ち返す。
バシュンッ!!
火球はデグに直撃し、跳ね返った衝撃で周囲の石柱を震わせる。
「もう少しまともに避けたら? “いつも”みたいに」
「グッ……!」
焦りを見せるデグ。
さらに拳から邪炎の火球を連続で放つ。
クリチーは逃げるように距離を取り、叫び声を上げながら廊下を駆け抜ける。
「わーっ〜!!」
だが、岩に身を隠すと火球が直撃し、跳ね返った一撃がデグに炸裂する。
「……ラッキー♪」
五分たちの猛攻に、デグの表情にわずかな苛立ちが走る。
「ぐっぬぬ……な、なんだ!」
追い詰められたデグに向かい、五分は跳ぶ。
「デグ、終わりだーッ!! オラァッ!」
闘気を込めた拳が渾身の勢いで振り下ろされる───
しかし──
ドシュッ!!
目の前に血が舞った。
デグの手元には血まみれの刃。
「……え?」
そこに立っていたのは──さくらだった。
「……さ……くら?」
身代わりとなった腹部に、デグの隠し持つ刃が突き刺さっていた。
「さくら……!!」
地面に倒れるさくら。血が床を赤く染める。
「ふーむ、身代わりに……そうですか……」
デグは静かに、砕けた王座に腰掛けたまま、冷たい黒炎を纏った姿で微笑む。
黒く妖しく輝く瞳──それは、まさに絶望そのもだった。
五分は、まだ温もりを残すさくらを抱きかかえ、壁の陰に体を寄せた。
床には赤く濡れた染みが広がり、五分の服にも血が染み込む。
「さくら……ごめん……僕が……僕がもっと……守れていれば……」
声が震え、言葉にならない嗚咽が胸を揺らす。涙が頬を伝い、視界を滲ませる。
怒りと悲しみが入り混じり、胸の奥で渦巻く。
「なんで……なんでこんなことに……なんで手を伸ばしても……届かないんだ……」
さくらは弱々しく笑い、かすかに五分の頬に触れた。
「ふっ……悲しまないで……五分……ごめんね……」
その瞳がゆっくり閉じられる。温もりが、光が、音が──すべて遠ざかるようだった。
時間はまるで凍りついたかのように、重く、遅く、空気は鉛のように身体にまとわりつく。
五分の意識は、自分の痛みを、世界の痛みを、すべて押し込めようとする。しかし痛みは逃げず、全身を刺すように広がる。耳鳴りが響き、頭の中でさくらの声と自分の声が混ざる。
「あぁ……痛い……やだ……辛い……逃げたい……夢ならいいのに……」
怒りと悲しみがぶつかり合い、五分の心は引き裂かれる。
拳をぎゅっと握りしめても、指先には震えが残る。胸の奥が焼けるように痛む。
「どうして……どうしてこんな思いをしなきゃいけないんだ……!」
涙が止まらず、次第に嗚咽が叫びに変わる。
「うわあああああああッッ!!!!!」
悲しみと怒りが、絶望と化して渦巻く。
世界が灰色に沈み、心が砂のように崩れていく。
五分は自分を責めた。
守れなかった自分、間に合わなかった自分、そして失ったすべてに。
「もう……もう絶対に無理だ……」
声は震え、膝をつき、体ごと床に崩れ落ちる。
全てを諦めた瞬間、心の奥底に冷たい闇が広がる。
空っぽの瞳に映るのは、ただ血に染まる床と、もう戻らぬ温もりだけだった。
絶望が、全てを覆い尽くす───。
五分は、血の匂いのする石床に膝をついたまま、動けなかった。腕の中の温もりは、もう消えかけている。指先から彼女の命が砂のように零れていく感覚が、五分の胸を締めつけた。
「さくら……ごめん……僕がもっと強ければ……」
声はかすれ、涙は止まらない。頭の奥で「逃げたい」「終わりたい」という言葉が何度もこだまする。視界は滲み、世界は灰色に見えた。
──そのときだった。
ギュッ、と肩に確かな圧力がかかる。温かい手のひらの感触が、暗闇の底にいた五分の身体を一瞬だけ現実に引き戻す。
「……五分、諦めないで」
耳元に響いた声に、五分ははっと顔を上げた。
そこに立っていたのは──
「……さくら?」
驚きに声が漏れる。目の前には、確かにさくらが立っていた。血の一滴もついていない、戦う前のような穏やかな顔。淡く透ける光に包まれ、現実感のない姿だった。
「今ここで逃げてどうするの。せっかくここまで来たんだよ!」
その幻のさくらが、力強く言葉を投げる。
「辛くても悲しくても、私はそばにいるから。絶対に……だから、諦めないで──!」
声が胸に突き刺さる。五分の頬を涙が伝い落ち、床に吸い込まれていく。
でも、胸の奥で、何か小さな火が点いた。まだ消えない、微かな光。
──そうだ、ここで諦めたら、全部が終わる。
──何を泣いているんだ、僕は。
──立て、立って、あいつをぶっ飛ばせ。
両手が震えながらも、五分は拳を握りしめた。
「……ありがとう……!」
呟いたその瞬間、目の前の光はふっと消え、代わりにクリチーの姿が現れた。
けれど耳の奥には、確かに“さくら”の声が残っている。
あれはクリチーの叫びが重なって見えたのか、それとも自分の心が生んだ幻なのか──わからない。
ただひとつ、確かなものがあった。胸の奥に灯った、暖かくて強いもの。
「──仲間との絆」
さくらの元を離れる。
デグが漆黒の闘気を纏い、黒炎を巻き上げながら立ち尽くす。目の奥に微かな驚きが滲む。
「終わりましたか……?」
その問いに、五分はゆっくりと首を横に振り、淡い笑みを浮かべた。
「うん」
その笑みは、安堵でも、喜びでもない。
──決意と、確信に満ちたものだった。
「あら?」デグが眉をひそめる。
「いや、ごめん」
五分の声は静かで、低く、そして鋭い。
足取りを一歩、また一歩と進めるたび、拳から黄金色の光がほとばしり始めた。
光は五分の髪一本一本を照らし、瞳の奥で炎のように瞬く。
その姿はまるで──太陽が人の形を取り、降臨したかのようだった。
「ま、まさか……ッッ!!」
デグの瞳が一瞬で見開かれる。
五分の闘気は、かつてないほど強く、圧倒的で。
「痛みも、恐怖も……一人じゃ抱えきれなかった。でも、隣にいてくれる仲間がいるから……今、あなたを叩き潰すッ!!」
五分は怒りと悲しみを混ぜた瞳で、空間を切り裂く勢いで飛躍した。
拳を握る手の奥に、仲間との思い出や絆が、熱い光として凝縮されている。
「まさか……暗黒に対比する絆による黄金の闘気……!!な、なぜだ、闘気は一つまでのはず……なぜ複数所持しているッッ!!」
「絆の数に制限なんてねぇよッッ!!!!」
五分の声が響き渡り、黄金のオーラが炸裂する。拳が振り下ろされるたび、地面が振動し、周囲の空気が揺れる。黒炎の大火球も、その勢いを止められない。
──黄金の拳が突き進む。
「ぶっ倒れろ──ッッ!!」
重厚な拳が連続でデグに打ち込まれる。
拳の一撃一撃に、仲間との笑顔や声が宿っているようで、まるで光の刃が闇を引き裂くかのようだ。
ズドドドドドドドドドドッ!!!
黒炎が裂け、邪炎が砕ける。
デグの叫びは、闇に飲み込まれる前に、力の余韻だけを残す。
「──うっ、ウッッアァァァァーッッ!!」
「オラァーーーーッッ!!」
黄金の拳が最後の一撃を打ち込み、爆炎とともにデグの黒炎は夜空に散った。
空気は焼け焦げた匂いに包まれ、戦場にはしばし静寂が訪れる。
「や、やっと……勝った……終わったんだ……!!」
五分は膝をつき、肩を震わせながら深く息をつく。
顔に残る涙は、怒りや悲しみの色だけでなく、少しの安堵と光も帯びていた。
拳を握った手はまだ熱を帯び、身体全体に鳥肌が立っていた。
──勝利の余韻と、仲間の力が心に染み渡る。
僕は、もう一人じゃない──。
闇は消え去り、静かに戦場に朝日が差し込むような温もりが、五分の心を包み込んだ。
絶望の淵から這い上がった先にある、この小さな光が、彼の次の戦いへの力となる──。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
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- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
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- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
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- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」