閲覧前に必ずご確認ください

誤った・不適切な表現等がございます、世界観としてお楽しみください。

文字サイズ変更

僕のふざけた思い出

#13

第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」

朝日が街を照らしていた。
ホテルを飛び出し、ただひたすら走る五分の背を、さくらが追いかける。

「五分っ、どこへ向かってるの!」

前夜。
気絶していた彼女を拾い、ホテルまで運んだのはさくらだった。
だが、目を覚ました五分は説明もなく外へ走り出していた。

「急がなきゃ……急がなきゃ!」

五分は荒く息を吐きながら走る。
──デグが口にした「浪々広場」。
その言葉だけを頼りに、足が止まらなかった。

だが背後から飛んできた叫びが、五分を立ち止まらせる。

「五分、あんたいい加減にしてっ!」

振り向いた先。
さくらの表情は怒りにも、悲しみにも似ていた。

「ご、ごめん。一旦落ち着くね……ふぅ、説明する。クリチーが攫われた……デグとかいう幹部に」

言葉にした瞬間、さくらは口を押さえ──だが次の瞬間、プハハッと笑い出した。

「……え?さくら?」

異様な光景に五分は眉をひそめる。
その肩にポン、と手が置かれた。

「大丈夫だよ。あの子は頑丈だし、そう簡単にやられないよ」

「なにを言って──!」

胸の奥がざわつく。
目の前で笑い飛ばす彼女の態度が、どうしても許せなかった。

(あぁ……コイツが攫われれば──)

ペチンッ!

頬に痛みが走る。
さくらのビンタだった。

「五分、いい加減にして」

その声は真剣で、目尻には涙が浮かんでいた。

「悲しいのは、あなただけじゃない……!」

震える声。
それでも、その瞳は真っ直ぐだった。

「昨日、全部見てた。あなたが必死に戦ってたのも、クリチーが連れていかれるのも。……そして、何もできずに震えてた自分も」

拳を握り、涙をこらえて言葉を続ける。

「私だって悔しかった。怖かった。情けなくて仕方なかった……。でも、だからこそ今度は一緒に戦いたいの」

一呼吸置いて、彼女は言い切った。

「一人で背負わせたりしない。あなただけに苦しい思いはさせないから!」

その言葉が、五分の胸に刺さった。
胸の奥に開いていた風穴が、じんわりと塞がっていくように。

(……そうか。僕は一人じゃない)

二人は浪々広場を目指し、再び走り出した。

───────────────────────────────────

一時間後──。
ついに辿り着いた広場に、あの姿があった。

「……デグ!」

シルクハットを被った女が振り返る。
その笑みは冷酷で、不気味だった。

「生きていましたか。少し甘く見すぎましたね」

「クリチーはどこだ!」

「……あぁ、あの子なら見たでしょう。あの真っ赤な壁を」

「──ッ!!」

五分の身体に赤い闘気が迸る。
拳を握りしめ、一気にデグへ飛びかかった。

だが、デグは華麗に身を翻し、攻撃は届かない。

「ふっ。当たらなければ意味がありません」

「違うよ。当たらないんじゃない──“当てさせる”んだ!」

五分が横にずれると、そこにはさくらの姿。
彼女が木刀を振り抜く。

──ドズンッ!!

空気を切り裂いた斬撃がデグを捉えた。

「ぐはっ……!!」

デグは苦しみながら挑発する。

「……グッフ、なるほど、素晴らしい連携ですね……しかしその理屈……ちょっと論理が甘いですよ、当たっただけで勝った気になってるのでしょうか?」

「大丈夫。言葉はいらない。拳でわからせるから」

次の瞬間、拳が鳩尾に突き刺さった。

「ぐぉッ……!」

続けざまのラッシュ。
拳が雨のように降り注ぎ、デグの身体を押し潰す。

「オラオラオラァァァァ!!」

その拳はただの暴力ではない。
情けない自分を貫くための拳
すべては、この一瞬のため。

「オラァァァァッ!!!」

最後の一撃が炸裂し、デグの身体が店の壁を突き破り吹き飛ぶ。

完全に沈黙した彼女を見下ろし、五分は一言。

「受け止めて……これが、今の僕だ」

───────────────────────────────────

──浪々広場は、スナックの店ごと崩壊した。

結果。多額の罰金を請求されることになった。悲しい。

ポテトサラダを突きながら落ち込む五分の前に、階段からのんきな声が降ってくる。

「やっほー。いい感じに終わったっぽいねー!」

……クリチーだった。

「……あ、やっほー」

さくらは何事もなかったかのように挨拶。

「いやいやいや!? なんで生きてんのーーッ!?」

「「?」」

二人はきょとん。

「いやさくら! 見てたでしょ!? あの出血量! 頭からドバドバだったじゃん!」

ピンポーン。

さくらがポンと手を打つ。

「あー、五分が気絶した後ね。攫われながら普通に歩いてたよ。『やだー!離せー!』って」

「……え?」

クリチーがカラオケのマイク片手に言う。

「あれ常備してる“my ケチャップ”だから」

「…………MY By tomato」

五分はその場で崩れ落ちた。
ページ選択

作者メッセージ

《クリチーちゃんの日常紹介》
どうしよ〜!!
五分が倒れちゃった!
そうそう、私ね、実は誘拐されちゃったんだ〜
あ、でもカラオケ連れてってもらったし、お菓子もお茶も出たよ!
旅の休憩みたいで意外と一段落できたかな……
まぁ、狙いは聞けなかったっぽいけどね♪
まったねー!

2025/11/28 15:50

めっちゃええ感じ
ID:≫ 03IQsmMFoDW.o
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はめっちゃええ感じさんに帰属します

TOP