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夕暮れが、草原を朱に染めていた。
陽は傾き、影は長く伸びていく。風は少しずつ冷たさを増し、夜の訪れを告げていた。
「……そろそろ寝る場所、探さなきゃだね」
さくらが欠伸をかみ殺しながらつぶやく。
「私は草のベッドでも全然いけるよ? ほら、枕用の石も見つけたし」
クリチーは石を掲げてドヤ顔。
「野生動物かよ」
そんなやりとりの最中、クリチーがふと指をさした。
「ねぇ、あれ見て! ……煙。しかも真っすぐ上がってる!」
「ほんとだ……煙突だ。ってことは村があるのかも!」
数分後、丘を越えた先に現れたのは──夜に光り輝く街。
「……おい、草原の雰囲気どこ行ったの!?」
さくらが思わず叫ぶ。
「怪しい街じゃなきゃいいけどね……ほら、人間食べる街とか」
「どんな偏見だよ!? 人間食べる街ってどこ情報!?」
「昔の絵本でよくあったじゃん。“旅人がたどり着いた村は全員オニでしたみたいな」
「村じゃないし!? てかもっと優しい本読んで育って?!」
冗談を飛ばしつつ街に入ると、そこは予想外に──いや、ある意味予想通りの光景だった。
ディスコでは人々が踊り狂い、子どもたち(不良)がカツアゲしている。パリピ臭全開、治安は最悪。
「よかった、普通の街だね!」
「どこがだよ!?」
宿を探し、ヤドカリのように歩き回る三人。
しかし── 一時間後。
結局、目の前に残ったのは一軒のピンクホテルだけだった。
「……別部屋だからね?」
さくらが釘を刺す。
「気にしてるの?」
「してるわ!!」
新人スタッフが「3Pお断りです!」と暴走し、さくらが頭を抱える一幕も。
五分とクリチーは顔を見合わせて、こっそり買い出しに向かうことにした。
───────────────────────────────────
夜の街。
ネオンの光を受けながら、五分は何気なく問いかけた。
「ねぇクリチー。どうして冒険に出ようって決めたの?」
「そりゃあ……炎王を倒してハッピーエンド、かな」
…………。
「──それ、嘘だよね」
ピタリと、クリチーの足が止まった。
「……え?」
「さすがに、それだけの理由じゃないと思うんだ。本当の理由……教えてくれる?」
一瞬の沈黙。
やがてクリチーは小さく息を吐き、口を開いた。
「炎王を─────」
その瞬間。
─ドスンッッ……!!
視界が揺れ、クリチーの身体が吹き飛んだ。
「クリチー!?!」
壁に叩きつけられ、頭から血を流し、辺りを真っ赤に染めていた。
空気が一変した。重く、冷たく。
五分の前に現れたのは、一人の女。
シルクハットに長い髪、黒服を纏い、長い杖を携えた背の高い女性。
「そうですか……あなたが」
ぞくり、と背筋が凍る。
ただ立っているだけなのに、圧倒的な威圧感。
「ふむ……思っていたより“悲しい”ですね」
五分の心に、怒りが芽生える。
自分を責める情けなさ。仲間を傷つけた女への憎悪。
「……名前は?」
「これは失礼。私の名はデグ。炎王直属の“幹部”でございます」
にやりと笑うデグに、五分は言葉を吐き捨てた。
「……そう、わかったッッ!!」
赤い闘気が爆ぜた瞬間、五分は拳を振り抜いた。
だが──
シュッ!
「──えっ!?」
ドズンッッ!!
視界が揺れた。背後を取られ、急所を撃ち抜かれる。
身体が崩れ落ち、意識が暗転していく。
霞む視界の中、クリチーがデグに抱えられて連れ去られるのが見えた。
「……クリ……チー……」
声にならない声を吐きながら、闇へと落ちていく。
最後に聞こえたのは、デグの低い声。
電話越しに交わされる、冷酷な言葉だった。
「……浪々広バ……待チ合わ……マス……」
──そして、五分の世界は完全に閉ざされた。
陽は傾き、影は長く伸びていく。風は少しずつ冷たさを増し、夜の訪れを告げていた。
「……そろそろ寝る場所、探さなきゃだね」
さくらが欠伸をかみ殺しながらつぶやく。
「私は草のベッドでも全然いけるよ? ほら、枕用の石も見つけたし」
クリチーは石を掲げてドヤ顔。
「野生動物かよ」
そんなやりとりの最中、クリチーがふと指をさした。
「ねぇ、あれ見て! ……煙。しかも真っすぐ上がってる!」
「ほんとだ……煙突だ。ってことは村があるのかも!」
数分後、丘を越えた先に現れたのは──夜に光り輝く街。
「……おい、草原の雰囲気どこ行ったの!?」
さくらが思わず叫ぶ。
「怪しい街じゃなきゃいいけどね……ほら、人間食べる街とか」
「どんな偏見だよ!? 人間食べる街ってどこ情報!?」
「昔の絵本でよくあったじゃん。“旅人がたどり着いた村は全員オニでしたみたいな」
「村じゃないし!? てかもっと優しい本読んで育って?!」
冗談を飛ばしつつ街に入ると、そこは予想外に──いや、ある意味予想通りの光景だった。
ディスコでは人々が踊り狂い、子どもたち(不良)がカツアゲしている。パリピ臭全開、治安は最悪。
「よかった、普通の街だね!」
「どこがだよ!?」
宿を探し、ヤドカリのように歩き回る三人。
しかし── 一時間後。
結局、目の前に残ったのは一軒のピンクホテルだけだった。
「……別部屋だからね?」
さくらが釘を刺す。
「気にしてるの?」
「してるわ!!」
新人スタッフが「3Pお断りです!」と暴走し、さくらが頭を抱える一幕も。
五分とクリチーは顔を見合わせて、こっそり買い出しに向かうことにした。
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夜の街。
ネオンの光を受けながら、五分は何気なく問いかけた。
「ねぇクリチー。どうして冒険に出ようって決めたの?」
「そりゃあ……炎王を倒してハッピーエンド、かな」
…………。
「──それ、嘘だよね」
ピタリと、クリチーの足が止まった。
「……え?」
「さすがに、それだけの理由じゃないと思うんだ。本当の理由……教えてくれる?」
一瞬の沈黙。
やがてクリチーは小さく息を吐き、口を開いた。
「炎王を─────」
その瞬間。
─ドスンッッ……!!
視界が揺れ、クリチーの身体が吹き飛んだ。
「クリチー!?!」
壁に叩きつけられ、頭から血を流し、辺りを真っ赤に染めていた。
空気が一変した。重く、冷たく。
五分の前に現れたのは、一人の女。
シルクハットに長い髪、黒服を纏い、長い杖を携えた背の高い女性。
「そうですか……あなたが」
ぞくり、と背筋が凍る。
ただ立っているだけなのに、圧倒的な威圧感。
「ふむ……思っていたより“悲しい”ですね」
五分の心に、怒りが芽生える。
自分を責める情けなさ。仲間を傷つけた女への憎悪。
「……名前は?」
「これは失礼。私の名はデグ。炎王直属の“幹部”でございます」
にやりと笑うデグに、五分は言葉を吐き捨てた。
「……そう、わかったッッ!!」
赤い闘気が爆ぜた瞬間、五分は拳を振り抜いた。
だが──
シュッ!
「──えっ!?」
ドズンッッ!!
視界が揺れた。背後を取られ、急所を撃ち抜かれる。
身体が崩れ落ち、意識が暗転していく。
霞む視界の中、クリチーがデグに抱えられて連れ去られるのが見えた。
「……クリ……チー……」
声にならない声を吐きながら、闇へと落ちていく。
最後に聞こえたのは、デグの低い声。
電話越しに交わされる、冷酷な言葉だった。
「……浪々広バ……待チ合わ……マス……」
──そして、五分の世界は完全に閉ざされた。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」