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僕のふざけた思い出

#10

第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」

蜘蛛の巣に覆われた洞窟の出口。
その先からは、わずかに陽の光が差し込み、外の世界を知らせていた。

「……バ、バレたかな……」

息を潜める五分の視線の先、巨大な蜘蛛はまだ眠りについていた。
その不気味な呼吸音と、上下に揺れる毛むくじゃらの腹だけが、洞窟の静けさを支配している。

「……助かった……」

さくらとクリチーも小さく安堵の吐息をもらす。
三人は互いに目を合わせ、音を立てぬよう慎重に歩き出した。

──しかし。

「……へ、へっ……へっくしょんッ!!」

洞窟に響き渡る破裂音。
一瞬で緊張が切り裂かれ、二人の顔から血の気が引いた。

「「五分ッッ!!!」」

「ご、ごめん……ほこりっぽくて……!」

「命かかってる時にアレルギー反応するな!!」

謝罪は虚しく、蜘蛛の目がバチリと開く。
真紅に輝く複眼が三人を捉えた瞬間、地響きと共に巣全体が振動した。

「うわっ……起きた! 逃げろッ!!」

轟音と共に巨大な脚が大地を踏み砕く。
天井から砂が落ち、洞窟が崩壊するかのように揺れる。
蜘蛛の眼差しは獲物を見つけた捕食者そのもので、その先にいるのは五分。

「ちょ、や、やば――」

叫びながら走る五分──しかし焦りで足をもつれさせ、無様に地面へ倒れ込む。
血が引いていく音が、耳鳴りのように響いた。

「五分ッ!」

さくらは咄嗟に木刀を構え、蜘蛛の進路に立ちはだかった。
力の限り振り抜いた一撃が硬質な音を立て、甲殻に弾かれる。

「なっ……!? 効かない……!」

蜘蛛は彼女を無視し、倒れたままの五分へ迫る。

「……うっうっあぁーぁあた、たしゅけ…」

五分は震える身体を震わせ、固まったかのように動けずにいた。

「五分……いま助ける――!!」

さくらは木刀を叩き込む。
だが分厚い甲殻は傷一つ見せず、巨体は再び襲いかかる。

次の瞬間、蜘蛛の糸が唸りを上げて飛び、さくらの身体を絡め取った。
粘着の鎖が彼女の腕を拘束し、動きを封じる。
糸はきつく縛られ、体がグキグキを悲鳴を鳴らしていた。

「うっ……! あぁああっつ!」

蜘蛛の顎がカチリと鳴る。
捕食の予告のようなその音に、五分の全身が凍りついた。

(助けなきゃ……! でも……足が……動かない……!)

彼の膝は震え、地面に釘付けにされたように動けなかった。
頭の中で「逃げろ」と「助けろ」が何度も衝突し、心臓の鼓動は爆音のように荒れ狂う。

──そして。

「がぁっ…逃げなさい! あ、あんただけでもっぁ……!」

さくらの叫びが、五分の胸を刺した。

視界が揺れた。
脳裏に浮かんだのは、ただ生き延びたいという卑小な本能。

気づけば五分の身体は反射的に後ろへ跳ね、蜘蛛から、そしてさくらから背を向けて走っていた。

「……っぁぁ」

さくらは凍りついたように目を見開く。
胸を裂くのは怒りではない。
裏切られた失望でもない。

──それは痛みと少しの希望と喜びだった。

(……逃げた……のね……)

五分が、彼女が、「仲間」と名乗る彼女が、
背中を向けて見捨てたのだ。

その現実がを受け止めるしかなかった。

蜘蛛の顎が彼女の眼前に迫る。
振り上げられた凶器を見据えながら、さくらは唇を噛みしめた。

(やっぱり……五分には……!!)

洞窟の奥で、足音だけが遠ざかっていく。

もし予断をするなら、普通、主人公というものは仲間を置いて逃げない。
誰もが抱く「物語の常識」──それが定着したイメージだろう。

だが、五分は違った。

彼女はただの人間。
特別な力もなければ、勇気に満ちているわけでもない。
命の危険を前に、背を向けてしまう程度には臆病な少女だった。

走り去る彼の背中を、さくらは目に焼き付けた。
胸の奥で、複雑な感情が入り乱れる。

(……五分……あんた、本当に……)

悔しさ。
失望。
そして、それでもどこかで信じたい希望。

(でも……それが五分の“選択”なんだろうね……)

ギラつく蜘蛛の顎が眼前に迫り、絶望が視界を覆った瞬間。

──バチンッ!

轟音と共に、紅蓮の閃光が蜘蛛の頭上から叩きつけられた。
衝撃で甲殻が軋み、巨体が一瞬のけぞる。

「……!?」

目を見開くさくらの前に、拳を構えた少女が立っていた。
全身に赤い光を揺らめかせ、震える膝を必死に支えながら。

「う、ううっ……!」

五分だった。
頬を濡らす涙を堪え、彼女は蜘蛛とさくらの間に立ちふさがる。

「……五分……」

かすれた声で名を呼ぶ彼女に、五分は必死に言葉を吐き出す。

「ごめん……! 一瞬、逃げようと思ったんだ……。
 でも……でもね、気づいたんだ。
 逃げて後悔と戦うくらいなら──今の自分と戦いたいってッ!」

その叫びは、臆病を押し殺すための宣言だった。

さくらは言葉を失い、そして思わず頬を叩いた。
鋭い音が洞窟に響く。

「“理由なんてどうでもいい!……助けてくれたことが、嬉しいのよ!”」

五分はその言葉に嗚咽を漏らし、涙の奥に小さな笑みを浮かべた。

──だが、蜘蛛は容赦なく再び襲いかかる。
巨体が地を揺らし、迫り来る影に殺意が宿る。

「来るよっ……!」

クリチーの声に、二人は同時に構えた。
もはや退路はない。

「どうにでもなれ……ッ!」

五分が咆哮し、地を蹴った。
赤い光が拳に収束し、衝撃波のように洞窟を震わせる。

「はあああああッ!!」

振り抜かれた拳が蜘蛛の顎を直撃。
轟音と共に甲殻がひび割れ、巨体が後方へ吹き飛ぶ。

「今だ──!」

さくらもまた木刀を振り抜き、脚を払う。
蜘蛛は体勢を崩し、悲鳴すら上げぬまま暗い崖下へと落ちていった。

……沈黙。

「……やった……?」

「うん……やった……」

二人は互いを見つめ、笑みを交わした。
手を合わせる音が乾いた洞窟に響き、張り詰めていた空気がふっと和らぐ。

五分の胸に宿った赤い光は、いつの間にか消えていた。
それでも彼女の中には確かに“何か”が残っていた。

──それは「逃げない」と決めた勇気。

彼女が初めて自分で掴み取った、主人公としての一歩だった。

洞窟を抜けた先には、限りなく広がる青空と大草原。
風が頬を優しく撫で、彼らを祝福するかのように吹き抜けていく。

「……すごい景色」

「新しい……旅の始まりだね、まぁ結果オーライ☆」

「「クリチーてめぇは今回、何もしてないだろ!」」

二人の叫び声が響く。


五分は拳を見つめながら、心に問いかけた。

(あの時、拳に宿った赤い光……あれは一体……?)

答えはまだわからない。
だが、草原の風は新たな物語の幕開けを告げていた。
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作者メッセージ

《クリチーちゃんの日常紹介》
「主人公」とは物語に置いて必要な概念であり定義……、
物語を描く者として、歩ま無くてはならない───

それを失う時こそ、終わりを意味し定義する。
彼女は進まなくてはならない、その運命に導かれたのなら───。

なんちゃって♪
ちょっとそれっぽく言ってみたんだ〜、
フッフッフかっこいいって言っていいんだよ〜♪

……え?黒歴史になるって?
うーん言われてみれば、、じゃ、じゃあ、やっぱりさっきの無かった事にして!!

2025/11/28 15:36

めっちゃええ感じ
ID:≫ 03IQsmMFoDW.o
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