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「……で、目的地はどこなの?」
さくらが地図を広げながら問うが、三人の中で誰も答えない。
「ちょっと、目的地決まってないのに冒険始めたの!? アンタら計画性無しのユーチューバーか!!」
「ご、ごめん……地図あったからテンションで動いちゃった……」
五分が申し訳なさそうに俯くと、クリチーが軽く肩をすくめた。
「出発=冒険のはじまりっていう脳内BGMに負けたね」
そんな雑談を交わしながら歩いていると、ふわりと花の香りが漂ってきた。
五分は鼻をひくひくさせながら、香りの方向に目を向ける。
すると前方から、いきなりポーズを決めた女が現れた。
「──おや……この美の波動……まるでダイヤの原石。そこのキミ、運命を感じないかい?」
「……え?」
五分は立ち止まり、固まる。その女は、全身キラキラのスーツに身を包んだナルシスト系美女(自称)だった。
「私は美の伝道師。キミのような美を放っておくなど、このレイ・バカーノが断じて許さんッ!」
一瞬、奇妙な静寂が三人を包む。
その間も、女はゆっくりと歩み寄る。
「──さくら、今日宿で泊まるんだっけ?」
「そうだね、確か予定ではアイスが無料だとか……」
三人は女を完全無視して会話を続けるが、レイ・バカーノはそんなことお構いなしに距離を詰める。
「無視するなーッ!! 私は君に会うために生まれてきたと言っても過言ではないのだぞ!」
彼の手は、まるで愛の炎(?)に燃えるように五分に向かって伸びる。
「このままキミを愛の牢獄に閉じ込めて、24時間365日見つめ続けよう……」
「……わお、でも365日なら“閏年”は見てくれないんだね。」
「五分、そこはツッコミをいれないお約束よ。」
再び奇妙な静寂が流れると、五分は頬を手で覆い、モジモジと身をすくめる。
その横でクリチーは、一人で盛り上がり気味に拳を握った。
まさに、三者三様の地獄絵図である。
「え、えーと私はあなたを一生愛そう!!」
五分が顔を真っ赤にし細く呟く。
「も、もし私がS〇が好きでもですか……?」
数秒の沈黙の後、レイ・バカーノは静かに笑った。
「……なるほど、だがそれもまた美。むしろ美しさにそんなものは関係ないのだよ……!!」
「てめーら開眼すんな! 余計ややこしい方向に目覚めるな!!」
さくらが叫びながら、木刀を振り下ろす。
「うっぶッ……!!」
レイはぐるりと回転しながら立ち上がる。
「ふふ、私の恋路を邪魔するか……仕方ない、これであなたを消させてもらうよ」
そう言うと、彼は奇妙な銃──いや、水鉄砲を取り出した。
モデルは多分マスケット銃だろう。
「これは『メスイプ・スリーピング・ウォーターガン』──当たった者は10秒だけ夢の世界へ旅立つ、麻酔水鉄砲だっ!」
シュッシュッシュッ――!
水弾が空中を飛び交い、さくらをかすめる。
「うぅ……」
「どうだ、この私の究極の技は! はっーはっはー!」
レイが決めポーズを取った瞬間、さくらは隙を見逃さなかった。
「えーい!」
木刀が一直線に伸び、ズドォォン!!
「う"ぉ"ぉぉおおおっぉ?!!!!」
汚い断末魔と共に、一撃がレイ・バカーノの顔面に炸裂した。
「ぐふっ……美が……崩れゆく……」
レイは最後に美しい声で倒れた(※本人談)。
「……なにが“愛の牢獄”だよ。こっちが“痛みの地獄”だよ」
さくらが上から睨みつけながら吐き捨てる。
レイはゆっくりと、しかしどこか誇らしげに呟いた。
「ふふ……我ら炎王軍は……貴様を……消せという命を受けたのだ……覚悟しておくがいい……」
その言葉を最後に、レイ・バカーノは美しく華麗に(気絶して)崩れ落ちた。
数秒の静寂。
「……なんだったんだ、アイツ」
「ほんとそれ、なんか歩く自撮り棒みたいな奴だったわね」
「てか、炎王の手下ってあんなのばっかなのかな」
「だったら勝てるかもしんないね」
さくらとクリチーは軽口を交わしながら、再び冒険の道を歩き出す。
この先、どんなバカと事件が待っているかも知らずに────。
さくらが地図を広げながら問うが、三人の中で誰も答えない。
「ちょっと、目的地決まってないのに冒険始めたの!? アンタら計画性無しのユーチューバーか!!」
「ご、ごめん……地図あったからテンションで動いちゃった……」
五分が申し訳なさそうに俯くと、クリチーが軽く肩をすくめた。
「出発=冒険のはじまりっていう脳内BGMに負けたね」
そんな雑談を交わしながら歩いていると、ふわりと花の香りが漂ってきた。
五分は鼻をひくひくさせながら、香りの方向に目を向ける。
すると前方から、いきなりポーズを決めた女が現れた。
「──おや……この美の波動……まるでダイヤの原石。そこのキミ、運命を感じないかい?」
「……え?」
五分は立ち止まり、固まる。その女は、全身キラキラのスーツに身を包んだナルシスト系美女(自称)だった。
「私は美の伝道師。キミのような美を放っておくなど、このレイ・バカーノが断じて許さんッ!」
一瞬、奇妙な静寂が三人を包む。
その間も、女はゆっくりと歩み寄る。
「──さくら、今日宿で泊まるんだっけ?」
「そうだね、確か予定ではアイスが無料だとか……」
三人は女を完全無視して会話を続けるが、レイ・バカーノはそんなことお構いなしに距離を詰める。
「無視するなーッ!! 私は君に会うために生まれてきたと言っても過言ではないのだぞ!」
彼の手は、まるで愛の炎(?)に燃えるように五分に向かって伸びる。
「このままキミを愛の牢獄に閉じ込めて、24時間365日見つめ続けよう……」
「……わお、でも365日なら“閏年”は見てくれないんだね。」
「五分、そこはツッコミをいれないお約束よ。」
再び奇妙な静寂が流れると、五分は頬を手で覆い、モジモジと身をすくめる。
その横でクリチーは、一人で盛り上がり気味に拳を握った。
まさに、三者三様の地獄絵図である。
「え、えーと私はあなたを一生愛そう!!」
五分が顔を真っ赤にし細く呟く。
「も、もし私がS〇が好きでもですか……?」
数秒の沈黙の後、レイ・バカーノは静かに笑った。
「……なるほど、だがそれもまた美。むしろ美しさにそんなものは関係ないのだよ……!!」
「てめーら開眼すんな! 余計ややこしい方向に目覚めるな!!」
さくらが叫びながら、木刀を振り下ろす。
「うっぶッ……!!」
レイはぐるりと回転しながら立ち上がる。
「ふふ、私の恋路を邪魔するか……仕方ない、これであなたを消させてもらうよ」
そう言うと、彼は奇妙な銃──いや、水鉄砲を取り出した。
モデルは多分マスケット銃だろう。
「これは『メスイプ・スリーピング・ウォーターガン』──当たった者は10秒だけ夢の世界へ旅立つ、麻酔水鉄砲だっ!」
シュッシュッシュッ――!
水弾が空中を飛び交い、さくらをかすめる。
「うぅ……」
「どうだ、この私の究極の技は! はっーはっはー!」
レイが決めポーズを取った瞬間、さくらは隙を見逃さなかった。
「えーい!」
木刀が一直線に伸び、ズドォォン!!
「う"ぉ"ぉぉおおおっぉ?!!!!」
汚い断末魔と共に、一撃がレイ・バカーノの顔面に炸裂した。
「ぐふっ……美が……崩れゆく……」
レイは最後に美しい声で倒れた(※本人談)。
「……なにが“愛の牢獄”だよ。こっちが“痛みの地獄”だよ」
さくらが上から睨みつけながら吐き捨てる。
レイはゆっくりと、しかしどこか誇らしげに呟いた。
「ふふ……我ら炎王軍は……貴様を……消せという命を受けたのだ……覚悟しておくがいい……」
その言葉を最後に、レイ・バカーノは美しく華麗に(気絶して)崩れ落ちた。
数秒の静寂。
「……なんだったんだ、アイツ」
「ほんとそれ、なんか歩く自撮り棒みたいな奴だったわね」
「てか、炎王の手下ってあんなのばっかなのかな」
「だったら勝てるかもしんないね」
さくらとクリチーは軽口を交わしながら、再び冒険の道を歩き出す。
この先、どんなバカと事件が待っているかも知らずに────。
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」