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桜の木の影が心地よく揺れる朝。さくらの家のリビングで、五分はブランケットにぐるぐる巻きになっていた。
全身ボロボロ、傷はなんとか手当てされたものの、心のダメージはまだ癒えていない。
「……無理。絶対無理! 炎王の本拠地に乗り込むなんて、人生で一番やっちゃいけないやつだよ」
包帯ぐるぐる巻きのまま、五分はソファに沈み込み、じたばたと手足を動かす。
隣でさくらとクリチーが、少し呆れた顔で見つめている。
「何言ってるの、五分も行くのよ」
「うんうん、ここで逃げたらヒーロー失格だよ?」
「いや、そもそも僕ヒーローじゃないし! “ちょっと可愛い女子高校生(自称)”だし!」
五分がジタバタすると、ブランケットが床にずるりと落ちた。
「ていうか本拠地の場所知らないでしょ? この作戦、最初から破綻してるんだって!! 勢いとノリで行く系主人公じゃないからね?」
「そういえば……確かに場所わかんないね……」
さくらが少し考え込み、ため息をつく。
「うーん、とりあえず外に出てみよう」
「そのノリで旅に出て世界救ったやつ、実在するの!?!」
───────────────────────────────────
──というわけで、なぜか三人は広場に集まっていた。
朝の光がまぶしく、通りには人影もまばらだ。
だが、広場の端、ベンチの前に立つ二人組を見て、五分の目が大きく見開かれる。
「あれ……?」
目をこすって二度見する。
そこにいたのは───りんちゃん、そして……
「犬……じゃない!? え、りんちゃんが連れてる、あれは……まさか……!」
一同は驚きの声を上げる。
「「「田中さん?!」」」
そう、りんちゃんは田中さんを“お散歩”中だったのだ。
「なにこの絵面!? 田中さん、通報される前にやめて!!」
「ふむ、確実にそういう“プレイ”ですな」
「誤解招くからやめて?!」
クリチーとさくらが慌てて言い合う中、りんちゃんはニコリと微笑み、胸ポケットから何かを取り出した。
「さっきね、これ落ちてたの。田中さんが、さくらさんたちに必要だって言ってたから渡そうと思って」
手渡されたのは、年代物のパンフレット風地図。
『★炎王の本拠地MAPへ行こう! 楽しいしおり 1975年12月21日★』
封筒に収められた本格的な作りに、三人は目を丸くする。
「いつの時代だよ!? てかセンス悪!!」
さくらのツッコミ魂が炸裂した。
「……こんな異物、どこで拾ったの?」
「ゴミ捨て場の近くで、ふわ~って飛んできたのを田中さんが拾ってくれたの」
「そんな重要アイテム、軽率で流れるなよ!!」
さくらが盛大にズッコケる。
「なんだよこれ、物語への乱入が雑すぎる…」
「まあまあ、結果オーライってやつだね」
田中さんは爽やかに笑い、りんちゃんとそのまま去っていった。
五分はぽつりと呟く。
「さくら、なんであの人いつもこうやって絶妙に関わってくんの?」
「うーん……ちょうどいい駒だったんじゃない?」
こうして、地図を手に入れた三人は、ついに決意を固める。
「じゃあ……行こうか。炎王の本拠地へ!」
「うん!」
「まって、まだ僕の心の準備が──」
「いっけー!」
「ひどい、置いてかれたぁぁぁ!」
──こうして、ゆかいな三人組は、炎王の本拠地への冒険へと歩みを進める。
「俺たちの冒険はここからだーッ!」
「もうそのネタええわ!!」
全身ボロボロ、傷はなんとか手当てされたものの、心のダメージはまだ癒えていない。
「……無理。絶対無理! 炎王の本拠地に乗り込むなんて、人生で一番やっちゃいけないやつだよ」
包帯ぐるぐる巻きのまま、五分はソファに沈み込み、じたばたと手足を動かす。
隣でさくらとクリチーが、少し呆れた顔で見つめている。
「何言ってるの、五分も行くのよ」
「うんうん、ここで逃げたらヒーロー失格だよ?」
「いや、そもそも僕ヒーローじゃないし! “ちょっと可愛い女子高校生(自称)”だし!」
五分がジタバタすると、ブランケットが床にずるりと落ちた。
「ていうか本拠地の場所知らないでしょ? この作戦、最初から破綻してるんだって!! 勢いとノリで行く系主人公じゃないからね?」
「そういえば……確かに場所わかんないね……」
さくらが少し考え込み、ため息をつく。
「うーん、とりあえず外に出てみよう」
「そのノリで旅に出て世界救ったやつ、実在するの!?!」
───────────────────────────────────
──というわけで、なぜか三人は広場に集まっていた。
朝の光がまぶしく、通りには人影もまばらだ。
だが、広場の端、ベンチの前に立つ二人組を見て、五分の目が大きく見開かれる。
「あれ……?」
目をこすって二度見する。
そこにいたのは───りんちゃん、そして……
「犬……じゃない!? え、りんちゃんが連れてる、あれは……まさか……!」
一同は驚きの声を上げる。
「「「田中さん?!」」」
そう、りんちゃんは田中さんを“お散歩”中だったのだ。
「なにこの絵面!? 田中さん、通報される前にやめて!!」
「ふむ、確実にそういう“プレイ”ですな」
「誤解招くからやめて?!」
クリチーとさくらが慌てて言い合う中、りんちゃんはニコリと微笑み、胸ポケットから何かを取り出した。
「さっきね、これ落ちてたの。田中さんが、さくらさんたちに必要だって言ってたから渡そうと思って」
手渡されたのは、年代物のパンフレット風地図。
『★炎王の本拠地MAPへ行こう! 楽しいしおり 1975年12月21日★』
封筒に収められた本格的な作りに、三人は目を丸くする。
「いつの時代だよ!? てかセンス悪!!」
さくらのツッコミ魂が炸裂した。
「……こんな異物、どこで拾ったの?」
「ゴミ捨て場の近くで、ふわ~って飛んできたのを田中さんが拾ってくれたの」
「そんな重要アイテム、軽率で流れるなよ!!」
さくらが盛大にズッコケる。
「なんだよこれ、物語への乱入が雑すぎる…」
「まあまあ、結果オーライってやつだね」
田中さんは爽やかに笑い、りんちゃんとそのまま去っていった。
五分はぽつりと呟く。
「さくら、なんであの人いつもこうやって絶妙に関わってくんの?」
「うーん……ちょうどいい駒だったんじゃない?」
こうして、地図を手に入れた三人は、ついに決意を固める。
「じゃあ……行こうか。炎王の本拠地へ!」
「うん!」
「まって、まだ僕の心の準備が──」
「いっけー!」
「ひどい、置いてかれたぁぁぁ!」
──こうして、ゆかいな三人組は、炎王の本拠地への冒険へと歩みを進める。
「俺たちの冒険はここからだーッ!」
「もうそのネタええわ!!」
- 1.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第一話「原点にして底辺」
- 2.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二話「ペットの田中さん」
- 3.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第三話「遂に始動!暑い原因はバナナかも?」
- 4.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第四話「干物とプリンと決意」
- 5.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第五話「果てしなき思い出はここから」
- 6.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第六話「ナルシストと自撮り棒は紙一重」
- 7.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第七話「誘惑のお姉さん」
- 8. 第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第八話「洞窟遭難 前編」
- 9.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第九話「洞窟遭難 後編」
- 10.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十話「主人公の定義」
- 11.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十一話「アニメみたいな設定?明かされた謎」
- 12.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十二話「ごめんねクリチー。 前編」
- 13.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十三話「ごめんねクリチー。 後編」
- 14.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十四話「再来!誘惑お姉さん!驚異的だからみんなで逃げたい」
- 15.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十五話「静かな夜の思い出」
- 16.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十六話「爆弾はロリロリのねのね、なのね!」
- 17.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十七話「“厄雷の翠”」
- 18.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十八話「タイトル回収♪」
- 19.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第十九話「黄金の絆」
- 20.第一章「火災保険は入っとけ!みんな大ピンチ!?編」 第二十話「暖かな時間」
- 21.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十一話「野菜畑の田中さん」
- 22.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十二話「あの恐ろしき角は冒険の予感?」
- 23.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十三話「実にくだらない」
- 24.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十四話「まな板と失われた尊厳」
- 25.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十五話「非情」
- 26.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十六話「パンツの替えが必要だ」
- 27.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十七話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 前編♡」
- 28.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十八話「龍華を賭けてババ抜き対決〜°・*:.。.☆ うふーん♡ 後編♡」
- 29.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第二十九話「龍による戦い」
- 30.第二章「伝説の龍は娘に怒ってます!編」 第三十話「Duo Nexus ―交差する絆―」
- 31.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十一話「ピンクの嵐は突然に」
- 32.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十二話「真美さんは喋りたい」
- 33.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十三話「ひまりさんと(仮)ヒロイン」
- 34.第三章「糸はマキマキ、永遠にマキ込むは真気 編」第三十四話「優しい会話」
- 35.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十五話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 前編」
- 36.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十六話「モブは引き立て役じゃないよ、モブは裏の勇士さ 後編」
- 37.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十七話「信じているよ、本当に」
- 38.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十八話「綺羅ちゃんとしてよろしくね」
- 39.第三章「糸はマキマキ、無限に絡むは真気 編」第三十九話「急なデートは今すぐにも」