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人間の姫君

#5

第五話 側女の目移り

「姉君はいいですね、もう懐妊なさって」

「卯ノ花も、きっともうすぐよ」

暖かい陽だまりの下で、姉妹は笑い合っていました。

結婚してしばらく、月夜の君は懐妊しました。

「できれば男の子がいいのだけど…」

月夜の君はお腹にそっと触れました。

「そうですね、後継ぎなら早い方が」

卯ノ花の君は月夜の君の肩に手を置きます。

でも卯ノ花の君の顔が不安げに歪んでいました。

「姉君、私、晴章様が側女を置かないか心配で…」

「そんなことないわよ。だって、あの晴章様だもの」

月夜の君が優しく微笑んだ時です。

「姫君方、それは甘くてよ?」

と声がしました。

見るとおあやが迫ってきます。

「卯ノ花様、ご安心なさっている場合ではありませんわ。貴族にとって最優先は後継ぎ。ましてやその他の息子や、姫君も必要になってきます故、そのような身の上では、側女が来ること間違いなし!」

「では…私はもうダメだわ!晴章様は側女を置いてしまう…そんなの嫌っ…!」

「そうかしら…?」

次に現れたのは古塚です。

古塚は孫の誕生を楽しみにしており、様子を見にきたところでした。

「私だって、あなたたち姫君しか産めませんでしたが、殿は側女を置くとも言ったことございませんわ」

「なっ…でも奥様…」

おあやが苦戦します。

あんなことまで言ったのに、古塚は女の子しか産んでません。

「だ、大体は側女を置くものでしてよ…奥様は例外なのです」

「あらそう?私の妹も側女がいないのよ?」

「ま、まあ」

月夜の君が止めると、二人は大人気ないと思ったのか笑ってしまいました。

すると、そこに当の晴章がやってきました。

「賑やかだな。何事だ」

晴章に訳を説明すると晴章は笑いを堪えきれませんでした。

「はっはっはっ、側女など迎えるものか。まだそちは若いだろう。思い悩まんでもいい」

卯ノ花の君はその言葉にホッとし、おあやを見ました。

「おあや、心配することはないようですね」

「そ、そのようですわね」

おあやは恥ずかしさのあまり、部屋を出て行きました。

作者メッセージ

自分で言うの何だけど、晴章いいやつ

2024/11/20 20:46

天璋院玉姫
ID:≫ 1sZZkN0SjAhEM
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