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人間の姫君

#2

第二話 古都麻呂

光風家は今日も美しい姉妹の笑い声に満ちていました。

「おあやったら、その話、本当なの?」

「ええ、確かにそうですわよ」

話題は女房のおあやによる、噂話でした。

「実は、大納言の父殿様は、天狗だとか」

「でも、どうしたら天狗になるの?」

卯ノ花の君は面白そうに笑います。

「実は私、実際に御拝見したところ、とても鼻が長くて、それはまるで天竺にいる天にも届くような鼻を持った、生き物のようでしたわ」

「天狗なんて、恐ろしいですわね」

月夜の君が顔を歪めます。

「でも月夜、天鈿女命の夫は猿田彦古神よ?」

急に古塚が話題に入ったその時です。

屋敷の戸が何度かなりました。

すると

「どうかこの屋敷に、泊めていただけませぬか」

と青年が傷だらけになってやってきました。

「まあ、おあや、この方の傷を手当てなさって」

「ですが奥方様…」

おあやはこの青年が屋敷に入るのを快く思いませんでした。

どう見ても、貧しい農民です。

「すみませんね。親が年貢を払えなくて、親は捕まってしまったのです。私は逃げて参りました」

「それは大変でしたね。」

「あなた名前は?」

月夜の君と卯ノ花の君はその青年に面白そうに話しかけます。

貴族の娘は家の中にずっといるので、外の世界を知りたかったのです。

「わ、私は古都麻呂と言います」

「古都麻呂はどこに住んでいるの?」

「私は農民の子です。住み場所もありません」

古都麻呂は珍しく目を伏せました。

「大丈夫ですよ!うちの父上が他の貴族らに、なんとか言ってやりますから!」

卯ノ花の君は鼻息をフンと拭き、古都麻呂に笑って見せました。

「そうですよ。きっと父上がなんとかしてくださいます」

月夜の君もそういうと、古都麻呂はなんだか嬉しくなりました。

(この姉妹は見た目だけでなく、心映えも美しい…)

古都麻呂は一夜で姉妹の真の美しさに気がついたのでした。



作者メッセージ

今回は古塚の親切、おあやの噂好きなどを書きました

2024/11/14 21:27

天璋院玉姫
ID:≫ 1sZZkN0SjAhEM
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