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星の狭間で

#2

高一郎

「光、また星を見ていたの?」

母の永(えい)は台所で朝ご飯の用意をしていた。

普通は下働きの者にやらせるのだが、料理は永の唯一の趣味だ。

「はい。でも…なんだか満足して見れませんでした…」

「まあ、どうして?」

光が歪んだ顔をするので、永は首を傾げる。

「それは…」

「おはようございます!母上、姉上!」

すると突然、光の弟・七郎が起きてきた。

「ごめんなさいね、光。また後で聞くわ。おはよう、七郎」

思えば光もなぜモヤモヤしているのか、わからなかった。

昼。

光は特にすることもないので、星の次に好きな市場に出かけていた。

「櫛もいいけど、衣もいいわね…でもやっぱり…」

光が売り物を楽しそうに眺めていると、いとこの高一郎がやってきた。

「光殿!いらしてたんですね」

「あっ、高一郎殿。お久しぶりですね」

「市場に来ていたんですか…どれかお気に召しましたか?」

「はい、気に入ったものはありますが…特にお金もないので、見るだけです」

光は言った後に、恥ずかしいと思ったのか、下を向いた。

高一郎はそんな光を見て、

「これ、全部ください」

と髪飾りや、反物など、店にあるもの全てを指差した。

「えっ…えっ?高一郎殿それはいくらなんでも…」

「そうですか?なら、他の店のも買いましょうか?」

高一郎が懐から金を出そうとすると、光は慌てて、

「い、いえ!結構ですよ。高一郎殿に悪いです」

とその手を抑えた。

「遠慮することはありません。光殿だって、欲しいものはあるでしょう?」

結局、店のもの全て、高一郎が買い占めた。

(もう!高一郎殿ってば!でも、こういうところが素敵なの…)

光はなんだか切なくなった。

光の中に、恋という感情が芽生えたのを、光は知っているのか、知らないのか…

2024/11/25 21:14

天璋院玉姫
ID:≫ 1sZZkN0SjAhEM
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