[太字]タッタッタ…[/太字]
「ん?」
嶐来の後ろにある棚と棚の間を、黒のローブを着た影が通り過ぎていった。
一瞬で分かりづらかったが、誰かが走っていったのは確かだ。
「何だ、アレ…?」
「なんか通ったね。お化けかもよ」
[大文字]「はぁあっ!?」[/大文字]
「アハハ、冗談」
「び、びっくりさせんなやッ……!」
[大文字][大文字]「とにかく、アレ追いかけてみようか」[/大文字][/大文字]
[水平線]
嶐来の提案で、走り過ぎていった謎の影を追いかけることになった。
2人は棚と棚の間を全力ダッシュ。
いつもとは違う、ディーラーの動きにくいスーツに少し苛立ちを感じながらも、
高い高い棚の間に目線を配る。
が、あの影どころかネズミ一匹見つけられない。
(クソ、どこにもいねぇじゃねーかよ……)
いつまで探しても前にも後ろにもその影はおらず、完全に見失ってしまったようだ。
目の前を走っていた嶐来がその足を止め、くるりと振り向く。
「うん……。なんか、見失ったみたーい」
全く感情のこもっていない声で、嶐来はそう言った。
すると、
[大文字][大文字][太字]「おーい!! そこのお前ら! どっちかでいいから、こっちの方を手伝ってくれー!!」[/太字][/大文字][/大文字]
別のディーラーから、そう叫ばれた。
何やらカジノの方の人手が足りないらしい。
「俺、あんましカジノとか分かんねぇから……。お前が、行けよ…!」
「………おけ。じゃ、行ってくるわー」
そう言って、[漢字]表[/漢字][ふりがな]カジノ[/ふりがな]へ行く嶐来の背中を見つめる。
嶐来がバックヤードから出る扉を開けたとき、屑人は少しため息を吐いた。
(なんか、スッキリしねぇ………。一体何なんだ…?)
屑人は正体のわからない、先ほどからのモヤモヤを抱えながら
再び棚と棚の間に目線を配り、あの影を探し始める。
[太字][大文字][太字]ガタッ[/太字][/大文字][/太字]
「!」
しばらく探していたであろうその時、バックヤードの奥から物音がした。
もしかしたら……と、屑人は真っ先に、物音がした方へ走る。
物音がしたその場所は、バックヤードの一番端で、
あの謎のダンボールが山のように積み上げられていた。
恐らく、人ひとりは隠れることができる…。
一つずつ、積み上げられたダンボールを下ろしていく。
そこに居たのは………。
[大文字][大文字][大文字][太字]「やめてくださいっ! もう、勘弁してくださいぃ……!!」[/太字][/大文字][/大文字][/大文字]
「はぁ……?」
黒いローブを着た、頭を抱えちょこんと座り、小刻みに震えている少女だった。
黄金の髪を二つに結んでおり、眼は透き通った青をしている。
黒いローブ……。屑人たちが追いかけた “影” は、この少女だったという訳だ。
少女は少し間を空けてから、勘づいたように叫んだ。
[大文字][大文字]「ハッ![/大文字] あなたも私を売る気なんでしょ!? そうなんでしょ!? [大文字]キャー!! 助けてくださいぃ!!!」[/大文字][/大文字]
カジノ中に響き渡るような大声で、少女は叫ぶ。
「いやいやいやいや!!! ちょっと待っt」
[大文字][大文字][漢字]「やめてください! 近づかないでっ!!!」[/漢字][ふりがな][/ふりがな][/大文字][/大文字]
「いや、違ッ」
[大文字][大文字]「誰かーっ! 助けてくださいー!! 変態に触られますぅう!!」[/大文字][/大文字]
[大文字][太字]「変態じゃねーよッ!!」[/太字][/大文字]
「ハァ…ハァ……! 何なんだお前!!」
「それはこっちのセリフですよ! 何なんですかあなたぁ!!」
お互いに睨み、指を差し合う。
[大文字][大文字][太字]「おい!! ここに居たぞ!!」[/太字][/大文字][/大文字]
突然、近くから男の大声が聞こえた。
まるで仲間がいるような…この少女を探していたような…。そんな口ぶりだ。
「っ! ヤバ…!」
少女の顔が真っ青になる。
「と、とにかく逃げなきゃ……!」
震える声でそう言って、少女は手をついて立ち上がった。
足も手も声も……とても震えている。
それによく見れば、足に怪我をしているではないか。
「あ、あなたも早く逃げた方がいいですよ…!」
少し足を引きずって、少女は歩き始めようとする。
近くで大勢の足音と、銃をセットする音が聞こえる。
「…私のことは………。大丈夫なので…っ」
[大文字][大文字][下線][斜体]「いやお前、大丈夫じゃねぇだろ」[/斜体][/下線][/大文字][/大文字]
[太字]ふわり…[/太字]
そう言って、屑人は少女を抱きかかえる。
「へっ? いやでも! 私のことは…!」
「うるせぇよ。足怪我してんだろ? んでお前、アイツらに追われてんだろ?」
「…は…い………」
[大文字]「追われてる理由は知らねぇが、[大文字][斜体]____困ってるお前を、知らねぇことにする訳にはいかなくてな」[/斜体][/大文字][/大文字]
「ん?」
嶐来の後ろにある棚と棚の間を、黒のローブを着た影が通り過ぎていった。
一瞬で分かりづらかったが、誰かが走っていったのは確かだ。
「何だ、アレ…?」
「なんか通ったね。お化けかもよ」
[大文字]「はぁあっ!?」[/大文字]
「アハハ、冗談」
「び、びっくりさせんなやッ……!」
[大文字][大文字]「とにかく、アレ追いかけてみようか」[/大文字][/大文字]
[水平線]
嶐来の提案で、走り過ぎていった謎の影を追いかけることになった。
2人は棚と棚の間を全力ダッシュ。
いつもとは違う、ディーラーの動きにくいスーツに少し苛立ちを感じながらも、
高い高い棚の間に目線を配る。
が、あの影どころかネズミ一匹見つけられない。
(クソ、どこにもいねぇじゃねーかよ……)
いつまで探しても前にも後ろにもその影はおらず、完全に見失ってしまったようだ。
目の前を走っていた嶐来がその足を止め、くるりと振り向く。
「うん……。なんか、見失ったみたーい」
全く感情のこもっていない声で、嶐来はそう言った。
すると、
[大文字][大文字][太字]「おーい!! そこのお前ら! どっちかでいいから、こっちの方を手伝ってくれー!!」[/太字][/大文字][/大文字]
別のディーラーから、そう叫ばれた。
何やらカジノの方の人手が足りないらしい。
「俺、あんましカジノとか分かんねぇから……。お前が、行けよ…!」
「………おけ。じゃ、行ってくるわー」
そう言って、[漢字]表[/漢字][ふりがな]カジノ[/ふりがな]へ行く嶐来の背中を見つめる。
嶐来がバックヤードから出る扉を開けたとき、屑人は少しため息を吐いた。
(なんか、スッキリしねぇ………。一体何なんだ…?)
屑人は正体のわからない、先ほどからのモヤモヤを抱えながら
再び棚と棚の間に目線を配り、あの影を探し始める。
[太字][大文字][太字]ガタッ[/太字][/大文字][/太字]
「!」
しばらく探していたであろうその時、バックヤードの奥から物音がした。
もしかしたら……と、屑人は真っ先に、物音がした方へ走る。
物音がしたその場所は、バックヤードの一番端で、
あの謎のダンボールが山のように積み上げられていた。
恐らく、人ひとりは隠れることができる…。
一つずつ、積み上げられたダンボールを下ろしていく。
そこに居たのは………。
[大文字][大文字][大文字][太字]「やめてくださいっ! もう、勘弁してくださいぃ……!!」[/太字][/大文字][/大文字][/大文字]
「はぁ……?」
黒いローブを着た、頭を抱えちょこんと座り、小刻みに震えている少女だった。
黄金の髪を二つに結んでおり、眼は透き通った青をしている。
黒いローブ……。屑人たちが追いかけた “影” は、この少女だったという訳だ。
少女は少し間を空けてから、勘づいたように叫んだ。
[大文字][大文字]「ハッ![/大文字] あなたも私を売る気なんでしょ!? そうなんでしょ!? [大文字]キャー!! 助けてくださいぃ!!!」[/大文字][/大文字]
カジノ中に響き渡るような大声で、少女は叫ぶ。
「いやいやいやいや!!! ちょっと待っt」
[大文字][大文字][漢字]「やめてください! 近づかないでっ!!!」[/漢字][ふりがな][/ふりがな][/大文字][/大文字]
「いや、違ッ」
[大文字][大文字]「誰かーっ! 助けてくださいー!! 変態に触られますぅう!!」[/大文字][/大文字]
[大文字][太字]「変態じゃねーよッ!!」[/太字][/大文字]
「ハァ…ハァ……! 何なんだお前!!」
「それはこっちのセリフですよ! 何なんですかあなたぁ!!」
お互いに睨み、指を差し合う。
[大文字][大文字][太字]「おい!! ここに居たぞ!!」[/太字][/大文字][/大文字]
突然、近くから男の大声が聞こえた。
まるで仲間がいるような…この少女を探していたような…。そんな口ぶりだ。
「っ! ヤバ…!」
少女の顔が真っ青になる。
「と、とにかく逃げなきゃ……!」
震える声でそう言って、少女は手をついて立ち上がった。
足も手も声も……とても震えている。
それによく見れば、足に怪我をしているではないか。
「あ、あなたも早く逃げた方がいいですよ…!」
少し足を引きずって、少女は歩き始めようとする。
近くで大勢の足音と、銃をセットする音が聞こえる。
「…私のことは………。大丈夫なので…っ」
[大文字][大文字][下線][斜体]「いやお前、大丈夫じゃねぇだろ」[/斜体][/下線][/大文字][/大文字]
[太字]ふわり…[/太字]
そう言って、屑人は少女を抱きかかえる。
「へっ? いやでも! 私のことは…!」
「うるせぇよ。足怪我してんだろ? んでお前、アイツらに追われてんだろ?」
「…は…い………」
[大文字]「追われてる理由は知らねぇが、[大文字][斜体]____困ってるお前を、知らねぇことにする訳にはいかなくてな」[/斜体][/大文字][/大文字]
- 1.恨んで、恨んで。
- 2.柏樹屑人の生き方篇 〚エンカウント〛
- 3.柏樹屑人の生き方篇 〚マフィア〛
- 4.アジトへ!
- 5.初任務篇 〚情報の手がかりを〛
- 6.初任務篇 〚廃墟にて〛
- 7.初任務篇 〚ぶっ飛ばす!〛
- 8.初任務篇 〚陰と呟き〛
- 9.ゲーム室にて
- 10.自己紹介と、雑談と、「またね!」
- 11.潜入調査篇 〚任務、引き受けりゃいいんだろ?!〛
- 12.潜入調査篇 〚謎の影〛
- 13. 潜入調査篇 〚少女〛
- 14.潜入調査篇 〚戦闘準備〛
- 15.潜入調査篇 〚どうして〛
- 16.潜入調査篇 〚フラッシュバック〛
- 17.潜入調査篇 〚予兆〛
- 18.潜入調査篇〈嶐来side〉 〚時間稼ぎ!〛
- 19.潜入調査篇〈嶐来side〉 〚ただいま交戦中 -上-〛
- 20.潜入調査篇〈嶐来side〉 〚ただいま交戦中 -下-〛
- 21.潜入調査篇 〚目を覚ます〛
- 22.潜入調査篇 〚終わりと……始まり!〛
- 23.休暇をプレゼント!