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無自覚シンデレラと絶対領域の王子たち

#4

危険な隠れんぼと、机の上の絶対君主

[太字][大文字]♡最初の秘密の共有――赤くなった天才の耳[/大文字][/太字]



「……おい、幽。花咲はどこへ行った」
頭の上から、如月先輩の冷たい声が降ってきて、私の心臓はドキンと大きく跳ね上がった。
どうしよう……っ!
もし見つかっちゃったら、冴えないタヌキなんて言われた私は、今度こそ一瞬でクビになっちゃう。
特待生を取り消されたら、お家のみんなに迷惑がかかっちゃうのに、私のどんくささのせいでこんなことになるなんて……。
あまりの怖さと情けなさに、私は机の下でただ困ったように苦笑いするしかなかった。
カツン、カツンと、如月先輩がデスクの周りを不審そうに歩き回る足音が聞こえる。
すぐ近くで足音が止まるたびに、怖くて全身がガタガタと震えそうになる。
「……っ、ふー、ふー……」
緊張のあまり、私の呼吸が少しだけ荒くなってしまった、その時。
「……静かに。息、止めて」
暗闇の中で、幽くんが私の耳元で掠れた声で囁いた。
それと同時に、幽くんの細くて大きな両腕が、私の背中にぎゅっと回される。
さっきよりもさらに強い力で、胸の中に閉じ込めるみたいに強く強く抱きしめられた。
ひゃっ……!?
あまりの密着ぶりに、声を上げそうになった私の口を、幽くんが自分の胸元に優しく押し付けて塞ぐ。
幽くんの制服の柔軟剤の、すっごくいい香りが鼻をくすぐって、頭がくらくらしちゃう。
お互いの心臓の音が、ドクドク、ドクドクって、どっちのものか分からないくらいの爆音で重なり合っていた。
「チッ、どこへ行ったんだ、あのタヌキは……。幽、書類はそこに置いておくからな」
如月先輩の呆れたような声が聞こえて、それからバタンと大きな扉が閉まる音がした。
「……行ったみたい」
幽くんがホッとしたように腕の力を緩めて、私はようやく息を吸うことができた。
如月先輩がいなくなって本当に良かったけれど、今の状況も、心臓に悪すぎるくらいにドキドキだった。
狭い机の下で、私と幽くんの体がぴったりくっついたまま。
至近距離で目が合うと、幽くんはハッと我に返ったみたいに、耳の付け根まで真っ赤に染まった。
「……ごめん。……でも、あいつに見つからなくて、よかった」
幽くんは照れくさそうに視線を泳がせながら、そっと私の肩から手を離した。
でも、パソコンの配線がたくさんあるせいで、狭すぎてなかなか机の下から出られない。
「あの、幽くん、狭くて動けないかも……」
私がまた困ったように苦笑いしていると、幽くんが自分のデスクの小さな引き出しを、ゴソゴソと開けた。
そこから取り出したのは、キラキラした包み紙に包まれた、すっごく高級そうなチョコレート。
「……これ、あげる。お疲れさま」
幽くんは耳を真っ赤にしたまま、私の口元にそのチョコレートを優しく差し出してきた。
断る間もなく、私の唇の間に、甘いチョコレートがポンって入れられる。
「もぐ……。えっ、あ、甘い……っ!」
お口の中に広がるとろけるような甘さに、私の目がパッと輝いた。
「……美味しい。幽くん、ありがとうございます!」
私が嬉しくてニコッと笑うと、幽くんはさらに顔を赤くして、自分の口元を片手でぎゅっと押さえて俯いちゃった。
「バカ……っ。……そんな顔、やっぱり他の奴に見せたら流石に許さない」
机の下の小さなお部屋で、幽くんがまた独占欲を爆発させるように低く呟く。
他の誰にも内緒の、二人だけの特別な秘密の共有。
甘いチョコレートの味と一緒に、私の胸の奥も、見たことのない幽くんの甘いギャップでいっぱいに満たされていくのだった――。

2026/08/06 22:29

ふる003
ID:≫ 10.YZDmJ7U7Dk
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