底にて
あてもなくゆっくりと歩き出した。
新幹線はもうすでに行ってしまった。
さて、どう帰ろうか。
スマホが拾える電波が通っているはずもない。つまり何もわからない。
じゃあ、もう一晩旅をしながらここで過ごしてしまおうか。
近くにある電車の改札を通った。
「2番ホームに一神地底湖行きがまいります」
一神地底湖。路線図を見ると五駅ほどで着くようだし、行ってみるのも良いかもしれない。
電車に足を踏み入れた。
ガタゴトというより、グラグラと激しく動く地底電車に恐怖を覚えた。慣れとは怖いもので、乗客はみな無意識に揺れ軽減ボードを操っているようだった。ボードの起動方法が分からないので仕方なく手すりにしがみつき、一駅、二駅揺れと酔いに耐え続けた。
「次は一神地底湖────一神地底湖────終点です」
「耐えた…」
ため息をついて降りると、目が回り足元から崩れ落ちてしまった。
目と酔いが治まるまでホームで休憩しよう。
そう思いやっとの思いで立ち上がると、フェンスの向こう側に、地底には存在しないはずの大きな星空が顔を出した。
一神地底湖──────地上でも有名なこの湖は、地球上で最も美しいとされている。
普段なら観光客が多く歩く場所もない様な湖だが、今は真夜中。
人影は無い。
はるか上空を飛ぶライトドローンだけが湖を照らす。ドローンの光は星の様に湖に映り込み、一つ残らず目の中に吸い込まれていった。
酔いはすっかり覚めた。
頭の中は、真っ青なインクとガラス屑で埋め尽くされていた。
また、あてもなくゆっくりと歩き出した。
湖の奥に駅があるのが見えた。
空に向かって伸びる、細いパイプが見えた。
「地球縦断パイプ」
湖のほとりを回って、そのパイプに向かってゆっくりと歩き出した。
見たことのない美しい蝶に取り囲まれ歩いた。
半透明のうさぎに横切られ歩いた。
「地球縦断パイプ────上空行き急行────」
シートに腰掛けると、湖は瞬く間に奈落へと落ちていった。
新幹線はもうすでに行ってしまった。
さて、どう帰ろうか。
スマホが拾える電波が通っているはずもない。つまり何もわからない。
じゃあ、もう一晩旅をしながらここで過ごしてしまおうか。
近くにある電車の改札を通った。
「2番ホームに一神地底湖行きがまいります」
一神地底湖。路線図を見ると五駅ほどで着くようだし、行ってみるのも良いかもしれない。
電車に足を踏み入れた。
ガタゴトというより、グラグラと激しく動く地底電車に恐怖を覚えた。慣れとは怖いもので、乗客はみな無意識に揺れ軽減ボードを操っているようだった。ボードの起動方法が分からないので仕方なく手すりにしがみつき、一駅、二駅揺れと酔いに耐え続けた。
「次は一神地底湖────一神地底湖────終点です」
「耐えた…」
ため息をついて降りると、目が回り足元から崩れ落ちてしまった。
目と酔いが治まるまでホームで休憩しよう。
そう思いやっとの思いで立ち上がると、フェンスの向こう側に、地底には存在しないはずの大きな星空が顔を出した。
一神地底湖──────地上でも有名なこの湖は、地球上で最も美しいとされている。
普段なら観光客が多く歩く場所もない様な湖だが、今は真夜中。
人影は無い。
はるか上空を飛ぶライトドローンだけが湖を照らす。ドローンの光は星の様に湖に映り込み、一つ残らず目の中に吸い込まれていった。
酔いはすっかり覚めた。
頭の中は、真っ青なインクとガラス屑で埋め尽くされていた。
また、あてもなくゆっくりと歩き出した。
湖の奥に駅があるのが見えた。
空に向かって伸びる、細いパイプが見えた。
「地球縦断パイプ」
湖のほとりを回って、そのパイプに向かってゆっくりと歩き出した。
見たことのない美しい蝶に取り囲まれ歩いた。
半透明のうさぎに横切られ歩いた。
「地球縦断パイプ────上空行き急行────」
シートに腰掛けると、湖は瞬く間に奈落へと落ちていった。
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