ゆめ
「こんにちは!神谷ゆめです!よろしくね!……あ、弥生さん。そこ、
うちの代わりに浮いててくれる? 掃除しやすいから!」
会議室にひょっこりと現れたのは、水色の髪をふわふわと揺らした少女、
[漢字]神谷[/漢字][ふりがな]かみたに[/ふりがな] ゆめだった。
ダボっとしたズボンのポケットに手を突っ込み、長袖の先から指先だけを出して「てへっ」と笑う。
弥生
「ゆめちか。あんたが来たなら心強いわ。……でも、
あんまり現場を『お菓子』みたいに扱わんといてや?」
弥生が苦笑いしながら道を譲る。
ゆめの担当は「[大文字][斜体]中身入れ[/斜体][/大文字]」
配達員が仕留めたターゲットを、組織の指定する「荷物」として再構成し、箱に詰める役割だ。
ゆめ
「いや〜……何入れよっかな〜。このターゲットさん、中身がスカスカだね。
……じゃあ、うちが作った特製のお菓子、代わりに詰めとく?」
ゆめがそう言って短剣を抜いた瞬間、部屋の空気が一変した。
[大文字][斜体][明朝体]能力:時間停止。[/明朝体][/斜体][/大文字]
星乃の5秒とは比べ物にならない、圧倒的な静寂。
ゆめが指を鳴らせば、世界は彼女の意のままに止まる。
その間に、彼女は「中身」を完璧に整え、
芸術的なまでに美しい「荷物」へと変えてしまうのだ。
ゆめ
「あちゃ……やりすぎた? まぁいっか! お菓子完成! 弥生さん、あとで皆で食べよ!」
ゆめが時間を動かすと、そこには完璧に梱包された「荷物」と、
彼女が趣味で作った甘い香りのカップケーキが並んでいた。
ブラック
「ゆめちせんぱいだぁー! お菓子たべたぁーい!」
ブラック・ヒーローが駆け寄り、乃ノは
乃ノ
「ゆめち、それ……毒入ってないよね?」
とジト目で覗き込む。
ゆめ
「大丈夫だよぉ! うちの料理は最高なんだから!」
17歳の最強少女、ゆめ。
彼女が笑うと、殺伐とした配送センターがまるで
放課後の調理実習室のような空気感に包まれる。
だが、その場にいる全員が知っている。
彼女が一度短剣を振るえば、たとえ時間が止まっていようとも、
誰も逃れることはできないということを。