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「はいはい、お疲れさん。……うっわぁ、これはまた派手にやったなぁ。
どないしたらこうなるんで?」
配送センターの指令室から浮遊して現れたのは、オレンジ色のマッシュヘアを揺らす青年、[漢字]小森 弥生[/漢字][ふりがな]こもり やよい[/ふりがな]だった。
彼は「配達員」ではない。
彼らは「お届け物」が終わった後の、無惨な現場を片付け、
次なる宛先へと導く[大文字][斜体]配達先連絡・後処理担当[/斜体][/大文字]だ。
弥生は黒いパーカーのポケットに手を突っ込み、
血の海と化した現場の数センチ上で、能力を使ってふわりと浮いている。
弥生
「ボク、綺麗好きやねん。あんたら、もう少し後先のことも考えて仕事しーや?」
彼は手にした巨大なオレンジ色の鎌を軽く振るった。
この鎌は直接切りつけるためのものではない。
弥生がこれを持って現場を通り過ぎると、そこにあったはずの
「証拠」や「遺体」が、まるで最初から存在しなかったかのように、空間ごと削ぎ落とされて消えていく。
弥生
「さて、次の宛先は△△県⬜︎⬜︎町〇〇号室やで。星乃ちゃん、お茶ばっかり飲んでんと、準備してな?」
弥生は無線機越しに、次の担当者へ指示を飛ばす。
彼は組織の連絡網を一手に引き受ける、言わば『デッド・ライン』の管制塔だ。
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「弥生さん、あのおじさんの時計、かっこよかったですよ」
無線から聞こえてきた配達員の報告に、弥生はオレンジの瞳を細めて笑った。
弥生
「おっ、マジで? あんたそれめっちゃカッコええな。ボクにくれへん?
……冗談や、そんな血のついたもん要らんわ」
彼は空中を散歩するように移動しながら、手際よく現場を更地へと戻していく。
弥生
「あ、乃ノちゃん。あんたまた聞き耳立てすぎやろ笑。まぁ、よう聞いとう証拠やないん?
慎重なんはええことやけど、あんまり寄り道しとったらあかんで」
弥生が通り過ぎた後には、月明かりに照らされた静かな空き地だけが残っていた。
彼は最後の一仕事を終えると、ふうと溜息をつき、
お気に入りの抹茶オレの缶を開けた。
弥生
「さーて、ボクもセンター帰って猫と遊びたいわ。
あんたら、無事に帰ってきーや?」
オレンジの影は夜空に溶けるように浮かび上がり、
次の「配達」をサポートするために闇へと消えていった。