配送センターの廊下。
茜色のボブを揺らし、オーバーサイズのクマ柄Tシャツを着た[漢字]少年[/漢字]少女[ふりがな][/ふりがな]が、
鼻歌を歌いながらカッターの刃を「パキッ」と折った。
[漢字]柚柚 咲良[/漢字][ふりがな]ゆゆ さくら[/ふりがな]。コードネームは『亡霊』。
「ふふーんふんふん……♪ お前、僕のこと好きなの?
……そっかぁ、やっぱり僕の良さがわかるんだね! お前、めっちゃ良いやつだな!」
さっきまで隣で怯えていた新人の後処理係に、
咲良は満面の笑みで抱きついた。
だが、ポケットから端末が鳴り、
ターゲットの顔写真が表示された瞬間、その瞳から一切の光が消えた。
咲良
「……ターゲット、確認。安心して。僕、ちゃんと一発で殺ってあげるから」
深夜の廃工場。逃げ込んだ重武装の集団が、
入り口に向かって一斉射撃を開始した。
火花が散り、無数の弾丸が狭い通路を埋め尽くす。
だが、そこを歩く咲良の体には、傷一つ付かない。
お客様
「なっ、なぜ当たらない!? 確かに今、心臓を撃ち抜いたはずだ!」
男たちが叫ぶ。
だが、弾丸は咲良の体を「すり抜けて」後ろの壁に着弾していた。
[大文字][太字]能力:トンネル効果[/太字][/大文字]
本来ぶつかるはずの粒子同士が、確率の壁を越えて透過する。
彼はそこに「ある」はずなのに、物理的には「ない」存在。
咲良
「ふぇ? 僕の能力? 知らなくて結構だよ」
咲良は無表情のまま、男たちの間を平然と歩き抜ける。
銃剣を突き立てられても、その刃は彼の腹部を透過し、空を切るだけ。
[斜体][明朝体]カチッ、カチッ。[/明朝体][/斜体]
カッターの刃を出す乾いた音が響く。
咲良は一人の男の首筋に手を伸ばした。
100均で買ったはずのその刃は、アルミホイルで極限まで研ぎ澄まされ、
どんな名刀よりも鋭く光っている。
咲良
「ほら! ──ザクッ」
鮮血が舞う。咲良の体は血を浴びることすらなく、透過した飛沫が床を汚すだけだった。
数分後。立っている者は、クマのTシャツを着た小さな影だけだった。
咲良
「お疲れ様。……あれ、弥生さん? 僕のこと、嫌いになった?」
後処理に現れた弥生の顔を見て、咲良が不安そうにカッターを「チャキ」と構える。
弥生
「うっわぁ……相変わらず気持ち悪い避け方すんなぁ。
嫌いなわけないやろ、あんたの能力は一番掃除が楽やから好きやで!」
弥生の言葉に、咲良は再びパッと顔を輝かせた。
咲良
「まじかぁ……! やっぱ弥生さんはわかってるね! 尊敬するよ!」
茜色のボブを揺らし、オーバーサイズのクマ柄Tシャツを着た[漢字]少年[/漢字]少女[ふりがな][/ふりがな]が、
鼻歌を歌いながらカッターの刃を「パキッ」と折った。
[漢字]柚柚 咲良[/漢字][ふりがな]ゆゆ さくら[/ふりがな]。コードネームは『亡霊』。
「ふふーんふんふん……♪ お前、僕のこと好きなの?
……そっかぁ、やっぱり僕の良さがわかるんだね! お前、めっちゃ良いやつだな!」
さっきまで隣で怯えていた新人の後処理係に、
咲良は満面の笑みで抱きついた。
だが、ポケットから端末が鳴り、
ターゲットの顔写真が表示された瞬間、その瞳から一切の光が消えた。
咲良
「……ターゲット、確認。安心して。僕、ちゃんと一発で殺ってあげるから」
深夜の廃工場。逃げ込んだ重武装の集団が、
入り口に向かって一斉射撃を開始した。
火花が散り、無数の弾丸が狭い通路を埋め尽くす。
だが、そこを歩く咲良の体には、傷一つ付かない。
お客様
「なっ、なぜ当たらない!? 確かに今、心臓を撃ち抜いたはずだ!」
男たちが叫ぶ。
だが、弾丸は咲良の体を「すり抜けて」後ろの壁に着弾していた。
[大文字][太字]能力:トンネル効果[/太字][/大文字]
本来ぶつかるはずの粒子同士が、確率の壁を越えて透過する。
彼はそこに「ある」はずなのに、物理的には「ない」存在。
咲良
「ふぇ? 僕の能力? 知らなくて結構だよ」
咲良は無表情のまま、男たちの間を平然と歩き抜ける。
銃剣を突き立てられても、その刃は彼の腹部を透過し、空を切るだけ。
[斜体][明朝体]カチッ、カチッ。[/明朝体][/斜体]
カッターの刃を出す乾いた音が響く。
咲良は一人の男の首筋に手を伸ばした。
100均で買ったはずのその刃は、アルミホイルで極限まで研ぎ澄まされ、
どんな名刀よりも鋭く光っている。
咲良
「ほら! ──ザクッ」
鮮血が舞う。咲良の体は血を浴びることすらなく、透過した飛沫が床を汚すだけだった。
数分後。立っている者は、クマのTシャツを着た小さな影だけだった。
咲良
「お疲れ様。……あれ、弥生さん? 僕のこと、嫌いになった?」
後処理に現れた弥生の顔を見て、咲良が不安そうにカッターを「チャキ」と構える。
弥生
「うっわぁ……相変わらず気持ち悪い避け方すんなぁ。
嫌いなわけないやろ、あんたの能力は一番掃除が楽やから好きやで!」
弥生の言葉に、咲良は再びパッと顔を輝かせた。
咲良
「まじかぁ……! やっぱ弥生さんはわかってるね! 尊敬するよ!」