文字サイズ変更

『イチノセヒカル』の物語

#2

不思議な男の子

「……ふぅ」
 お風呂上がりの濡れた髪をタオルで拭きながら、お風呂場の1階から部屋のある2階まで上って、ひと息ついた。
 5階建ての無駄に大きなこのお屋敷は、おじいちゃんのおじいちゃんが増築を繰り返してこうなった。研究好きの一家だから、研究スペースをどんどん広くする増築にはお金をかけられた。
 広いのに、居住スペースは1割とちょっとくらいで、クラスのみんな――それこそ周ちゃんや杏奈ちゃんがそうだ――のおうちみたいなブランド品コレクションルームだとか、お客さんのお部屋だとか、お金持ちらしい設備はほぼない。外観だけだ、立派で豪華なのは。
 元々居住スペースしかなかったこの民家は森にあるもんだから、まず横に土地を買って増築し、限界がくると縦に3階分伸びた。
 そんな中で暮らしてるわけだから、「普通のお金持ち」とはかけ離れた家、環境。どっちかというと家っぽいところはボロくて、だいぶ昔の民家。友達なんて呼べないし、そもそも呼ぶ友達もいない。
 ……で、そんな誰も呼べないボロ民家に、ついでにわたしの部屋に、知らない男の子がいる。

「だれ……?」
 問いかけても、あっちもわたしのことをまじまじと見つめている。
「君こそ誰なの?僕ん家で何してるの?」
「えぇ?ここはわたしの家なんだけど……」
 男の子は首を傾げた。
「……こんな[漢字]辺鄙[/漢字][ふりがな]へんぴ[/ふりがな]でおかしな建物、間違えて入るはずもないのに」
「だよね!変だし、学校から遠すぎて通学が大変で!」
「まるでここに住んでるみたいなことを言うんだね、君は……」
「だって、さっきから言ってるでしょ。ここは私の家だって」
 そう私が言うと、男の子は「え~……?」と頭を抱えてしまった。
 そんな男の子にわたしは尋ねた。
「わたしは一ノ瀬 光。あなたは?」
 そう言うと、男の子は目を見開いて言った。
「僕も……一ノ瀬 光」

作者メッセージ

ボロ民家ってパッと見「ボカロ民」に見える。

2025/08/29 20:43

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
コメント

この小説につけられたタグ

同姓同名秘密探しお屋敷

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は◇Alice◇さんに帰属します

TOP