わたしは“いいとこ”の子。
ママもパパも科学者をしていてお金持ちだから、娘のわたしも科学者にするために、私立のいい小学校に通わせている。
なのに。
周りも似た境遇の子ばっかりなのに。
「おはよ、杏奈ちゃん」
「あ……[漢字]光[/漢字][ふりがな]ヒカル[/ふりがな]ちゃん、おはよう……」
みんな離れていく。避けられている気がする。
……まぁ、しょうがないよね。ママの発明品で登下校なんて公開処刑を余儀なくされているんだから、変人扱いも当然か。
それに、わたしはママの発明品でアンドロイド、なんて馬鹿な噂まである。
その噂を流した人物なんて、この5年2組に1人しかいない。わたしを避けない、あの子しか。
「おはよー、アンドロイドさんっ♪」
この人は学校の理事長の孫。好き放題なこの子の名前は[漢字]如月[/漢字][ふりがな]きさらぎ[/ふりがな] [漢字]周[/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]。
「ちょっと杏奈、駄目だよ~‼いくら光がアンドロイドで空気読めない馬鹿だからといっても、ハブるのは酷~い‼」
クラス中に聞こえる大声で、杏奈ちゃんのしたことを誇大して叫ぶ。
「周さん……私、別にハブったわけじゃ……」
「アタシ見たんだからね?おじい様に言えば、アンタも退学にしてもらえるんだから!」
「でも……」
「まだ口答えするの?」
周ちゃんの高圧的な態度は、たぶんその地位がなくても学園全員をひれ伏せされることができる。たぶん。
「……ごめんなさい」
もともと杏奈ちゃんは内気だから、変わり者ファミリーなわたしに話しかけるのが難しいんだとうすうす分かる。そんな罪のない杏奈ちゃんを抑え込みながら同時にわたしの悪口を言うのは、周ちゃんにとって赤子の手をひねるより簡単なこと。
この5年2組は、もはや、周ちゃんがわたしを貶すために存在している。
ママの作った場違いな新型移動カプセルで、由緒正しい校舎を後にする。
4・5月こそ、物珍しげに見る1年生や転校生がいたが、もうみんなこのへんちくりんな乗り物に慣れた。それだけじゃ飽き足らず馬鹿にするのが、周ちゃんとか。
帰り道は自動車で30分かかるところ、このカプセルだと10分で済む。それ以外のデメリットが大きすぎるけれど。
外の風景は、住宅街から徐々に森に変わる。わたしの家はこの山の中にあるお屋敷だ。
カプセルを降り、家に入る。
「ただいま……」
返事はない。お金持ちだけど、ママとパパが雇うのは週1度の清掃員さんと研究の助手だけ。みんなみたいな召し使いはいない。
パパとママは奥の研究室にこもり続けている。ごはんは一緒に食べるけど、それ以外は別々で。
「……誰もいない……」
家にはわたしを構ってくれる人が、学校にはわたしを真の友達だと思ってくれる人が、誰もいない。
わたしは孤独だ。
そんなわたしの前に現れたのは、[漢字]一ノ瀬[/漢字][ふりがな]イチノセ[/ふりがな] [漢字]光[/漢字][ふりがな]ヒカル[/ふりがな]――わたしと同姓同名の男の子だった。
ママもパパも科学者をしていてお金持ちだから、娘のわたしも科学者にするために、私立のいい小学校に通わせている。
なのに。
周りも似た境遇の子ばっかりなのに。
「おはよ、杏奈ちゃん」
「あ……[漢字]光[/漢字][ふりがな]ヒカル[/ふりがな]ちゃん、おはよう……」
みんな離れていく。避けられている気がする。
……まぁ、しょうがないよね。ママの発明品で登下校なんて公開処刑を余儀なくされているんだから、変人扱いも当然か。
それに、わたしはママの発明品でアンドロイド、なんて馬鹿な噂まである。
その噂を流した人物なんて、この5年2組に1人しかいない。わたしを避けない、あの子しか。
「おはよー、アンドロイドさんっ♪」
この人は学校の理事長の孫。好き放題なこの子の名前は[漢字]如月[/漢字][ふりがな]きさらぎ[/ふりがな] [漢字]周[/漢字][ふりがな]あまね[/ふりがな]。
「ちょっと杏奈、駄目だよ~‼いくら光がアンドロイドで空気読めない馬鹿だからといっても、ハブるのは酷~い‼」
クラス中に聞こえる大声で、杏奈ちゃんのしたことを誇大して叫ぶ。
「周さん……私、別にハブったわけじゃ……」
「アタシ見たんだからね?おじい様に言えば、アンタも退学にしてもらえるんだから!」
「でも……」
「まだ口答えするの?」
周ちゃんの高圧的な態度は、たぶんその地位がなくても学園全員をひれ伏せされることができる。たぶん。
「……ごめんなさい」
もともと杏奈ちゃんは内気だから、変わり者ファミリーなわたしに話しかけるのが難しいんだとうすうす分かる。そんな罪のない杏奈ちゃんを抑え込みながら同時にわたしの悪口を言うのは、周ちゃんにとって赤子の手をひねるより簡単なこと。
この5年2組は、もはや、周ちゃんがわたしを貶すために存在している。
ママの作った場違いな新型移動カプセルで、由緒正しい校舎を後にする。
4・5月こそ、物珍しげに見る1年生や転校生がいたが、もうみんなこのへんちくりんな乗り物に慣れた。それだけじゃ飽き足らず馬鹿にするのが、周ちゃんとか。
帰り道は自動車で30分かかるところ、このカプセルだと10分で済む。それ以外のデメリットが大きすぎるけれど。
外の風景は、住宅街から徐々に森に変わる。わたしの家はこの山の中にあるお屋敷だ。
カプセルを降り、家に入る。
「ただいま……」
返事はない。お金持ちだけど、ママとパパが雇うのは週1度の清掃員さんと研究の助手だけ。みんなみたいな召し使いはいない。
パパとママは奥の研究室にこもり続けている。ごはんは一緒に食べるけど、それ以外は別々で。
「……誰もいない……」
家にはわたしを構ってくれる人が、学校にはわたしを真の友達だと思ってくれる人が、誰もいない。
わたしは孤独だ。
そんなわたしの前に現れたのは、[漢字]一ノ瀬[/漢字][ふりがな]イチノセ[/ふりがな] [漢字]光[/漢字][ふりがな]ヒカル[/ふりがな]――わたしと同姓同名の男の子だった。