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吸血天使は牙を折る。

#3

吸血天使はゴミを被る。

 朝に弱いのだが、仕方がないので起き、仕方がないのでとりあえず適当な服を着、仕方がないので各家の前に出されたゴミ袋を台車で集める。
 当番としてやってると、なぜ当番制にしたんだろう、自分たちで毎日出せばいいのに、と思うのに、いつもは当番に任せっきりで当番制様様なのだ。
 16区は合計3つの地区に分けられていて、私はBエリアに入っている。AエリアとCエリアの人も、ゴミ捨て場に来るはずだ。
 重い台車を引きながら、ゴミ捨て場に向かうと、2人の男の天使が向こうから笑いながら歩いてきた。
 あれは……12区の天使じゃないか。不法投棄に来ていたんだな。注意しなければ――。
「いや~、わざわざ16区まで来て正解だったな!」
「あぁ、面白いモノが見れたぜ!」
 声をかけようとしたが、そんなことを喋り始めたので、つい言葉が詰まった。
「そこの君!君も“あれ”見に来たの?」
 逆に、あちらから声をかけられてしまった。
 どうやら、私が聖天使のアデナと気づいていないらしい。まぁ、寝起きで私服だからかもしれない。
「……“あれ”って何?」
 ただの子供を装い、聞いてみた。
「知らないのか?あれだよ、あれ……」
「ストップ!あの子が知らないならさ、実際に見て楽しんでもらったほうが面白いだろ?」
「そうだな……」
 男たちはそう言って、「君も、早めに行って遊びなよ~!」と去ってしまった。
(遊ぶようなものなど、あのゴミ捨て場にあるだろうか……)
 結局、それが何か聞けなかった。
 自分の目で確かめるしかないのか。
 重い台車を引いて、また歩き始めた。
 ゴミ捨て場が見えるようになると、また数人いた。その中には、区外から来たであろう天使もいた。彼らは、笑いながらゴミを奥に向かって投げ飛ばしている。
 きっとこれが悪い使い方の現行犯なんだろうが、一体何が起きているんだ?
 近づこうにも、出入口が彼らで塞がっていて近づけない。
 性格の悪い笑い方だな、なんとなく不快になる声だ。
 台車からゴミがなくなると、彼らは「ちぇ~」と不満そうな声を上げた。そして、やっとゴミ捨て場から立ち退いた。
 私は走って台車を引き、ゴミ捨て場に入った。
 傷だらけの手が、ゴミの隙間からのぞいていた。
(天使が埋められているのか?まさか、それをするために区外から天使が来ているのか――⁉)
 私は無我夢中でゴミを除けた。
 まだ手は温かかった。
 けれど――私は、出てきた天使の姿に、絶句した。
 真っ黒な髪。
 虚ろな紅い目。
 口からのぞく牙。
 紅く、うっすらと光を放つ輪。
 血に染まったような両の羽。
 600年生きたが、実物は初めて見た。
 天界で1番忌み嫌われる存在、――吸血天使。

作者メッセージ

今回長め?

2025/07/28 09:11

◇Alice◇
ID:≫ 6.HwTpWbghe22
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