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奇怪な生物や狂気的な奴が出てきたり、殺人の描写がちょっとだけあります。
「――は?」
日花は背中に何か変に冷たいものが流れる感覚をおぼえた。
これは、悪いことをしたときとか、そういうので感じるやつ。
私は、今、覗いてはいけない世界を見ている。
「ねぇ、ひとりっ子、楽しんでた?」
「さっきから一体何を――」
「母さんのなかに息子は1人、朝陽しかいないんだよ。僕は[漢字]弟の付属品[/漢字][ふりがな]いらない子[/ふりがな]だった、って、本当に知らなかったの?」
夜空は笑っていた。目の奥に笑顔はなかった。
もうすでに、救いようもなく壊れている。
山の空気が綺麗すぎるからなのか、はたまた空気が詰まってるからなのか、それが嫌でもわかった。
「夜空っ!」
御狛が止めた……にも拘わらず、夜空は朝陽の両肩を掴んだ。
「朝陽さえいなければ、僕は母さんの子でいられたのに。朝陽、お前が僕のこと殺したんだよ」
声は、震えていた。
まっすぐその両の目を見ながら。
「夜空!やりすぎミコ‼それ以上は――‼」
そして、発してはいけない言葉が、夜空の喉を通って、そこにいる者すべてに届いた。
「 [太字][明朝体]この人殺し……![/明朝体][/太字]」
途端、バチンと大きな音が鳴り響いた。
爆風にさらされた野花のように朝陽が倒れたのは、そのあとだった。
山に音がこだました。
「なんで止めなかったミコ⁉」
御狛が夜空のほうに向かった。
日花はそこでただ呆然としていた。
目の前で起きていたシリアスな事柄を、頭がどうしてもノンフィクションだと解ってくれない。
大切な、大好きな先輩とその弟のやり取りが、まるで台本通りの人形劇みたいで。
頭が拒んでいた。“それ”を知りすぎることを。
それでも。
[小文字]「せんぱい……っ」[/小文字]
私は護りたい。
自らに拒絶されようと、ちゃんと知って、助けたい。
けれど、日花が立ち上がった瞬間……夜空も倒れこんだ。
「先輩……?」
歩けば十数歩、なのに遠く遠く感じる。
「日花‼早く来るミコ‼」
ついさっき決意したことなのに、それでも動けない。
目を瞑った。
私ってこうだ。いっつも――。
『日花ちゃん!』
最初、それが何の声なのか分からなかった。
けど……。
「レミたん……」
『わたしは日花ちゃんの味方だよ!』
そこに現れたのは……いや、日花の脳内に、まるで命を持ったように浮かび上がったのは、日花の最推し・レミたんだった。
そう言いながら、日花に手を差し出した。
『あとちょっとだよ。一緒に頑張ろう!』
日花は、そこにいる自分の推しの目を見つめた。
ラベンダー色の、宝石みたいに透き通った、純粋な2つの瞳。
こんな綺麗な目に、この世界を見せたくない……。
『心配しないで、日花ちゃん』
日花の思ったことを見透かしたように、レミたんが言った。
『大切な人を助けに行こう!』
まっすぐ、日花の目を見た。
日花は、恐る恐る、彼女の手を掴んだ。
「――うん!」
そしてその手に引かれ立ち上がると、そこにレミたんの姿はなかった。
あの、ついさっき何かが壊れてしまった世界に、戻っていた。
温かくて小さな手の感覚がまだ残っていた。
助ける。絶対。
私には仲間がいる。
レミたんだけじゃない。
日花は背中に何か変に冷たいものが流れる感覚をおぼえた。
これは、悪いことをしたときとか、そういうので感じるやつ。
私は、今、覗いてはいけない世界を見ている。
「ねぇ、ひとりっ子、楽しんでた?」
「さっきから一体何を――」
「母さんのなかに息子は1人、朝陽しかいないんだよ。僕は[漢字]弟の付属品[/漢字][ふりがな]いらない子[/ふりがな]だった、って、本当に知らなかったの?」
夜空は笑っていた。目の奥に笑顔はなかった。
もうすでに、救いようもなく壊れている。
山の空気が綺麗すぎるからなのか、はたまた空気が詰まってるからなのか、それが嫌でもわかった。
「夜空っ!」
御狛が止めた……にも拘わらず、夜空は朝陽の両肩を掴んだ。
「朝陽さえいなければ、僕は母さんの子でいられたのに。朝陽、お前が僕のこと殺したんだよ」
声は、震えていた。
まっすぐその両の目を見ながら。
「夜空!やりすぎミコ‼それ以上は――‼」
そして、発してはいけない言葉が、夜空の喉を通って、そこにいる者すべてに届いた。
「 [太字][明朝体]この人殺し……![/明朝体][/太字]」
途端、バチンと大きな音が鳴り響いた。
爆風にさらされた野花のように朝陽が倒れたのは、そのあとだった。
山に音がこだました。
「なんで止めなかったミコ⁉」
御狛が夜空のほうに向かった。
日花はそこでただ呆然としていた。
目の前で起きていたシリアスな事柄を、頭がどうしてもノンフィクションだと解ってくれない。
大切な、大好きな先輩とその弟のやり取りが、まるで台本通りの人形劇みたいで。
頭が拒んでいた。“それ”を知りすぎることを。
それでも。
[小文字]「せんぱい……っ」[/小文字]
私は護りたい。
自らに拒絶されようと、ちゃんと知って、助けたい。
けれど、日花が立ち上がった瞬間……夜空も倒れこんだ。
「先輩……?」
歩けば十数歩、なのに遠く遠く感じる。
「日花‼早く来るミコ‼」
ついさっき決意したことなのに、それでも動けない。
目を瞑った。
私ってこうだ。いっつも――。
『日花ちゃん!』
最初、それが何の声なのか分からなかった。
けど……。
「レミたん……」
『わたしは日花ちゃんの味方だよ!』
そこに現れたのは……いや、日花の脳内に、まるで命を持ったように浮かび上がったのは、日花の最推し・レミたんだった。
そう言いながら、日花に手を差し出した。
『あとちょっとだよ。一緒に頑張ろう!』
日花は、そこにいる自分の推しの目を見つめた。
ラベンダー色の、宝石みたいに透き通った、純粋な2つの瞳。
こんな綺麗な目に、この世界を見せたくない……。
『心配しないで、日花ちゃん』
日花の思ったことを見透かしたように、レミたんが言った。
『大切な人を助けに行こう!』
まっすぐ、日花の目を見た。
日花は、恐る恐る、彼女の手を掴んだ。
「――うん!」
そしてその手に引かれ立ち上がると、そこにレミたんの姿はなかった。
あの、ついさっき何かが壊れてしまった世界に、戻っていた。
温かくて小さな手の感覚がまだ残っていた。
助ける。絶対。
私には仲間がいる。
レミたんだけじゃない。