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奇怪な生物や狂気的な奴が出てきたり、殺人の描写がちょっとだけあります。
「……違……っ」
必死に絞り出したのは、そんな声だった。
「僕は……僕は……っ!」
「違くないよ。これは兄ちゃんが忘れてた兄ちゃんの記憶だから」
「……うぅっ」
夜空は、頭を抱えて呻いた。そして、独り言のようにぶつぶつと早口で、それを否定した。
「……違う、違う違う。僕は殺しなんてしてない。僕は人殺しなんかじゃない。違う――」
「そろそろ自己暗示やめたら?そんなの、ただの現実逃避でしかないよ。自分を騙して、自分に噓ついて、それで楽しいの?楽になれるの?」
「……嘘つきじゃない」
「俺は兄ちゃんの背後霊になったんだよ?兄ちゃんが死ぬまで、ずっとこの“人殺しの証拠”がまとわりつくんだよ?それでも、自己暗示で逃げれると思ってんの?」
そう言うと、もう1度夜空の前に、ナイフをちらつかせた。
「今、自分の手で死のう?それが1番いいよ、兄ちゃんのためにも」
天使のような優しい笑みを浮かべて、実の兄に自殺を唆す朝陽。
夜空は、2時の太陽を反射したナイフを見つめて――それに、手を伸ばした。
ナイフを手に取り、刃先を、そっと自分に向ける。
「さぁ、刺しちゃって!」
夜空の肩に両手を委ね、耳元でそれを急かした。
「……嫌。なんで何もできないの……」
日花は、自分たちが何もできないで、大好きな先輩が自ら死を選ぶ瞬間を見るしかないことに打ちひしがれていた。
そして、御狛の袖を掴んだ。
「止めてよ。諦めるなんて、卑怯だよ。諦めるくらいだったら、1発くらいはあがこうよ……!」
「……諦めてなんか、いないミコ」
御狛は、強い眼差しで、檻の中を見つめていた。
夜空は手の震えを堪えた。
そして1度大きく深呼吸をして、目を瞑った。
朝陽はほくそ笑んだ。
夜空はそっと、何かを伝えるかのように御狛を見た。